記事一覧

目には目を

ジョーは絶望していた。 絶望しすぎて、命を断つということすら頭に浮かばなかった。何年も続く父親からの虐待がジョーを苦しめていた。しかも、身近のこの大きな問題に加…

bangaro
5日前
1

アイアンクロー

私はそこそこプロレスを観ていた時期もあるが、この映画の中心であるフォン・エリック家のことは知らなかった。事前情報についてもそこそこで鑑賞。 本作は、プロセスを扱…

bangaro
10日前

インフィニティ・プール

ブランドン・クローネンバーグ監督作。ブランドン監督といえば、ここでも触れた『ポゼッサー』がある。『ポゼッサー』は一度鑑賞後、しばらく内容を忘れていて、もう一度見…

bangaro
2週間前

オッペンハイマー

待たされたねー。これだけ公開延期されると、観れない可能性も感じて不安になってしまうが、最終的には観ることができ、まずはよかった。 さて、私は日本人でかつノーラン…

bangaro
1か月前
5

2024 J1#5 川崎フロンターレ3-0FC東京

久々にフロンターレのことでも。 長年サポーターをやっている身、これまでどん底につき落とされたこと数しれずの身からすると、リーグ3連敗なんて、なんてことない。とはい…

bangaro
1か月前

三体(Netflix版)

以前、原作と中国(テンセント)版についてはここに書いたが、今回Netflix版が配信されたので一気に鑑賞。なお、この記事のおおまかな部分は、BLACKHOLEの『三体』特集でとり…

bangaro
1か月前
3

デューン/砂の惑星 PART2(追記あり)

前作は、「えーここで終わり?」感の強い作品だったが、今回は「どうせPART3あるよね」という思いで鑑賞にのぞんだ結果、結構楽しめた。ポールの成長譚として物語の筋が通っ…

bangaro
1か月前
4

ARGYLLE/アーガイル

マシュー・ヴォーン作品を鑑賞するのはややためらわれた。というのも、前作『キングスマン:ファースト・エージェント』があまりはまらなかったので。が、本作はいい!もちろ…

bangaro
1か月前
2

映画ドラえもん のび太の地球交響楽

子供と鑑賞。最近のドラえもん映画の中では、個人的には高評価。よかった点は、いつものいかにもな悪役がいないこと。今回の敵は、知性があるかも不明な地球外生物?なので…

bangaro
1か月前
3

マダム・ウェブ

聞こえてくるのがネガティブな評価ばかりの中、火中の栗を拾いに『マダム・ウェブ』行ってきた。 これ、そもそもヒーロー映画の題材としては無理があると思う。なぜなら、…

bangaro
2か月前
1

落下の解剖学

予告編を観ても今ひとつ乗り気ではなかったのだが、TBSラジオ『こねくと』で町山智浩さんが推している内容を聞いて、観てみようと思った。 本作は、ある男性がロッジの地面…

bangaro
2か月前
5

ボーはおそれている

アリ・アスター作品は苦手、だけどつい観てしまう、けど、嫌なので二度と見返す気にならない。そういうもの。が、この『ボーはおそれている』は、全体をコメディ側に寄せた…

bangaro
2か月前
4

キャンセルカルチャーについて考える

私がキャンセルカルチャーについて考えてみようと思ったのは、昨今の松本人志氏の性加害報道もあるが、直接的なきっかけはYouTubeの水道橋博士のチャンネルで配信された『…

bangaro
2か月前
4

哀れなるものたち

『哀れなるものたち』について藤谷文子さんが「大好きな映画になった」とおっしゃってたが、私も同じ気持ち。かつてのお台場ヴィーナスフォートを思わせるような(と言っち…

bangaro
3か月前
4

『三体』原作とドラマ

配信サービス隆盛の中、WOWOWも生き残りをかけ、攻めたコンテンツを仕掛けてきている。11月には『キングダム』『キングダム エクソダス』を一挙放送してくれたおかげで、映…

bangaro
3か月前

アクアマン:失われた王国

つい先日の『マーベルズ』までは元気だったんですが、とうとう私にも「スーパーヒーロー疲れ」の症状が出たようです。なので短めに。 疲れなのか、長いからなのか、海中の…

bangaro
3か月前

目には目を

ジョーは絶望していた。
絶望しすぎて、命を断つということすら頭に浮かばなかった。何年も続く父親からの虐待がジョーを苦しめていた。しかも、身近のこの大きな問題に加え、もうひとつの漠然とした兆しが彼をより不安にさせていた。ある夜、その日も彼はまたこっぴどく殴られ、家の外に追いだされた。月もない、しんとした漆黒の闇が彼を迎えた。彼は生まれて初めて神というものに問いかけてみようとした。その時である。
ジョ

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アイアンクロー

私はそこそこプロレスを観ていた時期もあるが、この映画の中心であるフォン・エリック家のことは知らなかった。事前情報についてもそこそこで鑑賞。

本作は、プロセスを扱うにしては、まず絵の美しさが目をひく。演出も、一家に起きる悲劇をそのものは写さず、控え目に表現しているのも印象的。プロレスには似つかわしくないようだが、どうして、試合などはプロセスのエッセンスを正しく伝えており、プロレス映画としても傑作と

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インフィニティ・プール

ブランドン・クローネンバーグ監督作。ブランドン監督といえば、ここでも触れた『ポゼッサー』がある。『ポゼッサー』は一度鑑賞後、しばらく内容を忘れていて、もう一度見直してたら好きになったということがあった。なので、かなり期待を持ってみたが、期待以上であった。
物語の構造としては、都会から隔離された場所に行った主人公がとんでもないことに巻きこまれるという、構造としては、アリ・アスター監督の『ミッドサマー

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オッペンハイマー

待たされたねー。これだけ公開延期されると、観れない可能性も感じて不安になってしまうが、最終的には観ることができ、まずはよかった。
さて、私は日本人でかつノーラン推しなので、その観点から語りたいと思う。まず、本作は登場人物が多すぎたり、複数の時間軸が前後しているため難解と言われていた。カラーとモノクロで異なる時間軸というお作法は、『メメント』でやっているから、そんなに苦ではない。登場人物も、時間の前

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2024 J1#5 川崎フロンターレ3-0FC東京

久々にフロンターレのことでも。
長年サポーターをやっている身、これまでどん底につき落とされたこと数しれずの身からすると、リーグ3連敗なんて、なんてことない。とはいえ、わざわざnoteに書くなんて気にまではならない訳で。こういう機会でもないとね。

今までフロンターレ、色々問題を抱えてきたが、前回鹿島戦の敗戦から2週間空いたのはよかったのだろう。鬼木監督も「リセット」といっていたが、まさに新規蒔き直

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三体(Netflix版)

以前、原作と中国(テンセント)版についてはここに書いたが、今回Netflix版が配信されたので一気に鑑賞。なお、この記事のおおまかな部分は、BLACKHOLEの『三体』特集でとりあげていただいたので、そちらもぜひ参照ください:-)
ネトフリ版はテンセント版みたく長くない。8話と短かくする代わりに、キャラクターを大胆に再構築。最初は、多様性のためのキャストかと思いちょっと心配していた。が、それぞれが

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デューン/砂の惑星 PART2(追記あり)

前作は、「えーここで終わり?」感の強い作品だったが、今回は「どうせPART3あるよね」という思いで鑑賞にのぞんだ結果、結構楽しめた。ポールの成長譚として物語の筋が通ってる。ただポールが主人公ではあるんだが、この作品は女性達のキャラクターが際立っている。フローレンス・ビュー様はじめ、今回もバリバリ活躍のレベッカ・ファーガソンお母様や、謎のレネ・ゲゼリット、レア・セドゥなど、キャラクターも強い。IMA

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ARGYLLE/アーガイル

マシュー・ヴォーン作品を鑑賞するのはややためらわれた。というのも、前作『キングスマン:ファースト・エージェント』があまりはまらなかったので。が、本作はいい!もちろん、ケナそうと思えばいくらでもツッコミどころのある作品ではある。『キングズマン』もそうだが、『オースティン・パワーズ』ほどギャグにふりきってる訳でもない。が、観ていて楽しいならいいじゃないか。ラスト主人公ピンチの場面、若干デウスエクスマキ

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映画ドラえもん のび太の地球交響楽

子供と鑑賞。最近のドラえもん映画の中では、個人的には高評価。よかった点は、いつものいかにもな悪役がいないこと。今回の敵は、知性があるかも不明な地球外生物?なので、そこに絞ったのはよかったと思う。のび太の新恐竜だっけ?では、「カタキ」を恐竜絶滅だけにしとけばいいのに、また別に悪役を立てるのはtoo muchだと思った。しかも今回、戦う武器が音楽というのもいい。まあマクロスとかでやってることではあるけ

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マダム・ウェブ

聞こえてくるのがネガティブな評価ばかりの中、火中の栗を拾いに『マダム・ウェブ』行ってきた。
これ、そもそもヒーロー映画の題材としては無理があると思う。なぜなら、未来を予知でき、タイムリープによるやり直しも可能って、どうみてもヴィランの能力だし、やり直し可能というチート=万能性が、ヒーローアクションの緊張感を削ぐ結果になってしまうため。それに対し、映画はマダム・ウェブの能力発動に制約を加えることで、

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落下の解剖学

予告編を観ても今ひとつ乗り気ではなかったのだが、TBSラジオ『こねくと』で町山智浩さんが推している内容を聞いて、観てみようと思った。
本作は、ある男性がロッジの地面で倒れているのを散歩帰りの息子に発見されたところからはじまる。状況からみて、男性は作業をしていた家の三階から落下したと見られる。窓枠の高さや、頭に打撃の跡があることから、事故の可能性は低く、自殺または殺人のいずれかの線で捜査が行われた。

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ボーはおそれている

アリ・アスター作品は苦手、だけどつい観てしまう、けど、嫌なので二度と見返す気にならない。そういうもの。が、この『ボーはおそれている』は、全体をコメディ側に寄せたために、嫌でありながらも笑える内容になっており、はじめて、何度も見返せる作品になった気がする。え?ある意味ではひどい3時間ではあるけど、嫌の種類が違うというべきか。これをコメディーととれるか
アイドルのポスターだらけの部屋に寝かされているな

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キャンセルカルチャーについて考える

私がキャンセルカルチャーについて考えてみようと思ったのは、昨今の松本人志氏の性加害報道もあるが、直接的なきっかけはYouTubeの水道橋博士のチャンネルで配信された『【LIVE】映像業界の性暴力と加害について…【月2博士と町山】』で、映画監督に性加害を受けた睡蓮みどりさんが、「作品に罪はないと思うがそれは違う」という趣旨のことを発言されていたのを聴いたからである。同様の発言を睡蓮さんは映画秘宝3月

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哀れなるものたち

『哀れなるものたち』について藤谷文子さんが「大好きな映画になった」とおっしゃってたが、私も同じ気持ち。かつてのお台場ヴィーナスフォートを思わせるような(と言っちゃ失礼か)、空からして作りもの感を敢えて出している寓話的なセットや、エマ・ストーン演じるベラの表情(特に、冒頭のヴィクトリアとしての顔と、そのすぐ後に登場する無垢な赤ん坊としてのベラの顔の落差)に、すぐ夢中になった。
好きすぎて原作も読んで

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『三体』原作とドラマ

配信サービス隆盛の中、WOWOWも生き残りをかけ、攻めたコンテンツを仕掛けてきている。11月には『キングダム』『キングダム エクソダス』を一挙放送してくれたおかげで、映画館で見逃したのに無事観ることができた。

そんなWOWOWで先日放送されたのがSFドラマ『三体』。これはWOWOWオンデマンドでも配信されている他、Hulu等でも配信が始まってるらしい。
原作は確か柳下毅一郎さんがBLACKHOL

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アクアマン:失われた王国

つい先日の『マーベルズ』までは元気だったんですが、とうとう私にも「スーパーヒーロー疲れ」の症状が出たようです。なので短めに。
疲れなのか、長いからなのか、海中のせいでスローモーなアクションのせいか、あまりツイストのないストーリーのせいか、なんか今回ノレませんでした。
唯一よかったのは、顔出しが主流のこのご時世、ブラックマンタがほぼマスクで通したことですかね。ただむしろ、マスクはアンバーの方に必要だ

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