高校生。小説や詩を書き、絵を描き、たまにウクレレを掻き鳴らします。 アイコンはうわの空…

高校生。小説や詩を書き、絵を描き、たまにウクレレを掻き鳴らします。 アイコンはうわの空さんお手製たんぽぽチャーム!

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    葵の小説です。長いのも短いのもあります。

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    闇夜のカラス、拝啓あんこぼーろ、葵によるリレー小説です。

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太陽のへその緒 #春ピリカ応募

 黄色い絵の具を塗り込めたような冷たい表面に指を押し当てると、確かな手応えと共に明るい香りが解き放たれた。樹は指の力が抜けてしまった。その手から咲がそっと晩柑を取る。咲の手はごつくて褐色で、爪の周りに土がこびりついている。樹は背を丸め、光る青空に甘い香りが溶けていくのを眺めた。  昨日も晴れて、暑かった。小さな無人駅を出ると青い軽が停まっていて、咲が手を振っていた。「迎えなんてよかったのに」と言えば、「弟のしけた顔見に来たんや」と咲は笑った。がなるような洋楽を蜜柑畑に響かせ

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      新しい仲間

      • Beautiful Thing

        きれいなものはいつだって正解  あんまり感動したから絵を描いてしまったじゃないですか ここからはデジタルです 大切なお姉さんのことを歌った歌だそうです↑ 今気に入っているGrace VanderWaalの曲↓ おまけ マントは一瞬緋色にしてやめた

        • 【葵のメルヒェン】 怖いものしらずの王子

           むかしむかし、ある大きな国の老王は、ひとり息子のことで悩んでいらっしゃいました。若い王子は武勇にすぐれ、血気盛んで、暇さえあれば国じゅうの武者と剣の手合わせをしていたのです。老王は「一国の王たるもの、もっと思慮深くなくてはならない」と、何度息子に諭したかわかりませんでした。しかし王子は自分の剣技に誇りを持っており、自分は無敵だと信じておりましたから、父王の言葉をちっとも聞き入れようとしませんでした。  ある日、老王は息子を呼び出して言いました。 「このごろ、この国の辺境で怪

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        太陽のへその緒 #春ピリカ応募

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          見えたのは #シロクマ文芸部

           紫陽花をジュースにして飲むと見えないものが見えるようになるらしいからやってみようと思う  紫陽花をとってきてうちでミキサーにかけた  道の途中でいろんな人にガン見された  何人かは指までさしてきた  気にしない気にしない  紫陽花のジュースは紫蘇ジュースみたいな綺麗な赤紫だった  涼しい色だ雨みたいに  ちょっとだけとくべつな気分になりたくてワイングラスを出す  うちの人にすごくガン見された  あごがはずれるんじゃないかと心配になるくらいぽかんと口を開けていた  気にしない

          見えたのは #シロクマ文芸部

          【葵のメルヒェン】 黄金の鳥

           むかしむかし、ある小さな村に、美しい娘が住んでいました。気立てが優しくて、よく笑い、よく人を笑わせたので、村人たちはみんな彼女のことが大好きでした。  ある日のことです。いっぴきのさかなが、娘の家にやってきました。肘から指のさきまでくらいの大きさの、すらりと美しい魚でした。光の具合で、みどり色にも、青色にも、はたまた黄金色にも見えました。 「もしもしお嬢さん。雨の神さまの娘さん。どうかわたしを食べてください」  娘はびっくりして言いました。 「まあお魚さん。どうしてあなたを

          【葵のメルヒェン】 黄金の鳥

          116年後の第一夜 #シロクマ文芸部

          「雨を聴くと、落ち着かない気持ちになるんです」  彼女は言った。彼女のうしろで、大きな窓を雨粒が、絶え間なく叩いていた。 「胸が潰されるような、たまらない気持ちになるんです」  グラスのアイスカフェオレの氷が、からんと音をたてた。濡れた足もとが店内の冷房で冷え切っている。こんな日に冷たい飲み物なんて、女の子に飲ませるべきじゃなかったなと、今さら反省した。 「だからわたし、考えていたの。むかしむかし、わたしがわたしじゃなかったころ、わたしはこんな雨の日に、大切なひとをなくしたん

          116年後の第一夜 #シロクマ文芸部

          最近描いた絵

          the 何をやっているんだ受験生。 オリジナルキャラクターです。恐縮です。 こちらは、題してメタモルフォーゼです。 ペン入れにはじめて筆ペンを使ってみました。 というのもこれを見たから。 へーっ!筆使うんだー!おもろーやってみよー!のノリ。いや私何やってるんだ。  今度は失敗したら悲しいからと思って描いている途中のやつもパシャパシャやりました。  百均で買った新しいペンを試したくて、ちょっとだけーと思って描き始めたら2時間半くらい描いてた。時間が溶けました。たはは

          最近描いた絵

          【ノンセンス小劇場其の弍】マジカルバナナ

          「なあ、マジカルバナナしようぜ」 「?、マジカルバナナってなんだ」 「ほらあれだよ、なんとかといったらなんとか、みたいな」 「嫌だと言ったら嫌だ、みたいなやつか」 「うーん、ちがうーっ!」 「お」 「バナナといえば黄色、黄色といえばレモン、みたいなやつよ。連想ゲームっつうの?」 「そうか…」 「ほらやろうぜ。バナナといえば?」 「バナナといえば…バナナ饅頭だな」 「え。なにそれ」 「知らねえ。俺の携帯の変換予測に出てきた」 「げ!作者の声が漏れてる!」 「バナナ饅頭(バナナま

          【ノンセンス小劇場其の弍】マジカルバナナ

          深夜の日記がおもろかった話

           久々に1ヶ月くらいまえの日記を読み返したら、どうした、自分?!と突っ込みたくなった。 4月某日 午前0時24分  思い込みは真理なんかじゃない。自分は正しいという思い込みは根強い。私は気づいたか。考えていることは、表明して擦り合わせなければ正しいかどうか判断もできない。表明して得られた反応が違っていた時、私は素直に間違いを認められるか。  この世でいちばん大事なのは、ことばではなく行動だ。そして筋肉は無敵だ。パワーは力だ。弱気になってはいけない。できるできないじゃない。や

          深夜の日記がおもろかった話

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          最近作ったご飯

          最近作ったご飯

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          【詩】 春と花が未来に

          あんまり天気が良いから外へ出ていく ぼくはまだぼくを見ている 花だ、花だ、何の役にも立たない花だ 言葉は散った、未来に投げ掛ける言葉も光も 木は蝉を宿す準備をしている 蝉はまだ木の季節に追いつかない 朱い花と白い花がここにある 今あって、今しかない 花だ、花だ、何の役にも立たない花だ 甘い香りを晴れがましく漂わせている あくびをするぼくはまだぼくを見ている 花が掻き立てるぼくの心の愉しさを見ている ひとりできらきら、ぱっと明るい人になりたい 華やぐ、

          【詩】 春と花が未来に

          【200字夢日記】つぶらなトイプー先輩

          金曜日。譲渡会でつぶらな犬たちを愛でていると、白いトイプードルがやってきて、ドゥクシと効果音がつきそうな鋭いパンチを胸に繰り出してきた。 心底馬鹿にした顔で振り返りながら戻って行くので己の弱さが悔しくなり、家で猛然と筋トレでもしようと決意して立ち上がる。 「トイレと風呂場にも一匹ずついるから見ていかない?」とスタッフが声を掛けてくるので、「今いそがしいんです」と断って、帰り道に猛然とアイスを買う。 ヱリさんリスペクトの夢日記でございやした どうも、ありがとうございました

          【200字夢日記】つぶらなトイプー先輩

          めっちゃ嬉しいことがあったという自慢話と美味しいものの写真

           「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー」というnoteの企画をご存知でしょうか  隔月でお題に合わせて小説などを出し合う集まりなのですが  先月わたくしが出させていただいた小説が   みなさまの投票の結果、  入選してしまいました  講評でもたいへんありがたいお言葉をいただいて、とても嬉しかったです  本当に、ありがとうございます 以上、葵のただの鼻持ちならない自慢話でした! これで終わるのでは我が名がすたるので、いつもの飯テロを入れて、それではごきげんよう! 華金を楽しん

          めっちゃ嬉しいことがあったという自慢話と美味しいものの写真

          【新生活20字小説】 クラスのあの子

          笑った顔が珍しくて目が離せない私も笑う。

          【新生活20字小説】 クラスのあの子

          【新生活20字小説】 12時間寝た後で

          本と共に散らかした妄言を机に並べてみる。

          【新生活20字小説】 12時間寝た後で