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エッセイ・コラム

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#子供

人生は短い(多分)

人生は短い(多分)

「人生の主役は自分自身である」ということばがある。考え方はいろいろあろうが、人生の捉え方は往々にして自分中心のものになりやすく、利己的で視野狭窄に陥りやすい。
私自身はその傾向が顕著で、20代は「自分が人生をどう作るのか」という視点しか持ち合わせていなかったし、他人との関係性のなかで自分を捉える努力を怠ってきた。結婚願望もなく、子供がほしいと思ったこともなかったというのは、その証左といえるかもしれ

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AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

AIが思考力を奪うというのなら、思考力がない我々は一体何をしていたのか

よく、AIが教育現場に導入されることで「子どもたちの思考力が低下する」といった懸念の声がある。
一見すれば確かにその通りっぽい主張であり、どのように規制をするのかについて世の中では議論が進んでいる。

では、逆に考えてみよう。教育現場にAIなどがなかった私たちの当時の思考力は、現代を生きる子供たちより高いのだろうか。

これはあくまで個人的な実感だが、家ではゲームに明け暮れ、先生から言われたことを

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感謝はあふれるもの

感謝はあふれるもの

以前奥さんのお父さんと話をしていたときに子供の話になったことがあった。私にも娘が生まれたこともあり「だれしもあんな感じで大きくなるんですねえ」というと、ぽろっと笑いながらこんなことを言った。

「まあ、子供のほうは自分で勝手に大きくなったと思ってるんだよね」

自分自身が幼年期のころを思い返し、確かになあと思うほかなかった。
目の前に食事があるのは当たり前、家があるのも当たり前、面倒をみてもらうの

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自立と自律が大人の条件

自立と自律が大人の条件

子どもから大人になる過程は、依存から自立に向かう過程である。

小さな頃は食事から排泄から何から何まで親に依存していたわけだが、時間とともに食事や排泄を自らやってみたり(失敗もするが)、逆にすすんで手伝いはじめたりもする。そして次第にお金を稼いで、勝手に家を出て行って一人で暮らすようになる。
こんな風に具体的な行為について、ひとり立ちをすることは「自立」と呼ばれる。

自立を究極的に追求すると自給

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若さの価値を知るのは年を重ねてから

若さの価値を知るのは年を重ねてから

小学生や中学生だった頃、どこかに訪問すると必ず年を取った人が「キミたちのように若い子たちにあって元気をもらいました」といったことを言っていたものだ。

当時、「子どもにあって元気になるなら苦労ないだろ」と極めて冷淡な感想を抱いていた私だったが、30代に入ったときにふと「若い子のエネルギー」を感じることが増えた。

会社などで20代前半の社会人との関わりを持つとき、彼ら・彼女らが酒の場なんかでわいわ

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大人になると意外と子供の心がわかるものである(と思う)

大人になると意外と子供の心がわかるものである(と思う)

子供の頃、親と言い争いになって思うようにことが運ばないときに「なぜ俺のことをわかってくれないんだ」と憤り続けていたものである。
「『親の心、子知らず』なんてことわざがあるけれど、『子の心、親知らず』じゃないか」なんてことを真剣に思っていた。

しかし、いざ大人になってみると、意外と大人は子供の心というものをわかっていたのだなと感じるものだ。
電車で泣いていたりする他人の子でも、なんとなくではあるが

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子供、無情すぎ問題

子供、無情すぎ問題

先日たまたまABEMAで「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を見ることがあった。2001年の作品なので、見たのは20年以上前だ。懐かしいなと思いながらしばらく見ていた。

子供向けの作品ではあるけれども、大人になってから見ても十二分に通用する名作だ。

「過去を生きる大人たち」と「未来を生きたい子供たち」の対比が極めて秀逸だ。「懐かしいにおい」に引き寄せられ、安心できる変わ

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