すなば

シティを好むライター。自由律俳句から掌編小説を発想して書いています。Twitter: https://twitter.com/comebackmypoem Blog: http://comebackmypoem.hatenadiary.com/

花火尽きてから話をしよう

公園には遊んでいる子供が二人だけいて、先客はなかった。僕たちはベンチのそばの場所を選んでバケツに水を入れて置き、花火セットをベンチの上に置いて各々作業を始めた。...

夜のあなた

親愛なる服屋へ 夜のあなたがきて夜になった 煙追った夏のゆくえ 笑えば酒がこぼれる 手には何もない夕さり 踏み鳴らした初めての街だ 向かい合って忘れあ...

盃とドーナツ

敬愛する伊達者へ 酌み交わせば夏が終わる海の話 話聞いている指先に火が点る アジフライがきて黙っている 目の奥はまだ恋の歌 夜明けの街で眠ってしまった ...

あなたの頭撫でた嘘のような朝日だった

ドアを開けて、粗く切り刻まれた無数の写真が雛を守る鳥の巣のように、座り込む彼女を取り囲んでいるのを見て、僕はもうここに居ることはできないと思った。彼女は俯いてい...

曇りの朝に生まれ落ちた話

冬子がアルマジロになりたいと告げた時、彼女の父は当然反対した。一度何か別のものに変身すると、もう戻ることはできない。人間以外のものになる選択をするというのは、同...

君と金魚を見るということ

坂を登りきると生々しい匂いがした。水の音の方に振り向くと、青いプラスチックでできたプールみたいな生簀が地面に置いてあって、中におびただしい数の真っ赤な金魚がさら...