見出し画像

大学生自転車日本一周旅二十四日目:高知駅から徳島県海部郡美波町へ

本編

 四国では、一日ホテルに泊まったら一日野宿という謎縛りを作っていた。というか、どう頑張っても、2日周期で田舎でしか夜を迎えられずホテルも見つかりそうに無い日が来るから、そうせざるを得なかったんだけど。そして、この日は野宿の日。この後の予定も考えると、出来る限り徳島市に近づいておきたい。高知から徳島を目指す場合、山を突っ切るか海沿いに進んでいくかの二択。ってか、正直海沿いの一択。さあ、ここで地図を見てみましょう。あの高知の左足みたいなやつをなめるように進まなきゃならないらしい。おい、二択のどちらも極端って何なんだよ。中間出してこい中間。嫌でも室戸岬まで行くみたいだから、どうせなら満喫するしかない。ちなみに、室戸岬は左足の中でも爪先の位置にある。ここも自転車で行くって、本当にやってられんわ。

 文句はこの辺にして出発。香南市まで行ったらあとはひたすらに海沿い。まずは安芸市で休憩を取ろうと思っていたけど、案外もうちょっと行けそう。次の市は室戸市だけど、途中の奈半利町もそこそこ大きい予感。我慢して進み、奈半利町で休憩を取った。そこから、急いで室戸市を目指す。ランチタイムの終了との戦い。昨日は土佐久礼での戦いに敗れたから、今日こそは勝たねば。

 そして、13時半前に、何とかランチタイムの終わる前に室戸市の中心街へ。ここではもちろん、金目丼を食べるぞ!ここ二日間うまい魚を食べまくって大満足だったから、ここでも魚を食べる。四国一周マップにもおすすめと書いてあったし。というわけで向かった店。時間帯もあってお客さんは全くいなかったけど、いい店であることは間違いないような雰囲気。都会みたいにおしゃれでもなければ、地元の人のたまり場みたいないわゆる観光客には入りにくい店というわけでもない。ずっとここで小さく営んでいる印象を受ける。

 そんな店だし、場所が場所(高知の端っこ)ということもあり、ダメもとでクレジットが使えるか確認。もちろん×。所持金は大体1900円。最低でも残しておかなければならない金額100円。そして、お目当ての金目丼1700円。さらに、現金200円じゃ個人の自転車店では修理が確実にできない。今後の駅の駐輪場も有料だったらきつい。もう一つ言うならば、またあのしまなみ海道を通らなければならない。おい、自分よ。これほどのリスクを抱え、未来の困難を予約してまで、お前は金目丼を頼むのか。あのしんどい道のりを戻って行けるのか、今よりもさらに疲れた体で。

 10分後、机には金目丼が運ばれてきた。刺身、フライが米の上に乗っかっている幸せ。そしてあら汁(名前違うかも)。最後にはお茶漬けまで。全部がうまい。こんな魚がまるまる一匹食べられるなんて、四国に住んでいる人がうらやましい。10分前の選択はやはり正しかったのだ。おいパンク野郎、かかってこい、きちんと退けてやるよそんなもん!(嘘です、そのリスクすら来ないでくださいもうしんどいことしたくないんですこっちは。)

画像1

 現金払いでも価値のある金目丼に満足し、さあ、室戸岬へ。自然に囲まれた道を少し進めば、そこはもう室戸岬。ただし、正直その景色にはあまり興奮も覚えない。だって海の景色さんざん見てきたんだもん。だから、ただの記念撮影タイム。こんな辺鄙なところに自転車できたわけだし、自分をねぎらう意味も込めてね。というわけで、室戸岬ときざまれた石碑とパシャリ、岬の岩に登って海をバックにパシャリ、極めつけはわざわざ疲れた体に鞭打って階段を上って展望台に行き、恋人の聖地碑と一人でパシャリ。大体こんなところに来るもの好きなカップルそんなにおらんでしょ。

画像2

 室戸岬観光が終わると、もう抜け殻になってしまった。もうすでにこの日の目的は達成されてしまって、あとはいかに徳島市に近付くかゲームになった。四国の東側って何海っていうのか全く分からないけど、この海もたいして興奮しない!だって、田舎の人が高層ビル街を見たら興奮するけど、都会の人はなんも思わないでしょ。そんな感じ!とにかく海沿いの道を漕いで漕いで漕ぎまくる。途中たくさんのお客さんが並んでいる海鮮料理の店を素通りしながら。やっぱいろんなおいしいものをいろんな場所で食べたいけど、もうお金もないし、そればっかやっててもね。

 そんなこんなで徳島県に突入し、まずは道の駅宍喰温泉へ。足湯でもないかなとか思ったけど、ないっぽい。他に用事はないから、さっさと次の海部郡海部町へ。そこでは、スーパーで夕食の買い出しをして食べた。さあ、時刻は18時を回ったし、ここからは本日の寝床探し。予定は日和佐というところにある道の駅。詳しくは知らないけど、道の駅野宿というものが流行っている?というので、それを体験しようという意味も込めてそこを第一候補地に設定。

 そこまでは山を開いたみたいな道なんだけど、これも四国で何度目か。慣れてしまえば無心で乗り越えられる。印象にもあまり残らない。21時ごろには目的地だったその道の駅に到着できた。そこには、まるで野宿してくださいと言わんばかりに囲われたスペースがいくらかあった。ベンチも当然のごとくある。

 道の駅ってこんなに野宿しやすいの?と内心驚きながら、ここを寝床に決定した。ちなみに、自転車が壊れたのか修理している人もいた。どうやらこの人もここで夜を明かしそう。案外夜の道の駅って野宿する人がいたりするんだな、とネットでの情報と実際の景色がリンクしていった。ちなみに、ずっとラジオみたいなのをそこそこ大きい音量で流しながら、自動の車いすみたいなのに乗ってうろうろしているよく分からないおじいさんもいた。おい警察、もし俺に職質とかするんだったら、このおじいさんももちろん道連れな。

 明日はあいにくの雨模様。正直雨の日に野宿はしたくはなかったけど、泊まる宿はないし仕方ない。寒さ対策をできるだけしたいものの、あの簡易寝袋は広げるときに大きな音がしちゃうから憚られる。どうせ明日は雨だからと、和歌山でお世話になったレインパンツを履いて最低限の備えを。ちなみに、この美波町、浜辺にありました。では、おやすみ。

ルート

 高知市から国道32号線で南国市に抜けた後、国道55号線に乗って室戸岬まで南下したら、そのまま海沿いを北上し徳島県の海部郡美波町まで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?