中馬さりの📚30才からひとり出版社社長

1992年、東京生まれ。30才で合同会社逆旅出版(げきりょしゅっぱん)を創業・代表に。…

中馬さりの📚30才からひとり出版社社長

1992年、東京生まれ。30才で合同会社逆旅出版(げきりょしゅっぱん)を創業・代表に。ひとり出版社を経営しつつ、旅暮らしをしながら生きています。旅暮らしの様子は旅YouTube「さり旅」で発信中。

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  • 30才からの起業奮闘記📚ひとり出版社経営

    逆旅出版の経営の中で気づいたことや工夫した点を個人的な目線からシェアしていきます。

  • わたしはあの人で、あの人はあの子でできている。

    この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 人との関わりで"わたし"が変化する、そんなワンシーンを切りとったフィクションの詰め合わせです。

最近の記事

出版社を経営してみて出くわした、どうしようもない商品のキズ問題

「商品が傷んだ状態で届いたので、着払いで返送します」 というメールが届いた。 創業から1年ほど経ち、ある程度の冊数を世に出すようになった頃だった。 添付されていた証拠写真を見ると、確かにボロボロ。自分が新品で本を購入して、こんな状態で届いたら悲しすぎる。 だが、この書籍は刷り終わった後、契約している倉庫に納品してもらい、そこから発送してもらった分。 つまり、出版社(私)の手元を一度も通過していない。 え……、いや、弊社どうしようもなくない? 弊社どうにもできないキズ

    • 出版社を始めたものの倉庫代をケチったら在庫が水没した話

      起業というと大変なものに聞こえるが、会社という箱を作るだけなら少しのお金と資料を用意すればできる。 大変なのは作った後。 いかに潰さず継続するか。 じゃあどうすれば潰さずに済むかというと、手元に資金がちゃんと残るようにすればいい。入ってくる分より出ていく金額を減らす。ちゃんと稼いで、無駄遣いしないこと。 そんな風に起業家の大先輩方が言っていたから、私の出版社経営もとにかく節約してミニマルに始めた。 お洒落な居場所なんていらないからバーチャルオフィス。業務委託の方々に助

      • 出版社を作って思った「作りたい本と作れる本の違い」

        出版社を経営し始めてから「どんな本を作るの?」と色んな場所で何度も聞いてもらったが、私はこの質問がとても苦手だった。 逆旅出版が作っているのは「世の中にあってほしい本」なのだが、まだ数冊しか刊行していない段階で共感してもらえる説明ができず、何度も何度も歯がゆい思いをした。 世の中には「恋愛小説を作っています」とか「マンガ専門の出版社です」とわかりやすい出版社がある中で、フワフワしたことを言うのだから仕方がない。 「逆旅出版を体現する、わかりやすい本から作る」という手段も

        • アラサーの女が起業して「ひとり出版社」を始めてみた

          逆旅出版(げきりょしゅっぱん)という出版社をはじめたのが2022年4月。 あっという間に2年半が過ぎて、実は今、弊社の1冊目の書籍である「CAMPFIRE解体新書」の重版を進めている。 これを機にいわゆる「創業者の思い」というか、何をどう考えて運営しているかを発信したくなって、このnoteを久しぶりに開いた。 今回は1記事ということで、あちこちで聞いてもらえる創業の経緯を話したい。 思いがないと起業したらダメなのかな 未経験で出版社って実際どうなの? ライターから

        出版社を経営してみて出くわした、どうしようもない商品のキズ問題

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        • 30才からの起業奮闘記📚ひとり出版社経営
          4本
        • わたしはあの人で、あの人はあの子でできている。
          4本

        記事

          お金を使って楽しむことに罪悪感をおぼえていた私へ

          25才の1月。 社畜だった私は新卒で勤めた会社を辞め、次の仕事につくまでの間に、なんとなく台湾に遊びに行くことにした。 次の仕事や将来の目標も、何も決まっていない。 お先真っ暗とはまさに今である。 ただ「どうせならゆっくりすれば」という母の助言と、なけなしの退職金が台湾への往復航空券代とぴったりだったから、行ってみることにしただけ。 そんな適当な決断だった。 台湾は、一般的にどういう理解がされている国なんだろうか。 私は何も知らなかった。 例えば、台湾ではコインのよ

          お金を使って楽しむことに罪悪感をおぼえていた私へ

          痴漢が他人事じゃなくなった日

          会社が力を入れている企画がひと段落した金曜日。 いつもの飲み屋で祝杯をあげていた。 今期で定年退職を迎える部長と、入社6年目の私。そして1年前に入社した山下君。このメンバーでのプロジェクトも何度目だろうか。 だからこそいつも明るい山下君が 「とんでもないことをしちゃったんです」 と切りだした時は何事かと思った。 「今日、出社中の電車で女子高校生が痴漢されていたように見えたんです。 でも出社時間もあるし確信もないから声をかけられなくて。俺、ああいうの初めてみました

          痴漢が他人事じゃなくなった日

          もう二度と幸せになれない気がした時は "ほっとレモンおじさん" を思いだす

          6月某日。 半袖のシャツがぴったりな日、氷がたくさん入ったカフェオレを飲みながら親友の離婚報告を聞いていた。 「男は浮気をするもので、いい妻はそれを黙って見逃すものなのかな」 ランチタイムがおわる頃、彼女が言った。 恋愛に限らず "〇〇はこういうもの論" は、なんとなくの共通認識として話題になる。 だからこそ、外れたもの ―― 例えば白馬にのった王子様、残業のない会社、すべてを許し愛してくれる女性など ―― は夢物語のように笑われがちだ。 ただ、そういう場面に出くわし

          もう二度と幸せになれない気がした時は "ほっとレモンおじさん" を思いだす

          可愛いだけじゃ生きていけない。賢くないと苦労するよ

          「可愛いだけじゃ生きていけない。賢くないと苦労するよ」 女手ひとつで私たち兄弟を育てた母の口癖。 この言葉をくりかえし聞かされたおかげで、大都会東京で出現しがちなヤバいおじさんの 「可愛いね、愛人にならない? 仕事あげるよ」 なんて誘いにのることもなく20代後半まで到達できた。 同時に、大好きな彼氏から専業主婦になってほしいと甘くささやかれても 「不安すぎるわ! 私も稼ぐ力を身につけます」 と、つっぱねてしまう損な性格にもなった。 この言葉は私にとって呪いであ

          可愛いだけじゃ生きていけない。賢くないと苦労するよ