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心にうつりゆく よしなしごと

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つらつらと徒然に、そこはかとなく書きつくります。たまに宣伝など。
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積みっぱなしで20年。スタンダールの『赤と黒』を読む

積みっぱなしで20年。スタンダールの『赤と黒』を読む

最近ずっと仕事も私生活も多忙で余裕がないうえ、同時に複数のことを考えられない不器用な性格。なんだかとても疲れてしまい、毎日ものすごいスピードで無数の情報が溢れているSNSともできるだけ距離をおいている。そんななか、自分のペースで情報量を調節し、自分だけの結界を構築できるのが読書かもしれない。

私は本を読むのがとても遅い。ゆえに、読書量がなかなか増えない。そのくせ、読んでみたいと思った本は手もとに

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夏目漱石と愛着障害と客観性

夏目漱石と愛着障害と客観性

夏目漱石の『道草』を読んだ。

漱石の自伝的作品といわれている。私は、自伝または私小説とされていない作品に関しても、作家その人の見解や人柄は、創出されるすべての作品の随所に存在していると考えている。それをふまえて読んだ『道草』で特徴的だったのは、決して感情的、一方的ではなく、自他の内面の瑕疵を淡々と客観的に綴っているという点。(比較対象とするなら、太宰治や芥川龍之介、三島由紀夫などがきわめて主観的

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韓国映画『パラサイト 半地下の家族』考察

韓国映画『パラサイト 半地下の家族』考察

※ネタバレしてます。映画を観ていない方はご注意ください。

話題の『パラサイト』を観た。
原題は『기생충 (寄生虫)』

ポン・ジュノ作品を観たのは『フランダースの犬(邦題/吠える犬は噛まない)』が最初で、コメディタッチの作風にピリッと風刺を効かせるセンスが印象に残っていた。

その後2003年公開の『殺人の追憶』を観た当時、たしか京橋かそのあたりの試写室だったと思うが、エンドロールが終わって室内

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闇でもがく少女

闇でもがく少女

顧問 神様
3年生 貴族
2年生 人間
1年生 奴隷

強豪校にありがちな部活内のヒエラルキーは、私の所属していたソフトボール部にも存在していた。年齢がたったひとつやふたつ違うだけで、身分が変わる。今考えれば理不尽極まりない話だが、当時は誰もその空気に異を唱えるものはなかった。

私の通っていた公立中学校は部活動が盛んな一方、市内でも指折りの、地域住民や警察までもが警戒するほどのヤンキー培養校だっ

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坂を駆ける少女

坂を駆ける少女

 私の通っていた中学校は、正門からいきなり急坂が長々と伸びていて、頂上に校舎、そこからこんどはグラウンドに向かって再び急な下り坂になるというレイアウトになっていた。

 坂道の両脇にはソメイヨシノの木がずらりと植えられており、春にはあたり一面、桃色がかった白くて可憐な花が一斉に淡い光を放ち、そよぐ風にはらはらと舞う花びらとあいまって、幻想的な桜のトンネルを浮かび上がらせる。

 私はソフトボール部

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皆もすなるnoteといふものを、我もしてみむとてするなり。

皆もすなるnoteといふものを、我もしてみむとてするなり。

 ここ数年、ライター仲間や先輩、小説書きの方々が続々と始めている「note」てなんだろう?
SNSやブログとなにが違うんだろう?
 とじーっと草葉の陰から眺めておりましたが…ブログ的な見た目と扱いやすさなのに複数のページを別展開でき、任意で課金して作品を売ることもでき、さながら個人の公式サイトとしても使える…的な? 

 なんとなくわかったようなわからないような。でも、なんかおもしろそう。

 そ

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