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大学生自転車日本一周旅三十五日目:大分市から福岡市まで

本編

 過去最高の野宿だった。爆睡。おそらく目を一度も覚ますことはなかった。とにかくめちゃめちゃすっきりした。気が付いたら5時20分になろうとしている。犬の散歩してるおばさんがちょうど横を通り過ぎていくところだった。ワンちゃんを引っ張っていたから、よくお母さんが子供に言う「あの人はやばい人だから近寄ったらだめよ」的なノリなんだろう。朝ご飯は買っていないから、道中で食べなければいけない。トイレを済ませて顔を洗えば、九州一周最終日のスタート。

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 まずは大分市街地に入って大分県庁へ。写真撮影も無事済ませ、ここからは宇佐市を目指していく。山越えがあるけど我慢。ちょうどマックがあったから入店。朝マックと普通にエグチ頼もうと思っていたら、この時間帯は朝マックしか取り扱いがないって言われた。19歳にして初めてその事実を知る。遅すぎ。

 さて、おなかも満たしていざ宇佐へ。途中サルで有名な高崎山の入り口を左、うみたまごという水族館を右に見ながら海沿いを漕いでいく。どっちも大分県にあるのは知っていたが、大分市にあるとは思っていなかった。

 そのままいつも通り漕いでいたんだけど、急にタイヤがいつもより潰れているような気がした。気にしすぎでしょ。だが、それは間違ってはいなかった。実際5分と経たないうちにパンク。なにもしてないのに?頭の中は困惑。こんなことは初めて。今までも何度かよくわからないパンクの仕方をしたことはあったけど、原因の候補はあった。しかし、まじで意味が分からない。ただし、昨日と違ってラッキーだったポイントは平日であるということ。すぐさま近くの自転車屋を調べてみると、工藤輪店を発見。時刻はまだ8時になろうかというときだったけど、8時から営業しているようだ。基本的には自動車の店だが、自転車の修理も請け負ってくれるらしい。電話したらつながって快諾してくれたので急ぐ。日出町というところまで行き、修理をお願いした。ちなみに「ひので」ではなく「ひじ」と読むらしい。びっくり。工藤輪店では、日頃はそういった仕事をしないからだろうから慣れない手つきではあったものの、何とかパンク穴をふさいでもらった。いざ再出発。

 近くのセブンで昼休憩。案外田舎のほうが近くにスーパーが無いからこそコンビニが住民に密着している。店員と住民がとにかく仲が良いし、ここではないけど「最近どうですか」みたいな会話がされているのを見ると、コミュニケーションの場所は変わって行っているんだなと思った。

 宇佐まではやっぱり結構登ったけど、成長した姿を見せつけてやった。激しい登りは最初だけだったのはありがたかった。なんとか登り切ったら、そこからは田舎道。途中で「いらっしゃいませ宇佐」っていう看板に「Welcome to USA」って書いてあって、ここはアメリカじゃねえよと高知でもした突っ込みを乱用。てかみんなアメリカ好きね。もう少し進めば宇佐神宮が見えた。通り道にあったので、せっかくだからと寄り道。結構広かったので歩かされたけど行って良かったと思う。神宮横の通りで宇佐餅を買って速攻食べた。この日は、きっちりとした食事はとらずに、軽食を食べつないでいくことにした。

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 その後、宇佐と中津で唐揚げの食べ比べをしたいと思っていたため、まずは宇佐の唐揚げ発祥とされているお店へ。テイクアウト専門の店も併設されていたので、お持ち帰りで200gの唐揚げを購入。もちろん安くはないが価値あるうまさ。唐揚げ発祥の店という石碑ともパシャリ。パンクの影響もあって時間が押していたので、その味を堪能したら急いで次へ。また、時間の都合と満足感、さらには出費も鑑みて中津唐揚げは今回はスルーということにした。主催者の勝手な都合により、宇佐の不戦勝になってしまった。まあ発祥の店で食べられたし大満足。

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 中津市では何もしておりません。中津市に入るときに福沢諭吉の絵があったから、出身地だったんだーって思ったぐらい。ってか山口の日にも書いたけど、偉人アピをすんな。

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 勢いそのまま一気に福岡県へ突入した。豊前市で一旦休憩。道の駅でアイスを食べ、地元産のゴボウ茶を買ってスタンバイOK。結構ごぼうの味が後味として口の中に残った。新鮮な感覚。豊前市以降もこれまで通りガンガン走っていった。しかし、タイヤの調子が気になるお年ごろ。というわけでチョコチョコ覗いてたんだけど、築上町あたりでやはりタイヤの潰れがいつも以上に感じた。嫌な予感がする。考えすぎかな?

 結果、それはパンクだった。急いで近くの自転車屋さんを調べて直行。町なので基本的には個人商店しかない。一軒目。開いていない。コロナのせいか開いていない。嫌な予感はしつつも二軒目へ。こちらも空いていない。というか店をたたんでいる感じまである。駅前をうろうろしていたから多分高校生たちには変人に思われた。あきらめて行橋市の自転車屋さんに懸けることに。もともと行橋市の中心部にはいく予定なんてなかったのに。遠回りさせられた。

 行橋の店は開いていた。ありがたい。店名がカタカナだったから期待しててよかった。その店は問答無用でチューブを交換すると言ってきたけど、正直状況的にチューブが弱っているとしか考えられなかったからちょうどいい。空気もパンパンに入れてもらった。今度こそ大丈夫なはず。ほんと二日間で3回パンクとはやってられんよ。時間も結構オーバーしとるし。

 というわけで急いで福岡市へ。まずは田川市から。ここは山を越えた先にあるんだけど、ありがたいことにトンネルがある。しかもきれい。進行方向別に分かれていて歩道もある。そんなに苦労することなく田川市街まで入ってこれた。田川は思っている以上にちゃんと栄えている街でびっくり。ちなみに途中で雑草まみれの歩道があって、「まじか」みたいなことを言いながら口を開けて通過してたら、揺れた草が振りまいたやつを思いっきり吸い込んでしまって、そっからその日はずっと喉らへんの調子がおかしかった。このご時世、咳もしにくいんやけ辞めてくれ。コロナって目で見られるじゃん。

 田川市を超えると次は飯塚市だが、そこもトンネル完備。計画した人と作った人たちをあがめたいわ、もはや。ただし飯塚では国道から何回か分離させられた上に、八木山バイパスの始まりからは完全に自動車専用道になってしまった。ここまで通っていた国道201号にはもう一本あって、そこは自転車も通れる。しかし、その道の危なさは幾度となく車の中から見てきたから行きたくない。だから、バイパスのそばの県道を通って途中のインターの終わるところで元の道に入れてもらう作戦に出ることに。

 ずっと県道を我慢して走りながら(狭い、車通り多い)だんだんと目指すインターが近づいてきた。最後のほうは完全な山道ともいえる登り。歩道もないし夜だったから危ない(そういえば、野宿から目を覚ましたら、昨日まであったタスキを無くしていた)けど、もうちょっとだからと力を振り絞る。やっとの思いでたどり着いたインターチェンジ。

 しかし、そこには自動車専用の乾いた文字が。よくよく考えたら当たり前なんだけど、最初は頭が回らなかった。近くに交通整理の人みたいなのがいたんだけど「ここは通れないよー」すら言ってくれない。冷た。急いで安全そうな場所に避難し、マップをチェックする。ここまで来てるし選べる道の選択肢は多くない。結局バイパスのそばの山道を行くことに。もちろん押しまくった。多分4~500mの高さまで登った。

 なんとか時間はかかりつつも山を越えて篠栗が近づいてくると、今度は一気に下りになった。夜の山道を下るのもそれはそれで危険だけど、もうほとんど上らなくて済むと思うとほっとした。下って鳴渕ダムというところまでくればもう分かる。ゴールと言っても過言ではない。

 結局家に帰りついたのは22時前。朝出発したときの到着予定時刻は16~17時。何がパンクは旅を豊かにしてくれるだ。

ルート

 大分市から国道10号線に乗って福岡県の行橋市まで行き、そこから国道201号線を走って飯塚市の途中まで移動。その後、八木山バイパスが始まって自転車は通れなくなるので、そのそばの県道60号線、県道435号線を走って粕屋郡篠栗町へ。ここからは家へ帰るので一応伏せます。


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