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#本
ジプシー一家と、本の読み聞かせをする図書館員。そこに降る恩寵の物語 ~『本を読むひと』
パリ郊外の荒れ地に住むジプシーの大家族のもとへ、図書館員のエステールは週に1回、本を読み聞かせるために通い続ける。ジプシーたちは、自由と誇り、家族愛にあふれてはいるものの、文字を読めず、仕事はなく、社会からはじかれて、貧困の底で暮らしていた――。
アリス・フェルネ『本を読むひと』(デュランテクスト 冽子・訳 新潮社)
「本」そして「読書」というものの力を、しなやかに伝えてくれる物語でした。
暗幕のゲルニカ(著者:原田マハ)
著作者名:原田マハ 発行所:株式会社新潮社 2018年12月21日発行
ピカソ作品の「ゲルニカ」をピカソの恋人で写真家のドラとピカソ研究者瑤子の目を通して見た作品である。時代は、第二次世界大戦をめぐるものと21世紀のものを交互に描いている。
ピカソは、1937年5月に開催されるパリ万博スペイン館に展示する作品の制作を依頼される。
1936年に勃発したスペイン内乱は、クーデターを起こしたフラン
たゆたえども沈まず(著者:原田マハ)
著作者名:原田マハ 発行所:株式会社幻冬舎 令和2年3月発行
画家のゴッホと彼をめぐる三人の画商の話である。三人とはゴッホの四歳年下の弟テオ、日本人画商の林忠正と部下の加納重吉である。ゴッホとテオはオランダ人である。時代は19世紀末。
忠正と重吉は、開成学校でフランス語を学んだ。忠正は重吉の三年先輩である。二人ともフランスへの留学を望んでいた。パリこそは、産業も文化も世界一だと聞く。世界の中心
キネマの神様(著者:原田マハ)
著作者名:原田マハ 発行所:株式会社文藝春秋 2013年7月20日発行
映画を愛する父と娘の物語である。父は、円山郷直(まるやまさとなお、以後ゴウと呼ぶ)79歳。娘は、円山歩(あゆみ)39歳。
歩は、国内有数の再開発企業の東京総合開発株式会社のシネマコンプレックスを中心とした文化・娯楽施設担当課長である。「開発地区に映画館を中心とした文化施設を作る」というたったひとつのアイデアを貫いた結果、昇
楽園のカンヴァス (著者:原田マハ)
著作者名:原田マハ 発行所:株式会社新潮社 平成26年7月1日発行
早川織絵(おりえ)は、倉敷市の大原美術館の監視員である。織絵は、十七年前、ティム・ブラウンと戦った。ティムは、現在、ニューヨーク近代美術館のチーフ・キュレーターとなっており、織絵に至宝「夢」の貸し出しの交渉窓口となることを要請する。
ティムは、十七年前、三十歳でニューヨーク近代美術館のアシスタント・キュレーターであった。ティム