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流れ弾の中で育ってきた

私の身体が二次性徴をむかえ、やたらと多い男性ホルモンに起因する生理不順に苦しんでいたティーンエイジャーの入り口で、ニキビを潰しては枕を血に濡らしていた頃、ある女の子が生まれた。

彼女の名前は──ああ、彼女に苗字はない。ついでに日本国籍もない。
敬宮愛子内親王殿下、通称「愛子様」のご誕生と、それを巡るテレビショーのかまびすしい報道、そして彼女の母であり雅子皇太子妃殿下(当時)へのまなざしを、今でも忘れられない。

「私なら、死んじゃうな」

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