#17　First Perfume Bottle

Eveの家はナチュラルテイストを通り越して
庭と一体になっているような
どこからが庭でどこからがリビングなのか
わからないようだった。

ただ、雑然としている様子ではなく
気品あふれるイングリッシュガーデンで
お茶会をしているような
可愛らしさを感じるタイプの庭だった。

好きなところへ座ってね。

と言ってEveはキッチンへ行ったので
私は部屋の中を見回しながら
白い大きな長テーブルに着いた。

座ってすぐ、テーブルの上の箱が気になった。
何やらキラキラとしていたのだ。

覗いてみると
たくさんの小さな香水瓶が入っていた。

しかし、香りは全くしない。

それ、気になるの？

トレ―に乗せたティーセットを
運びながらEveが聞いてきた。

すごい綺麗で可愛いなと思って。
なんだかシャボン玉みたいに
キラキラしてるお洒落な香水瓶みたい。
でも、匂いがしない…
中身は全部、空なんですか？

いいえ、それはね
香りがするものじゃないのよ。
その香水瓶自体を身に着けるの。

匂いよりも潜在意識に
素敵なイメージを訴えかけるような…
意外と強力よ。

香水瓶だけど、香りじゃないんですね！
ヘアケアや柔軟剤とか
他の香りを邪魔しなくてリアルにいいかも。

でも、なんでこんなにたくさん…？

たまにここで近所の子たちに
魔法を教えてあげてるのよ。

今朝は女子会だったわ。
年頃の女の子とは
いつも香水瓶を練習するの。
その子達が初めて作る香水瓶ね。

みんな出来上がった中で
お気に入りだけ持って帰るから
それだけたくさん残っちゃって。

もしそういうの好きだったら
あなた、持って帰ってちょうだい。

小さくて可愛い香水瓶。
シャボン玉のように忙しなく移ろう彩りは

あなたに
どんなイメージを持たせてくれるのだろう。

これがFirst Perfume Bottleを
仕入れた時のおはなし。
続きはまた次回に。

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