大学生自転車日本一周旅（北海道・沖縄除く）のはじまり

ちど(ダベ)り

2021年11月3日 11:08

旅の始まりは突然に

　それは2021年6月のことだった。なんでそんなことを考え始めたのかは分からないけど、せっかく日本に生まれたし、コロナウイルスの影響で海外に出られないし、日本一周でもしようかなと考えていた。

　しかし、車や電車で行ってしまうと道中の遊びがないような気がして気が乗らない。道草を食っているときが一番楽しいと思っているタイプなので、直線的に目的地に行くだけの旅はしたくはなかった。

　そんな時、気が付いてしまった。

　自転車。

　「自転車で日本一周旅したら面白そうじゃね？」

　というわけで、急遽ノリで決定した自転車一周旅。頑張ってもゆっくりしか巡れないこと、景色や空気を存分に楽しめることから自転車に惹かれたと思う。

　大がかりな旅に出るのに、理由がノリだけっていうのは薄すぎる気もするけど、最初は本当にこれだけ。あとから「すべての都道府県をこの目で見て感じたい」などといったそれっぽい理由もくっついてきたけど、あくまでそれらはとってつけたようなものでしかない。とにかくスタート時は軽いノリがエンジンだった。

　この時はまだ大学の前期の真っ最中だったので、スタートは夏休みの始まりを待つことに。そこまではあえてルートや名産品を調べないようにしていた。

　なぜなら、今回は「旅行」ではなく「旅」。意味としては同じように聞こえると思うけど、個人的には全然イメージが違う。旅行は景色や料理などを目的にその土地を回るのに対し、旅は自分と向き合う時間という風に捉えている。だから、あらかじめ準備してしまうと直線的に楽しむことになってしまい、旅行になってしまう。だから、今回は直前まで旅の詳細は考えなかった。

頭の中のイメージ

　基本的には野宿をしようと考えていた。あまり宿泊代がかけられないことも理由の一つではあったが、それ以上に野宿をするのは野性的でワクワクするというのもあった。旅してるって感じもするし。ただし、スマホの充電や風呂・洗濯のことも考えて週に一回程度のペースでホテルを取ろうとは思っていた。ホテルでの宿泊をちょっとした贅沢にしようと思っていたのだ。

　また、この旅ではできるだけこれまでの生活からは隔離しようと思っていた。簡単に言うと、スマホを極力使わないようにしようということ。日ごろは暇さえあれば何かと触ってしまうが、それが本来考えるべきことや自分自身から目を逸らさせる原因になっているような気がしていたので、使うのは写真を撮るときと道に迷った時ぐらいと考えていた。

　道草を食いながら進んでいき、かつスマホなどにも逃げられなくなったら、自ずと自分に向き合うだろうという算段。ちなみに心の中は楽しみの方が多くを占めていた。

大まかなルート

　予め断っておくと、今回は北海道と沖縄には行かない。なぜなら、おそらくフェリーでしか行くことが出来ず、北海道なんかは広すぎてとてもじゃないけどやってられないと思ったから。

　つまりは日本一周詐欺ということになる。北海道と沖縄はこれまでに行ったことがあったからいい、ということにして正当化させてください。

　出発地点は、僕が住んでいる寮の近くの江田駅というところ。横浜市青葉区にある。まず東京千葉と行った後に、東北へと北上。太平洋側から反時計回りに東北地方を一周したら、新潟から北信越へ。いったん長野にはいくものの南には下りていかずに新潟に戻った後、北陸を攻める。福井を抜けると滋賀に入り近畿ゾーン。京都から奈良、和歌山と南下し、大阪兵庫と北上する。兵庫から岡山尾道と進んで、しまなみ海道を通って今治から四国一周。尾道まで戻ってきたらそこからは実家のある福岡へ。

　福岡で休憩を挟んだら、今度は九州一周の始まり。今度は時計回りに九州をめぐる。もう一度福岡で休んでから、山口に戻って山陰へ。鳥取を越えたら神戸まで下りていく。神戸、大阪、京都と直線的に進んだら津へ。津からは東海めぐって静岡へ。その後山梨に行き、そこから関東へ出て前橋まで北上した後、横浜市まで下っていく。

　ちなみにスタートの段階ではここまですら煮詰まってもいなかった。なんとなく「東北から山陽まで西に行って、四国回って九州へ。九州を回ったらあとは横浜まで東に進む」ぐらいのルートしか描いていなかった。だから途中で苦労もしたけど、案外何とかなるということも同時に分かった。

持っていくお金

　まず、支払いは基本的にはクレジットカードで済まそうと考えた。多額の現金を持ち歩くのはNGだろうと思っていたし、日頃も現金よりはクレジットカードを使っているからそう考えた。もしカードを取られても電話すれば止めてもらえるから、現金よりもマシと思っていた。

　また、クレジットカードで支払いを済ませるのなら、現金を引き出す用のキャッシュカードは持っていかなくていいと思った。そんなに現金自体は使わないし何とかなるだろうと。

　現金は3万円行くか行かないかぐらいにした。結構多いと感じるだろうが、キャッシュカードを持って行かない以上このくらいは必要と思ったのだ。現金しか使えない場所も多いだろうし。

持っていくもの

・バッグ。第一希望はリュックだったけど、荷物のサイズや量を考えて大きめのエナメルバッグにした。ななめがけになるから肩の負担が心配ではあったけど、紐をできるだけ短くして負担を減らせば大丈夫と思いこんだ。

・服。服は上下靴下セットを3セット持っていくことにした。ちなみに、そのうち1セットは初日に着ていくやつだから、バッグに入れるのは2セット分。パンツは履かない派だからもっていかない。タオルは荷物の量も考えて一枚にした。野宿をしまくる予定だったから、風呂にあまり入らない分使わないと思っての決断。マスクも洗って使えるタイプを三枚持っていった。

・野宿用のテント。3500円ぐらいの手軽な奴。重さは3㎏に満たないぐらいだった気がする。ポップアップテントといって勝手に広がってくれるタイプだから使いやすい。

・寝るとき用のマット。車のフロントガラスに張り付けて車内が熱くなりすぎないようにするやつ。名前はサンシェードっていうらしい。百均で購入。本当は銀マットがよかったけど、かさばりそうだったためやめておいた。

・日本地図。細かいルートこそ分からないが、大まかな地形や国道は頭に入る。

・小物類。充電器・大容量のモバイルバッテリーとイヤホン、懐中電灯、目薬系、日焼け止め。財布とスマホも忘れずに。ごみや荷物整理用に大小サイズの違う袋もいくつか持っていった。

　結局こいつらを詰め込んだら5キロ前後の重さになった気がする。

　最後は自転車の紹介。買いに行った日（火曜日）が運悪く、2つの自転車屋がお休みしていた。なのでサイクルベースあさひぐらいしか選択肢がなかった。自転車本体はできる限り2万円台のものでと考えていたが、その価格帯のスポーツサイクルが無かったために断念。カスタマイズのしやすさがウリのかごのないママチャリを22000円ほどで購入。かご有とも迷ったが、無いほうが漕ぎやすそうという理由でかご無しにした。予算をオーバーしてスポーツタイプのほうにしてもよかったが、どの自転車に乗っても山はどうせしんどいからという理由で安いほうで我慢することにした。ライトと鍵が始めからついていたので、その点は出費が抑えられた。

都府県庁めぐりがタスク

　日本一周とはいっても、やっぱり各都道府県の県境付近をかすったぐらいで「その県に行ったことがある」というのは違うと感じた。各地の色を見ることもできないから労力が勿体ないし。したがって、各都府県の県庁所在地は絶対に通ることにし、都府県庁において記念写真を撮ることをタスクとして課した。

さあ、旅へ

　大学が8月の頭に終わり、オリンピックの熱が少しづつ冷めはじめた（温まっていたかは知らない）八月の中旬、スタートを切ることに。ただし、このころ関東はなぜか雨続きで一週間ほど出発できずにいた。ずるずると予定は延びて、結局出発日は8月18日。雨予報がやっとなくなった日に出発した。

　ここからは一日ごとに旅の経過を追いかけていく。中身の濃い日もあれば薄い日もあるが、一日単位で区切って振り返っていった。旅が終わってから記憶をたどりながら書いているので曖昧な部分はある。だが、盛ったりはしていない。記憶に改ざんがあったらごめんなさい。では次回また会いましょう。

次回以降のリンクも貼っておきます。

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