マガジンのカバー画像

ごちゃマガ【エッセイ版】

14
だいたい月2、3回更新。今までの記事のなかから、オススメエッセイをごちゃ混ぜでまとめたマガジンです。バラ売りしていた有料記事の一部が読めます。
¥1,000
運営しているクリエイター

記事一覧

【日記】20240213哀れなるものたち観に行った

【日記】20240213哀れなるものたち観に行った

映画『哀れなるものたち』を観にいった。とてもよかった。

死亡時に自ら身ごもっていた胎児の脳を移植され電気ショックで蘇生させられた女性ベラが主人公の映画である。この映画はベラが世界と自己を獲得するに至る物語だ。体は大人・頭脳は赤ちゃん、逆コナン君である。

そんなやべー手術をしたのはベラにはゴッドと呼ばれているゴッドウィン博士だ。彼は彼の父親から「実験動物」として苛烈な扱いを受けて育ち、自らもやべ

もっとみる
歌の配信アプリで遊んでたら画像編集技術が爆上がりした件

歌の配信アプリで遊んでたら画像編集技術が爆上がりした件

2年ほど前、ひょんなことから配信アプリをはじめた。アメコは喋ることと書くことが大好きでラノベ作家なんかをやっているマンなわけだが、ダウンロードしてみたら歌とかの配信をするアプリだった。びっくり。2年間で特に歌がうまくなったりはしなかったけれど、画像編集の技術だけがめちゃくちゃな向上をみせたので、ちょっと話を聞いてほしい。

画像を作れる人が羨ましかったラノベ作家さんの中には、画像編集に長けた方がた

もっとみる
林家つる子さん真打ち昇進壮行落語会

林家つる子さん真打ち昇進壮行落語会

大変おめでたいことに、このたび大好きな他大学落研の先輩である落語家・林家つる子さんが女性初の11人抜き真打ち昇進となります。学生時代からの仲間で集まって、彼女をお祝いしようという会が1月24日にありました(ご来場およびたくさんお差し入れも頂戴し、ありがとうございます! 全部とっても美味しかったです)

なんとトークコーナーにお呼びいただきまして、ドキドキの気持ちで駆けつけて参りました。当時の飲みt

もっとみる
【日記】地震、ガザ、寒波とバイオリン

【日記】地震、ガザ、寒波とバイオリン

寒波がやってきて11月の真夏日なんて嘘のように冷え切った夜が続いている。地震に見舞われた中国中部甘粛省にも寒波が直撃しているのだそうで、被災した方々が一刻も早く暖をとれるようになってほしいと願わずにはいられない。

仕事用のTwitterアカウントにログインすると、まるでガザで行われている現在進行中の民族浄化なんて存在しないようなタイムラインで、たぶんそれが私たちのような立場としては『正しい』振る

もっとみる
【日記】暮らしの爪先をととのえること

【日記】暮らしの爪先をととのえること

何かの拍子にいただいた素麺が入っていた木箱の蓋をひっくりかえして、ドライヤーとヘアブラシを入れていた。この家に越してきてから「そう」なので、都合5年になる。

素麺の木箱の蓋は、平べったくて大きい。ドライヤーもヘアブラシもちっともぴったりとはいかずに、収まりの悪いままで鎮座している。しかるべき置き場所から滑り落ちてきてドンガラガッシャンといった騒ぎになることも何度かあった。当然のことだ。私は非常に

もっとみる
つまんねぇ悪口と、つまる悪口。

つまんねぇ悪口と、つまる悪口。

そいつは言った。

「いやあ、口が悪くてすみません!」

うわ、つまんねー奴。
私は思った。

もっとみる
流れ弾の中で育ってきた

流れ弾の中で育ってきた

私の身体が二次性徴をむかえ、やたらと多い男性ホルモンに起因する生理不順に苦しんでいたティーンエイジャーの入り口で、ニキビを潰しては枕を血に濡らしていた頃、ある女の子が生まれた。

彼女の名前は──ああ、彼女に苗字はない。ついでに日本国籍もない。
敬宮愛子内親王殿下、通称「愛子様」のご誕生と、それを巡るテレビショーのかまびすしい報道、そして彼女の母であり雅子皇太子妃殿下(当時)へのまなざしを、今でも

もっとみる
5月~6月発売作品まとめ

5月~6月発売作品まとめ

大変ご無沙汰をしています。
蛙田アメコでございます!!
小説、コミカライズ含めてたくさん発売しております。

コミカライズ作品小説いつも応援してくださって、ありがとうございます。

私は、推しになりたい。

私は、推しになりたい。

という一説が出てくる短編小説を書いたことがあります。

『フジョシ先輩と推されない私』というタイトルで、大きな(事件/出来事としての)起承転結がない季節性会話劇のような作品でした。いわゆる冒頭に転がる死体というか、センセーショナルさに欠ける作品であることはわかっていて。そういうわけで、小説として何かしらの商業展開などがあったわけではなかったのですが、気に入っている作品です。

フジョシ先輩と推され

もっとみる
泥に箱船~座薬に敗れた恋の話~【小説スケッチ】

泥に箱船~座薬に敗れた恋の話~【小説スケッチ】

大失恋であった。
そんじょそこらの失恋ではない、大敗北であった。

30分あたり99円、フードドリンク持ち込み自由。壁の薄い、音響の悪い、ヤニ臭いカラオケボックス。そこかしこから、ブンジャカズンドコ、ぼえぇ~と音が聞こえてくる。外は雨。冬の、冷たい、霙まじりの雨。暖房がよく効いた、カラカラに空気の乾いた狭いカラオケボックスの個室は、なんだか箱船みたいで心地よかった。午後5時54分のことだった。

もっとみる
殴らずにはいられない。

殴らずにはいられない。

昔、『詩のボクシング』という番組があった。
ボクシングリングの上で、2人の詩人が自作の詩を朗読して『どちらにより殴られたか』を審査員や観客が投票して勝者を決めるのだ。

お気に入りの番組だったけれど、同時に、

「な、な、なんて野蛮なんだーー!!」

と仰天していた。
だってそうだろう。詩も、歌も、唄も、たぶん暴力とは一番縁遠いところにあってほしいと願われ続けてきたものだ。暴力とは一番遠いところに

もっとみる
言葉ごときを謳う歌の話

言葉ごときを謳う歌の話

昨年は自分史上であまりにも特異的にお歌を聴いて、そしてお歌を歌っていた。

たぶん、今までの人生での歌唱時間を2022年の半年で超えたと思う。そんななかで、たいそう気に入った曲ができた。

ヨルシカの『春泥棒』だ。

ヨルシカといえば、音楽ライターの満島エリオさんが書かれていた名作エッセイを読んで、えらく感銘を受けたのを覚えている。とんでもない書きっぷりの人がいたものだ。当然、彼女が書いたエッセイ

もっとみる
1964年、ひとさじの砂糖、”アップデート”、西の風。

1964年、ひとさじの砂糖、”アップデート”、西の風。

恥ずかしながら、ちゃんと腰を据えて鑑賞したのは初めてのことだ。

『メリー・ポピンズ』。
ディズニー・ミュージカル映画の金字塔である。
すばらしい作品であることはもちろん、商業的成功という点においても信じられないくらいの成功作だ。

小さい頃から、よく喋る子供だった。
両親はお喋りな長女をどうにかあやすのに苦心して、あるいは、その長女の浮世離れした、夢見がちな性格を最大限に尊重して、様々なアニメー

もっとみる