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【日記】地震、ガザ、寒波とバイオリン

寒波がやってきて11月の真夏日なんて嘘のように冷え切った夜が続いている。地震に見舞われた中国中部甘粛省にも寒波が直撃しているのだそうで、被災した方々が一刻も早く暖をとれるようになってほしいと願わずにはいられない。

仕事用のTwitterアカウントにログインすると、まるでガザで行われている現在進行中の民族浄化なんて存在しないようなタイムラインで、たぶんそれが私たちのような立場としては『正しい』振る舞いなのだろうと思って苦しくなっている。
小説も音楽も、子のない独身も障害者も、ひとたび戦争が始まってしまえば一番先に世間から排除される。先日鑑賞した映画『窓ぎわのトットちゃん』は間違いなく豊かな名作で、のうのうと都心の利便に慣れきって生活し小説を書いている自分にとって、今まで出会った中で一等リアルな手触りを持った戦争を描いた映画だった。作中で奏でられるトットちゃんと泰明ちゃんの水たまりを踏むリズムが、父の奏でる切々としたバイオリンが、真っ先に戦争によって奪われてしまうものへのカウンターであることは(個人的には)疑いようがない。たやすく奪われてしまうものだからこそ、映画の中では決して彼らの手から奪わせないという祈りなのだと思う。私が書いている小説もゲームも、たぶん歌やバイオリンと同じくらいに、あるいはもっと脆いものだ。世間に何かが起きると、たやすく失われてしまう。そんな中に身を置いているのに、他人事のような顔をするのが「正しい」のだろうか。私にはわからない。少なくとも自分が納得のいく生活をしたいとは思っていて、せめて日記のようなものに書き残しておこうと思う。早朝に身綺麗にしたトットちゃんのお父さんが奏でたタイスの瞑想曲のように美しくはなくて、真夜中に万年床に包まりながらスマホで打ってる文章なのは残念だけれど。

ところで、今期のスタバの季節メニューが美味しそうだと思ってもガザ侵攻に関するアレコレを思うと、あまり気分よく飲食できそうにない。じゃあGODIVAのドリンクは…と思ったのだけれど、そういえば数年前の段階ではここも親イスラエル企業だった気がして、ああもう何もかもおしまいと思いながらスーパーカップのバニラ味を舐めていた。寝る前にアイスなんか食べるから無駄に太ってしまうのだ。まったくもって度し難い。

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