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砲爆弾雨の山岳を二輌の戦車が駆ける。それは模造筋肉に蓄電液を循環させる全電動化戦車だ。片側9輪、計18輪を模造筋肉108本で制御、険難悪路を踏破し電磁砲で狙撃する秘蔵兵器。二輌はミサイルすら躱す運動力で駆動しているが
「2号車被弾!」
一輌が直撃を受けて宙に跳んだ。
俺はスナイパー。目標は既に照準内だ。後は撃つだけなのだが
(乾くっ……!目が……!)
それと目標がTVカメラに入らない。生放送でやるのが依頼だった。
何が温暖化で私達の未来を奪うなだ。わいの目玉が砂漠化中じゃ。
来た。撃った。終わった。
であれば即座に次の行動。
「目薬ィー!」
烟りの中、黄色い膨満な形の作業着達が動いている。
その時、一人の服が引掛かり黄色のカバーが捲れ雨が作業着に触れた。
「ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!!」
絶叫。作業着がでろりと溶けて中の人間を焼いている。
降っていたのは硫酸雨であった。
この雨は全てを焼き流して元の姿へ還してしまう。
決着は既に付いた。相争った二人は決闘の末、男が膝を屈し女が立っている。
勝ったのは男。死ぬは女であった。
女の姿が紙に描いた絵を水に浸す様に崩れ消えていく。
「俺が、憎かったのか」
「ええそうよ……愛しているわ」
そうして、いなくなった。
男の顔から血が一滴、頬を伝って零落した。
獣と化して森林を駆る。私は異形の大型機動兵器と合一し戦う。
獅子の腕脚、鰐の尾、恐竜の咢。その相は神獣の如く。
突如、敵三機が立ち現れ包囲する。撃鉄より早く爪で1機を横薙ぎに裂く。振るう腕を止めず2機目を打撃し潰壊。更に遠心力にしなりを乗せた超速の尾で3機目の頭部を粉砕した。
学生は仮姿、俺の本業は運び屋だ。命より荷物が大事のつまらん仕事だ。今は依頼主の部屋の前にいる。
扉を開けた。
見たのは、頭を撃たれる教授。命の最後で動く視線。
その先、二人目が少女を引きずっていた。
依頼は不明だが荷物は理解した。
銃を抜き放つ。弾丸二発が同時に賊を穿った。
操縦席から飛び出した直後、機体が大破した。落下と爆風の衝撃を受けながらも何とか立ち上がる。
木々を雑草の如くかき分けて鋼の巨獣達が迫る。
睨む視線の先、獣が腕を振り下ろす。
そして見た。
細い斬線が巨大な腕を切り裂く。
「もう大丈夫よ」
それは白い刃、金の髪と碧い瞳の少女だった。
突然、視界が点った。それは覚醒というには意識の連続性が不明瞭で、まるでモニタの電源を付けた様な感覚だった。
不安が勝手に視界を動かす。そして見つけた。頭が斬り失せたアンドロイドだ。
困惑が錯乱に変わろうとした瞬間。
「何故こんな所に逃げた、シックス」
大太刀を侍く少女が現れた。
鋼鉄の巨人が敵を殴り飛ばす。数百㌧の鉄塊達が猛々しく躍動している。だが、不利は巨人達にあった。連携を絶たれて物量で押され続ければ敗北は必死だ。
刹那。
閃光が打ち下ろされる。
空に現れたのは突き破った雲間の光で輝く、羽根持つ巨人。
巨人が羽撃く。加速の爆音は勝利の福音だ。