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うた

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哀しくなってしまうくらい大切なひと
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#眠れない夜に

『』

『宝石の先』2024.04.07

擽ったいくらいの肯定を
花束にできたら僕等は
いつかはすべて言葉になるけれど
思うより言葉はちっぽけなものだ

悲しくなれるから夢を見ることができた
何も知らなくていいから怖がらずにほら

空が遠くて 音楽を書いた
貴方はずっと花だった
どこか遠い場所まで逃げて 逃げて
出逢えたら今度こそ恋に成ろう

100年先まで100世紀先まで
約束ができたら僕等は
流星群

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『』

『寝室』2024.02.26

布団の四隅は揃ってないと嫌だって言うから
苦手なりにシーツの紐結ぶとこ探すの
ひっくり返ったり一つずれたりして間違えた
いつかの私みたい 時が止まった気がした

貴方が撮る写真はいつも言葉にできないけれど
上手いとか下手とかじゃなくてすごく好きだった
季節に合わせて着る服の色を変えてみたり
同じことで何度も大笑いする貴方が好き

いつかこんな夜のことも忘れてしまう

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『』

『愛は屁理屈』2023.8.2/8.3

ハートを半分に割ってひっくり返しても
綺麗な形にはならないのにさ
愛の形は一つじゃないって
まるで屁理屈みたいじゃないか

重力も敵わない暑さに恋が蕩け出した
ドライアイスで火傷する意味不明さ
あれとよく似てるね僕等は
どこまでも宇宙と海のまんま

愛は屁理屈 愛の屁理屈
存在証明さえも困難な無形の財産
いつか全部忘れてしまってね
覚えている間はぎゅっと抱

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『』

『邪魔』2023.6.14

目に見えないのに名前をつけて可笑しな生き物だ
存在すると信じて疑わない答えのない勉強
好きも嫌いも形取れないのなら同じようなものだ
遭えないからって電子を見つめる盲目の遊び

この世で一番もどかしいのはこの距離だ 邪魔だよ
貴方の香りや体温骨の形を知りたいのに
私がどれだけ悩めど先へ前へ進むのでしょう
解っている それでも

呼吸と同じようで涙と同じような
身体の中に

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『』

『懲りない』2023.1.19/4.12

懲りないねって笑ってほしい
明け透けになって二人
夜のサイドランプの下で遊んでいよう

花束も似合うし一輪の花も似合うよ
貴方は私を絶対に仲間はずれにしない
鍵のかかった愛にそっと息をかけられて
こんなに容易く壊れてしまったのは初めてだ

認めるとか許すとか面倒な感情の全部を
貴方は私にくれるでしょう

優しさだけで息はできないけど
懲りずに私は全部をあ

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『』

『エンディング』2023.5.25/6.10

忘れた方が良いことも
どこかで忘れたいことも
それだけは解っているのに
それだけが解っていた

許すことが苦手な私を
いつだって許してくれた貴方を
ただ貴方一人は許せたこと
容易く許せてしまう 今も

喘息気味の貴方がよく眠れるには
どうしたらいいのか考えている

終わりはいつか自分で決めるよ
貴方だってきっとそうするでしょう
月の光のような詩を零し

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『』

『貴方が』2022.12.1

白い雪が貴方を切なくさせていますように
胸を通り抜ける風に気付いていますように
電車の窓から見えた枯れ木の並木道
一人で歩くには広すぎるね

分厚い灰色の雲 冬曇りの空
晴れ間が白く光る

会いたいが痛くて堪らない
あってしまえば終わりが来るのも恐いよ
それでも溢れる熱に火傷して
ずっとずっと泣いていた

ずっとずっと貴方が

いつか貴方が私をちゃんと壊してくれます

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『』

『嘘』2023.3.20

何にも残らないよ
だから安心していい
どうせ全部忘れてく
言葉にしたら涙がこぼれた

出逢った日の日付は
思い出せないのに
出逢ったあの瞬間のことは
こんなに焼き付いてるんだろう

冷たくてさらりと乾いた手
春みたいな貴方の笑顔

もう少しも好きじゃない
ちっとも思い出さない
記憶を結んでなんかないけど
春は痛いな 痛いな
/
壊れるくらい好きだったなんて
口に含んだこ

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『』

『銀狼』2021.10.6

冷えた夜の底で
貴方の夢を見る
眠っても眠れずにいる
ここは孤独の銀狼

何も壊さないから
そっとしておいてよ
淋しさの形をなぞる
満月が僕を見る

揺蕩って
ただ あの日に帰りたかった
貴方のせいだ 貴方のせいだ
愛を奪っていく
成り果ててしまった灰が
胸にたまって
息もできぬ程

冬の雲に潜む
真空で息をする
歩けど歩けど行き止まり
ここは孤独の銀狼

死は恐れな

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『』

『雪解』2023.2.7

君を待つのは
雪を待つのと同じだ
ピアノを調律するように
正しさを覚えてゆく
ちっとも嬉しくないんだ

昨日を縫いつける
僕に価値などないけど
それでも生きている
ただ生き存えている

全部君の所為だ

白く降る
この何かを夜に
踊る 言葉を書く
忘れていいのに なんて
笑うなよ 笑うなよ
間違ったこの想いが
いつか君を傷つけたら
信じてるよ 声の代わりに
雪が降る

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『』

『夢が崩れる』2023.2.25

泣いてしまいたかった
いっそ自分の為だけにって
やけくそになった心でまだ
貴方のこと想ってる

名前をつけてしまえば
枠におさめてしまえば
ありふれた感情になるって
優しくない嘘だ

いつか忘れる言葉で声で
貴方を想った私も忘れてしまおう

最低な私を上手く言葉にできない
こんなはずじゃなかったってしもやけした心が痛い
触れられない話もできない そんな距離で

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『』

『スカルプチャー』2023.1.16/1.21

日々をつくる 貴方は私の物語だ
癖づいた「許してあげる」もう息に近い
明日があるならそれは貴方のおかげで
か細く輝く花火のようだ

何もできないならせめて大それたこと
口に含んで貴方にキスをする
一方だとか双方だとか何でもよくて
呆れてしまってどれくらいだろう

鏡に映った私はきっと
ちっとも綺麗じゃないからさ

この耳でこの口でこの体温で
貴方を

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『』

『滄海』2022.8

机に頬を寄せて 温度を思い出す
この世は宇宙だ 私は迷子のまま
ありふれた情景の中 ずっと熱冷まし
馬鹿みたいだね、ねぇ

もどかしさで息ができなくなるような
そんな感情を知っている

そうかい そうかい
貴方は繰り返すだけ
身に覚えのない優しさも
ずっと覚えてるよ
そうかい そうかい
青い海を思い出す
届くことのない世界に触れたい
あの青のこと

心臓に耳を寄せて 孤独を

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『』

『海へ花束』2022.11.19

息を吸えば冬の空気 春を願うより先に
傷んだ心が染み入る温度だ
欲しがってばかりいるようで殆ど何も願えない
もう何が掬ってくれるのか判らなくなってしまった

冬の海で花束を持って全て忘れよう
もう二度と会えないという猛毒の花束
私 なんて主語も要らないくらい
貴方を想っていた ずっとずっとずっと

生きている内気づく 世界の冷たさに
どうしようもないと笑う 嘆い

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