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大学生自転車日本一周旅十六日目:富山駅から金沢駅を通って福井駅へ

本編

 前日一日休んだ影響で、体は多少ではあるものの回復した。天気も決して良くはなさそうだが何とか雨は降らずに持ってくれそうだった。別に何かプラスな情報があるわけでは無いが、マイナスな情報がこれまでと違って無かったので、期待を持って出発した。金沢に向かうまでの道は、正直言って楽だった。ありがたいことにしんどい登りもそんなにはなかったし、所要時間自体も長くなかったから、結構すんなりと金沢まで移動できた。

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 そもそも、富山県の小矢部町を通るところで軽い山越えがありそうだったから心配していたが、ちょっと登れば残りはずっとど田舎の平地で、不必要な心配だった。嫌だったのは、登りの際のトンネルは歩道が無くてなかなかに危険だったことぐらい。そういえば、トンネルを出てすぐ先の分岐点でクラクションを鳴らされてしまった。確かにゆったりと渡ってはいたけど、まだ車との距離はあったし。あれ、言うほど危なくなかっただろ!

 さてさて、話を戻す。無事に金沢駅に着いたんだけど、駅がまあ立派。富山駅もきれいではあったけどそれ以上に立派。北陸の主要都市の駅は、北陸新幹線開通のおかげなんだろうけど、最近建て替わったっぽくていい。駐輪場が地下にあったっていうのは面倒臭かったけど、無料で停められたので、相殺。

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 金沢では、時間が無かったわけではないが、兼六園などには行かなかった。理由は単純。先に県庁との記念撮影をしたから駅の北口からやって来ていたのに対し、兼六園や金沢城は南口側にあるから。そこまでして見に行く?的なノリが心の中にあった。しかも、個人的な話になるが、昔親に連れられて兼六園に行ったことがある。それもあって無理をしてまで行く気にはならなかった。まとめると、金沢での思い出はそうない、ということです。

 次は福井へ。金沢を出発してから、基本的には平地だったから楽だった。白山市を越え、能美氏に入って日本海側を走り始めると、電柱の広告に「松井秀喜ミュージアム」を頻繁に目にするようになった。しかし、周りは工場が多い。本当にこんなところにあるのか?そもそもこんな都市部から離れた場所なのか?右も左も工場で、道路を通る車も大型車が多い。さらに、自転車を漕げば漕ぐほど活気のない街へと景色が変わっていく。

 結局そのミュージアムの横を通ることはなかったから見に行けてもいないけど、思った以上に田舎でびっくり。勝手な想像でもっと都会だと思っていた。全くありそうな雰囲気がない地域だった。見つけたら少し行ってみようかなと思っていただけに、通過したことに後から気が付いてしまって残念。

 県境へ邁進していると少しづつ雨が。もういいて、と内心あきれながらも冷静を保って自転車を漕ぐ。ここまで来ると、もはや雨が降らない方が異常。期待してはいなかったけど、この旅で一番成長したのは、雨への耐性かもしれない。

 気が付けば、国道の頭上にある案内板に東尋坊の文字が。聞いたことはある!。だけど何なのかは分からない。ハットを被った男の人が風に吹かれてマントをひらひらさせながら黄昏ているイメージまでは浮かぶ。多分そのイメージは違うけど。書きながら調べてみたら、「飛び込み」とか「殺人」とかが候補の上位に挙がってくる。そもそも、自殺の名所らしい。ひゃあ恐ろしい。結果的には行かなくて良かったかもね。どちらにせよ行くことは無かったけど。海にそそり立つ崖だったような気がしていて、海沿いまで行くと福井市から離れてしまうことは分かっていたから、さすがに諦めていた。時間もそうだけど、単純にそんな体力も気力もない。想像しただけで気が滅入る。コンパスは福井駅に向け続けた。

 県境を越え、少しの山道を抜けると、そこには北潟湖が広がっていた。その北側に沿って移動していく。ところどころ自転車・歩行者専用道もあって湖のそばまで行くことが出来、これが自転車旅の魅力だよ!とどこに魅力があるのかいまいちわからない湖を見ながら思ったり。明日は琵琶湖のほとりを走る予定だったから、想像上の琵琶湖をこの景色に重ね合わせては、明日の旅路にワクワクしたり。

 福井県に入って「舟津」という信号のところまで下りてくると、そこからは基本的には平地。由緒ありそうな街並みや田園風景を通り抜けていく。ここまで来れば、もうフィニッシュしたようなもん。一週間で言うところの金曜日みたいな感覚。「えー、春江ってこんなところにあるんだ。」とか、正直どうでもいいだろと突っ込みたくなるようなことをぼんやりと考えながら、無事福井駅付近に到着した。

 この日のうちに県庁との記念撮影をしようと思っていたから、駅に自転車を止める前に福井県庁に寄ったが、庁舎自体が、何と福井城の跡地にある。中に入るためにはお濠を越えなきゃならんのだ。こりゃなかなかハードルが高い。平日に汗だくのtシャツ短パン男が、夕方の来客対応がもう終わっている時間に県庁に入っていくなんて。絶対変人に見られちゃうけど仕方ない。ちゃちゃっと撮影を済ませよう。なのに、こういう時に限ってうまく写真が撮れない。自撮りはもう二週間以上、枚数にして50枚以上はやってきているはずなのに、いまだにイメージ通りに写真が撮れない。

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 後にも先にも城跡に県庁の庁舎があったのは福井県だけだった。城跡の前とか横に庁舎を構えている県はたくさんあったけど。でも、見た目的にも映えるし、いい個性なんじゃない。

 さて、福井駅に無事到着。やはりこの駅もきれい。しかも駐輪代無料!そして、ホテルでのリラックスタイム。雨は降ったものの、特に試練という試練は降りかからず、波風のない一日だった。福井駅周辺のホテルは他の地域より少し高いのしか残っていなかったから、むしろ奮発して朝食付きのにしてやった。

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 ホテル代が高いなら野宿をすればいいものを、雨が降ったせいもあるが、なぜか野宿しようとはならなかった。雨がここまで降り続けていなかったらどうなっていたかは分からないけど、完全に野宿する気は失せていた。最初は野宿こそが旅だ!みたいなこと考えていたのにね。

 明日は待ちに待った近畿突入だい!

ルート

 富山駅からは県道9号線を走って西に移動。小矢部市から県道42号、国道471号、県道16号と乗り継ぎ、県境を越えて県道286号線、県道215号線、最後は国道8号線に入って石川県庁へ。その後金沢駅まで南下し、国道8号線に平行に西に移動したのち、国道8号線と合流。その後、途中で北上し、小舞子駅のそばの道へ。そのまま、西へ進んだら大聖寺川を南に見るような形で福井県との県境付近まで移動。国道305号線で北潟湖の北側のほとりを走って「舟津」という交差点まで下り、県道5号線で福井駅付近へ。

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