私の髪は、うつくしい。
ささやかな、それでいて泣いてしまうほどあざやかに、私の髪に宿っている思い出がある。
小学四年生のときかな。
すったもんだの末に母が家を出て行って、我が家の朝はいっそう慌ただしさを増した。
そんななか、レパートリーは少なかったけれど、父が髪を結んでくれるようになった。
ポニーテールか、ツインテールか。
ツインテールをねだると、たいてい左右の高さがアンバランス。
大工のおじいちゃんの血筋のせいか、太くて短い指で、まだ細くて茶色がかった幼い髪を束ねて、強いくらいの力でブラシをかけ