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太陽のへその緒 #春ピリカ応募
黄色い絵の具を塗り込めたような冷たい表面に指を押し当てると、確かな手応えと共に明るい香りが解き放たれた。樹は指の力が抜けてしまった。その手から咲がそっと晩柑を取る。咲の手はごつくて褐色で、爪の周りに土がこびりついている。樹は背を丸め、光る青空に甘い香りが溶けていくのを眺めた。
昨日も晴れて、暑かった。小さな無人駅を出ると青い軽が停まっていて、咲が手を振っていた。「迎えなんてよかったのに」と言
【詩】 春と花が未来に
あんまり天気が良いから外へ出ていく
ぼくはまだぼくを見ている
花だ、花だ、何の役にも立たない花だ
言葉は散った、未来に投げ掛ける言葉も光も
木は蝉を宿す準備をしている
蝉はまだ木の季節に追いつかない
朱い花と白い花がここにある
今あって、今しかない
花だ、花だ、何の役にも立たない花だ
甘い香りを晴れがましく漂わせている
あくびをするぼくはまだぼくを見ている
花が掻き立てるぼく
めっちゃ嬉しいことがあったという自慢話と美味しいものの写真
「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー」というnoteの企画をご存知でしょうか
隔月でお題に合わせて小説などを出し合う集まりなのですが
先月わたくしが出させていただいた小説が
みなさまの投票の結果、
入選してしまいました
講評でもたいへんありがたいお言葉をいただいて、とても嬉しかったです
本当に、ありがとうございます
以上、葵のただの鼻持ちならない自慢話でした!
これで終わるのでは