『三体』原作とドラマ

配信サービス隆盛の中、WOWOWも生き残りをかけ、攻めたコンテンツを仕掛けてきている。11月には『キングダム』『キングダム エクソダス』を一挙放送してくれたおかげで、映画館で見逃したのに無事観ることができた。

そんなWOWOWで先日放送されたのがSFドラマ『三体』。これはWOWOWオンデマンドでも配信されている他、Hulu等でも配信が始まってるらしい。
原作は確か柳下毅一郎さんがBLACKHOLEで紹介くださったので私も読んでいた。原作はSFとしてたいそう面白い。最初、文化大革命のシーンに始まり、そこで登場した葉文潔という人物の物語と思いきや、突然舞台は現代に飛び、ワンミャオという科学者の周辺で起きる科学者の連続死の謎を追っていく話になる。ここで読者は「え、これどうつながってる?」となるが、これがあとでしっかりつながるところが本作のうまいところ。その他、天の星の明滅、視界から消えないカウントダウン、三体というVRゲーム、大量の人をビットに見立てた人列コンピュータなど、映像化したら明らかに面白そうなガジェットが並ぶ。つまりこれ、映画やドラマになったら一定の成功は保証されているようなものである。
ところが、WOEOWで放送されたドラマはこれを軽く上回ってきた。


中国で制作されたドラマは1時間弱×全30話。ボリュームにビビりつつ、年末年始でなんとか完走。

ドラマは、先ほど紹介した原作とはちょっと時系列を変えて、いきなり現代から始まるので、前述のミステリはない。ただドラマにするならこの順で正しいと思う。それ以外のエピソードは概ね原作通りで、映像として見たかったVRゲームや、人列コンピュータなども、期待通り見せてくれる。ただ、30話もあるので原作にない部分も違和感なく広げています。

原作通りと言った、原作を知らなくても充分楽しめる。なぜなら本作、バディ物、ミステリー、サスペンス、アクション、人間ドラマと全て盛り込んだエンタメ超大作に仕上がっているから。また、各登場人物のキャラクターも立っていて、誰かに感情移入できるのが見やすさの一因かと。おすすめは、ナイスバディ(相棒の方)のシーチアンおじさんと、その部下で、1人で10人力のビンビンちゃん。阿部寛を弱くしたような主人公ワンミャオもいいし、ミステリアスな申玉もいい。

そんな『三体』、先日Netflix版の予告編を観た。多様性の名の下、どの人がどの役か分からんキャスティング。正直、不安しかない。まあノースマンがハムレットになったんだという風に頭を切り替えるべきなのかも。

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