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大学生自転車日本一周旅三十九日目:松江駅から鳥取駅へ

本編

 この日の目標地点は鳥取市。距離にすると120㎞ほど。約8時間。比較的短い。少し余裕はあるからもっと進むという選択肢もあるだろうが、無理をしてしんどい思いをしたくないのと、鳥取砂丘でゆっくりしたい(というかほかに何の魅力があるのかよく分からない)から、鳥取まででこの日は良いことにした。

 松江市は結構鳥取県との県境側にある。しかも、県境を越えてもそこは米子市だから比較的大きく、トラブルがあってもなんとかはなる。田舎を走り続けるのに比べたら気が楽。安心してスタートを切った。

 30㎞は案外近い。2時間も我慢すれば到着できる。朝一だったら休憩もなしでok。一気に米子まで行った。だいたい県境は峠の頂点とか大きな川とかにあったけど、何の変哲もないところで急に県境がやってきたからびっくり。水木しげるロード(という名前のただの国道)が始まって急に登らされたものの、下ってみればもう市街地。

 ここは島根との県境に非常に近いということもあって、島根ナンバーの車も多かった。信号待ちの時に「島根?鳥取?ゲーム」を発案しては短い間だったが没頭した。やることは簡単で、やってくる車が島根ナンバーなのかそれとも鳥取ナンバーなのかを出来るだけ早く判断するだけ。見分けはつきそうで、案外わかりにくい。動体視力の強化に是非。

 米子を通り抜けると、次の大きい街は鳥取になる。残り約90㎞。左に日本海を、右には大山を見ながら田舎へと突っこんでいく。大山が近いということもあってか、アップダウンが続く。海沿いだから山登りは無いけど、それでもやっぱり疲れる。だけど、九州を乗り越え、中国山地も一度乗り越えていまだ成長中の身体。頑張って漕ぎ抜いた。

 疲れた後はやはりジュースを飲みたい。だけど、田舎すぎて全然コンビニが見つからない。しかも、見つかった時は大体少し余裕を取り戻して(コンビニからしたらそんなの知るかよって話)、もう一個先で良いかって決断する。そのもう一個先がまた遠いんだよこれが。

 そんな感じでずるずる漕いでいたら琴浦町というところの道の駅まで来てしまった。時間もちょうど12時を超えたあたりだったから昼休憩にすることに。道の駅の隣の海鮮料理屋がうまそう。だけど日曜の昼間。7組ぐらい待っている。しかもひとりで来てる奴なんて見当たらない。あんまり時間を使いたくもないから、ここでの食事は遠慮しておいた。代わりに道の駅に入っている牛骨ラーメンの店へ。

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 鳥取は牛骨ラーメンが有名らしい。初めて知った。牛骨ラーメンは中学生の時に一度食べたことがあるけど、おいしかった記憶がある。その時のお店は鳥取の店だったかは思い出せないけど。今回も牛骨ラーメンはおいしかった。ずっと前から、個人的には鶏豚牛の順でうまいと思ってて、牛は高いわりに魅力が、、、って思ってたんだけど、スープにすれば魅力を生かせるんだということに今更ながら気が付いた。ビーフカレーもいい感じの味が出てるしね。あとは仙台の牛タン定食についてくるテールスープもめちゃウマだったし。「牛の生かし方が方が分かった」って、本気で料理に取り組んでいる人にぶん殴られるだろうけどね。

 さて、うまい飯も食えたし鳥取市へ。この先で一旦自動車専用道になって逸れた後バイパスに入ったけど、ずっと右にしか歩道が無くて焦った。車の皆さんごめんなしゃい。向かい風の影響で漕ぎいにくく、急ごうとする心が体力をすり減らしていった。結構長かったし直線だったからこそより長く感じたというのもある。

 湯梨浜町に入ったら少し山道が増えたけど、海沿いの景色も見ることが出来た。鳥取に近付くにつれて浜がいくつか見えたが、砂が歩道まで大量に飛ばされていた。突っ切ろうとしたら、タイヤがとられてしまった。パンクしたタイヤが滑るのと同じ感覚。トラウマの再燃。ほんとにやめてくれよう。もともと何で鳥取に砂丘が出来たのかを知らなかったが、砂が飛んでくるから?とか考えていた。

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 鳥取市まで来たけど、小さい街だった。人口自体も少ないし当たり前ではあるけど。歩道のないトンネルを抜けて一登り、鳥取砂丘に行った。時間も17時ごろだったから夕暮れを待とうと思っていた。

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 誰もがカップルや友達と訪れている中、一人自転車できてしまったから、むしろ死ぬほどはっちゃけてやった。変な動画を撮ったり、砂丘を荷物をからったまま走ったり。どうせ恥をかくのは自分自身だけで他の人には基本迷惑が掛からないし。やってるときって案外周りの目は気にならない。だから楽しみまくった。終わって見返してみるとなかなかにヤバいけど。

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 パンクで昨日おとといと合わせて30㎞ぐらいは歩いているから、足には結構な負担が来ているわけ。さらに砂丘は足がとられるから移動にも一苦労。それなのに、壁みたいになってるところを何度も登ったり走ったりと、休むべき時間に疲労を蓄積させていった。明日はまた山地を超えて南側に出ていかなきゃいけないっていうのに。無計画バカは旅を通しても成長しませんでした。

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 やはり待った甲斐あって夕焼けはきれいだった。砂丘で視界を遮るものが360度見渡してもない。めっちゃきれいなのを撮影できた。しかも幸運なことにこの日は快晴だった。雲一つないと言っても過言ではないくらい。三日連続できれいな夕日を撮影しているけど、三日とも天気に恵まれていた。宮崎での小雨をカウントしなければ、九州一周を始めてからこの日に至るまで一度も雨が降っていない。なんてありがたいんだ。そして、代わりに浮き彫りになる前半戦の雨率の異常さ。

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 18時にはもう陽が落ちきって、観ていた人も徐々に帰り始めていった。しかし、ここまでの疲労と個々での疲労がひどく、あまりホテルへ向かう気にはなれなかった。砂の上を歩いた上に自転車を漕がなきゃいけないし。だから、砂丘に座り込んだり寝転んだりしながらひたすらにぼーっとしていた。体中、そしてバッグも砂まみれになってしまっていたけど、ひたすらに時は流れた。風が強くなって寒くなったけど、それでもだらだら。やっぱりだらだらが一番。

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 19時が近づいてチェックインの時間が近づき、焦るように砂丘を飛び出してホテルへと向かった。変なことばっかりしていたせいで、靴下と靴に砂が入りまくっていた。繊維と繊維の間に入り込んじゃうから、簡単には落ちてくれず面倒臭い。ホテルの人には申し訳ないとは思いながらも最悪落ち切らなかった砂は部屋で落とすことにした。

 ちなみに、一気に下って鳥取駅方面に行くんだけど、スピードが出まくった上に歩道を通っていたこともあって段差に何度も強くぶつかった。結果、空気が少し抜けてしまっていた。パンクはしてないよな、、、と心配しつつも、まあ大丈夫かと思って駅の駐輪上に駐輪しといた。もうパンクのことは考えたくない。

 明日は、また山を越えていかなければならない。山口から島根とは逆に、日本海側から瀬戸内海側へ。だけど、やっと近畿に突入。さらに楽しくなっていくはず。

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ルート

 松江駅からは国道9号線を走って鳥取県に入り、琴浦町まで移動した。その後、国道9号線が自動車専用になったので、県道320号線を走った後、また国道9号線のほうへ移動し(どこから自転車も通れるようになったかは分からないが、右側には歩道があった)、鳥取市まで走った。

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