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3 count...の仕入れ先『あちらの世界』のおはなし

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3 count...(3カウント)は、不思議なあちらの世界から仕入れた魔法や不思議な雑貨を使うハンドメイド雑貨屋さん。 minneギャラリーで販売中。 ここでは、アクセ… もっと読む
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#ハンドメイドサイドストーリー

#36 氷の王国

#36 氷の王国

Oliviaのお母さんが鍵を取り出して
街の扉を開けると
ちらちらと雪の降る冬景色が広がっていた。

1歩踏み入れると、
冷たい空気が私たちを包み込んだ。

「あ、そうだった。」
思い出したように呟きながら
Oliviaのお母さんは
自分、Olivia、私の頭を杖でツンッと突いた。

すると、
芯まで冷えそうな空気と自分との境に
1枚ベールを挟んだかのように
暖かい何かで体が覆われた。

2人は何

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#35 鉱石に舞う小さな蝶

#35 鉱石に舞う小さな蝶

鉱石商のPierre(ピエール)が
私が購入した

ドラゴンブラッド 最強の力を引き出すペンデュラム、
ドラゴンブラッド 最強の力を引き出すスクエア、
ドラゴンクリスタルレンズを丁寧に包装しているのを
私とOliviaは見ていた。

すると、後ろからOliviaのお母さんが
Oliviaに声をかけた。

「Olivia、今回も持って帰ってきたわよ」

その手にはとても小さな小瓶が
数本握られていた

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#31 鉱石商のPierre(ピエール)

#31 鉱石商のPierre(ピエール)

またあちらの世界へ戻った。

Oliviaのカフェのある広場へ向かいながら
季節はさほど変わっていないと感じ
時間のスピードが4倍だとは思えなかった。

Oliviaのカフェに着いたが
Oliviaの姿は見当たらない。

カウンター内にいたOliviaの父親に
聞いてみた。

「こんにちは。Oliviaってすぐ帰ってきます?」

「やぁ、君か。Oliviaは今、
Eveのところに行っているよ。

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#30 信じる気持ちを持って

#30 信じる気持ちを持って

コチラの世界に戻ってから
3週間ほどが経った。

前回戻っていた間は
またあちらの世界に
行くことができるのだろうかと
不安で不安で堪らず
自身の日常に集中できない日々だった。

今回は、コチラの世界とあちらの世界の
行き来する方法を一応聞いていた。

本当にできるかはわからなかったが。

以前の数週間分の日常生活を
しっかり取り戻すように、
一生懸命、何気ない日常を過ごした。

本当は毎日でも

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#29 時間のズレ

#29 時間のズレ

Leonardoの儀式用品店を出た時
外はすでに薄暗くなっていた。

店内が薄暗いので
あまり気が付かなかった。

Leonardoに教えてもらった通り、
鉱石店への道を歩き出したが
ふとJackに言われた時間のことが
気になった。

Jackによると
ここで過ごす時間と
自分の世界で経過している時間には
ズレが生じていて
そのズレの大きさは人ぞれぞれ違うらしい。

私は、前回、この世界に来た時の

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#26 儀式用品店オーナーLeonardo(レオナルド)

#26 儀式用品店オーナーLeonardo(レオナルド)

1人で街を散策し始めた私は、
まずは前回Rajeepに最初に案内してもらった
鳥類専門店を目指した。

確かこの辺りに鳥類専門店があって…
あ、あった!

通りからも
甲高い鳥たちの鳴き声が聞こえる
鳥類専門店を通り過ぎ、
そのあとに行こうとしていた
鉱石店を目指した。

この通りを左?
いや。右だったかな?

とりあえず右に曲がってみた。
元の通りから数歩歩くと
先の道がすごく細くなっているのが

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#25 街の扉

#25 街の扉

Lilyにしっかり蓋をしてもらった
心を奪う3種の薬を受け取ったとき、
店の奥からOliviaが出てきた。

「Lilyさん、ありがとう!
さっきの薬に肘を着けていたら
あっという間に治ったわ!!」

Oliviaは嬉しそうに
肘を見せながら言った。

赤くなっていた肘の虫刺され跡は
完全に消えていた。

「よかったわね~
刺されてすぐだったからね。
今度庭いじりするときは
虫避けの薬もお勧めよ。

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#23 薬屋のLily(リリー)

#23 薬屋のLily(リリー)

Oliviaと私は
Jackの家のすぐそばにある
薬屋さんに向かった。

Olivia、肘、大丈夫?
痛むの?

Oliviaの肘は少し赤く
少し腫れている程度だが
直径4,5㎝ほどの大きさがあった。

う~ん
触ると少しピリピリするくらい。
Jackさんに言われるまで
気付かなかったくらいだから大丈夫よ。

Oliviaが
ここよ、と入っていったのは
私たちの知る薬屋さんのイメージとは
随分かけ

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#22 Jackの見解

#22 Jackの見解

で、聞きたいことって何だね?

Jackが話を元に戻した。

あ、えっと、
私の世界とこの世界の
行き来の仕方を教えてほしくて。

では、君は一体どうやって来たんだ?

その問いかけは間違ってはいなかった。
自分でもわからなかった。

考え込んだ私を見てJackはこう続けた。

実は、明確な方法は
まだ解明されていないんだ。
人それぞれ方法が違うようでね。

共通しているのは、
この世界を信じてい

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#21 教授のJack(ジャック)

#21 教授のJack(ジャック)

Eveの家を後にした私たちは
その町のメインストリートまで
戻ってきた。

確か…このお家だったかしら。

Olivia、来たことあるの?

来たことはないんだけど
何か扉やあなたの世界から来る人のことで
面白いことがわかったら教えてくれって
お家の場所を聞いていたから。

表札はなかったが
インターホンを押してみた。

…はい。

あ、えーと…
Jackさんのお宅でしょうか?

…あぁ。

えっ

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#17 First Perfume Bottle

#17 First Perfume Bottle

Eveの家はナチュラルテイストを通り越して
庭と一体になっているような
どこからが庭でどこからがリビングなのか
わからないようだった。

ただ、雑然としている様子ではなく
気品あふれるイングリッシュガーデンで
お茶会をしているような
可愛らしさを感じるタイプの庭だった。

好きなところへ座ってね。

と言ってEveはキッチンへ行ったので
私は部屋の中を見回しながら
白い大きな長テーブルに着いた。

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#16 魔女の奥様Eve(イヴ)

#16 魔女の奥様Eve(イヴ)

ここがEveのお家よ。
あ、ねぇ。あれ、見てて。

Oliviaの視線の先に目をやると
垣根の隙間から
1人の婦人が3人の小さい子供たちと
楽しそうに話しているのが見えた。

婦人は一輪の薔薇のようなものを
指揮みたいに振りながら

1,2,3…と言うと、
なんと、すぐ近くの薔薇が次々と咲いた。

子供たちは喜びの声をあげ、
婦人は満足そうに笑っていた。

余談だが、実は、
ギャラリーの名前の「3

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#15 街の建物の扉の先は…

#15 街の建物の扉の先は…

Oliviaは私を見つけて
手を振りながら駆けつけてくれた。

やっぱり!戻ってこられたのね!
よかったわ!!
あのあと、Rajeepと
きっとあなたならまた来れるだろうって
話してたの。

私なら戻れる?
戻ってこれない人もいるの…?

えぇ。
始めの一度きりで、ずっと会えない人も
少なくないわ。

とてつもない不安を覚え、
私は今度こそ、と慌てて聞いた。

ここにはどうやって来るの?
どうなっ

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#14 あちらの世界に帰った日。

#14 あちらの世界に帰った日。

どれくらいの日が経っただろう。

日常生活を送りながらも
あちらの世界を思い出していた。

一体どうやったら
またあちらの世界に戻れるのか。

あのアンティークな扉が現れたときの状況を
自分なりに再現してみたりもした。

街を歩いている時も
おしゃれなカフェやお店の
アンティークっぽい扉を見ると
自然と目が行っていた。

不思議なのは、見てすぐに
この扉は違う。
と感じることだった。

アンティー

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