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エッセイ

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エッセイ|心にうつりゆく母の日のこと

エッセイ|心にうつりゆく母の日のこと

「ありがとう」
それを伝える人がいない、初めての母の日でした。

いつも発信しているX(Twitter)のタイムラインを眺めていると、母の日にちなんだ投稿がとっても多くて

ほんわかと心が温かくなるもの、まるで懺悔のようなもの、母親の立場で〈かつての母の日〉を振り返るもの…
さまざま並んでいました。

その中で
〈お手伝い券〉をもらった思い出の投稿があって、ふいに年末のことを思い出したのです。

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エッセイ|ぼっちメシと芝の青さのタイミング

エッセイ|ぼっちメシと芝の青さのタイミング

いつもなら、ひとりdeごはん
とか
のんびりランチタイム
とか。

そんなふうに思ってのんびりゆったりと食事しています。
でも。世の中、ゴールデンウィークですね。人によっては10連休に入ったわけです。

我が家の構成は
夫:医療福祉従事者
長女:医療福祉従事者
夫は日曜日が休みですが、基本的にどちらも祝祭日関係ありません。
次女:院生
研究とアルバイトに余念がなく、休みの日でも忙しい。

ですので

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エッセイ|スタバでふたつだけ…

エッセイ|スタバでふたつだけ…

Starbucks。カスタムオーダーをしている人は多いのだろうか?と、ふと考えました。

側で聞いていると呪文のようなもので、例えばミルクの種類を変えたりシロップを追加したり抜いたり。

抹茶クリーム フラペチーノ・ノンバニラシロップ・エクストラパウダー・ エクストラホイップ・ウィズチョコレートソース

例えばこんなのですね!

若い子たちは当たり前
アラフォーの年齢までも、好みに変更して楽しみ

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並んで見た最後の風景

並んで見た最後の風景

写真の整理をしていた。

iPhoneにはおびただしい枚数の写真があって、毎月気が向いたときにその月の写真を選別する。

検索窓で《2月》と入れると過去から今日までの2月の写真がダーっと並ぶ。「これはもう要らないかな」と思うものを選ぶと、ゆうに100枚以上はある。

そんなことを今日の満月の写真を取り込んだついでにやっていたら、目にとまった1枚があった。

山梨県のとある病院の、面会スペースにある

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エッセイ|20年の時を経て分かったこと

エッセイ|20年の時を経て分かったこと

その昔、もう20年前になるか。

日本のマダムたちを夢中にさせた「冬のソナタ」という韓流ドラマがあったのをご存知だろうか。ちなみに私は一度も観たことがなく、そのころは「白い巨塔」を楽しみにしていたような気がする。なにしろ山崎豊子の作品が好きだったからだ。

「冬のソナタ」はなぜマダムたちの心を鷲掴みにしたのだろう。甘さか?やるせなさか?はたまた「ヨン様(主演のペ・ヨンジュン)」の美しさなのだろうか

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エッセイ|子供の雪、大人の雪

エッセイ|子供の雪、大人の雪

何年か振りの積雪。

昨日は昼くらいから雪が舞いはじめ「不要不急の外出は控えて」とか「大雪警報が」とかの言葉をたくさん目にした。

東京に程近い我が家は行動範囲に都内も入っているし、雪を想定した生活をしているわけではないので「今回も電車も道路も大変なことになるだろうなぁ」と考える。

こんな日に限って用事が立て続けに入っていたものだから、外に出ざるを得ない。ちょうど降りはじめの時間から何度も出たり

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エッセイ|わたしは初めて「個」になった

エッセイ|わたしは初めて「個」になった

先日、母が旅立った。

空はどこまでも青く
風は吹いてはいたが、日差しがとても暖かく
美しい日だった。

「少し眠いから横になりたいわ」
食事中にベッドに入った母は、そのまま眠るように穏やかで静かに最期のときを迎えた。

生前母が望んだとおりの死。ベッドに入ったら眠るように逝きたい。
「これだけ医療が進んだ現代では夢のような話だよね」
なんてよく話したものだ。

死の前日、母を病院へ連れて行ったと

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エッセイ|水飴のような人

エッセイ|水飴のような人

人との関係は難しい。
とはいえ、付き合う中で「この人とは難しいな」と感じる人は、ほぼ第一印象で分かる。

第一印象といっても、よく言われる清潔感とか言葉遣いではなく
(もちろん大事ではある)
「ねっとりしている」かどうか。

この人怖そう
近寄りがたい
そんな人は大抵が「自分が持っていないけれど自分に必要なもの」を備えている人。
そういう人は付き合いが長くなるほどに居心地がよくなる。

どんなにニ

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エッセイ|壺の中は毒

エッセイ|壺の中は毒

わたしの中には壺があって

苦しいことがあればソレを
理不尽な相手に投げつけたかったけれど飲み込んだ言葉を
悲しいこと
辛いこと
我慢したこと
怒り

そんなソレらを

壺の中にひとつひとつ落としていっては蓋をする

蓋をしてしまえばもう見えない
もう、無かったことと同じだ

と、思うでしょう?

わたしはそう思っていた
だってもう、見えないから

何年も何十年もソレらで満たされた壺はひとつ、また

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エッセイ|季節はいつも知らぬ間に

エッセイ|季節はいつも知らぬ間に

「木枯らし1号です」
昨日TVから聴こえてきたニュース。

身体の痛みに耐えつつ
ぼんやりする頭で
「そうなんだぁ」と耳を傾けた。

週末にはしゃぎ過ぎたからか、急に気温が下がったせいか風邪をひいている。足首がやけに冷えたからそれも要因かも知れない。

急な寒さに、冬用の洋服を取り出す時間もなく出かけることになってしまったから。

ふと、そういえばここ何年も何十年も気づけば季節がめぐっていた。

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エッセイ|ハイヒール

エッセイ|ハイヒール

「ヒールの高さは女のプライドの高さだよ」

口癖のように声に出す友人がいた。彼女はいつも7センチヒールを履いている。もっと高いこともある。わたしはといえばヒールは5センチ、たまにスニーカー、夏はクロックス。

だから「もっと高くしたら?」と何回言われたか。女としてのプライドがないように映っていたのだろう。たしかに『女としてのプライド』があったのかどうかは自分でも怪しいが、ひとりの人間としての信念は

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エッセイ|ひとり、は孤独じゃないけれど

エッセイ|ひとり、は孤独じゃないけれど

ひとりの時間をとても大切にしている。

一日のうちのどこかで、心も体もゆったりと開放するように過ごしたいなと思っていているのだけれど、我が家は夫も長女も不定休な勤務体系。次女は大学が週に一度。そうすると長い時間を一人で過ごすのは難しい。

これはわたしのわがままな部分で、できれば「ふいに誰かに声をかけられる」状況だと落ち着かない。早起きをする理由のひとつがそれだ。もしくは、みんなが寝静まった後にこ

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エッセイ|夫を試してみた

エッセイ|夫を試してみた

きっとどこのご夫婦でも、25年も一緒にいれば互いに言いたいことはあるだろう。

結婚当初は愛が燃え上がっていたからさほど気にならないし、子育てをしていれば子供たちに主に意識が向くし、闘病中は自分のことで精いっぱいだったし。

けれども。子供たちも大きくなり、銀婚式を迎える今ではそれなりに歳を重ねて疲れやすくなっていて、そのせいか小さい不満がずーっと心をチクチクと刺すようになった。

その中のひとつ

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来年の今ごろはきっと、と信じ続けた話

来年の今ごろはきっと、と信じ続けた話

「来年の今ごろはきっと」

薬害でボロボロになった20歳目前。内臓もひどかったようだし、何より外見がボロボロになった。全身だ。

女子大生。思い返しても一番輝く時期ではないか。

「来年の今ごろはきっと」この肌も良くなっている、苦痛なく動けるようになる、メイクだってまた楽しめるはず。

それだけを心の支えにして生きていた。電車の中で二度見三度見されても、立っているのがしんどくて座ったら隣の人に舌打

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