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秒速5センチメートルの恐ろしさ
この映画は、拗らせた恋愛映画であるという見方が一般的だと思うし、実際、それには違いないのだが、ただの恋愛映画ではないだろう。この映画の恐ろしいところは、明里という人物は深遠なもののメタファーであり、その表現の筆頭候補が『恋』であって、これが『夢』とか『純愛』とか『美』とか『願い』とか『世界平和』とか『道』とか『天才』とか、要するに、なかなか手に入れるのが難しい、もしくは到底手に入らない、ある人間
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*ネタバレ注意
絶望的な物語と幸福な物語、どちらの方がその作品のエネルギーが高いかと言われると、私は前者と答える。絶望している人間は、その絶望の状態から脱するため、果てはその絶望を逆に食らいつくそうという覚悟さえ持って、これをどうにかしようとする。実際に、多くの逡巡と、重大な決断と実際的な行為が見られる。その思考と行為の深さは凄まじい。絶望が深ければ深いほど、その具合は度を増していく。
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