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須賀敦子さんの訳が素晴らしいタブッキ2冊 ~ほか翻訳が素敵な海外文学を

 アントニオ・タブッキの著書を2冊読んでいて、須賀敦子さんの翻訳にほれぼれしました。

『供述によるとペレイラは……』『島とクジラと女をめぐる断片』の2冊です。

 かなり個性の異なる2冊ですが、どちらも翻訳の日本語が素敵(私の好み)で、するする読めてしまいます。
 あらためて「須賀敦子さん、すごい!」と思いました。

 海外文学を読むときは翻訳との相性もあるので、こういう出合いはとてもうれしいです。

 これまでにも、翻訳の日本語が素敵で気に入ってしまった海外文学は、いくつかあります。せっかくなので、すこしご紹介。

レベッカ・ブラウン『体の贈り物』(柴田元幸訳)

↑シンプルな文章で、淡々としているのに、胸を打たれる感動作。「試し読み」を開くと、なぜか原書(英語版)に飛びます。原文の英語もシンプルで読みやすいのですが、柴田元幸さんの訳がまたすごくいい名著です。


イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』(米川良夫訳)

↑幻想的な詩のような短篇集。どこから読んでもいい感じなので、ぱっと開いたところを読み返すという形で何年も手元に置いています。


フェルディナント・フォン・シーラッハ『刑罰』(酒寄進一訳)

↑シーラッハ文学に魅せられた最初の1冊です。酒寄進一さんの切れ味のいい日本語が、作品の純度を高めてくださっているんじゃないかと想像してしまうくらい、翻訳にも魅せられました。


ヘルマン・ヘッセ『デミアン』(高橋健二訳)

↑ヘッセの訳は、詩も小説も高橋健二さんのものが私は好きです。『ヘッセ詩集』『車輪の下』はこのnoteの過去の記事で紹介しましたので、今回は『デミアン』と、もう1冊リンクを貼らせていただきます。

ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』(高橋健二訳)

↑私はクリスチャンですが、シッダールタ(釈尊の出家以前の名)が歩んだ求道の道に共感しつつ、感動して読みました。


そして、いま調べていて見つけました。これから読みたい1冊はこちら!

エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』(小川高義訳)

↑名作『オリーヴ・キタリッジの生活』(リンクは下記)の続編が出ていたとは知りませんでした。訳者は同じ小川高義さん。景観描写などの日本語が、すごく素敵だったという印象があります。続編、楽しみです!


 以上、まずはぱっと思い出した数冊を並べてみました。記憶をたどれば、まだまだたくさん出てきそう。そのときは、また……。

◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから、スナフ(snafu_2020)さんの作品を使わせていただきました。ありがとうございます。

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