リボルバー(著者:原田マハ)
著作者名:原田マハ 発行所:株式会社幻冬舎 令和3年5月発行
高遠冴(たかとおさえ)は、中学2年生の時、自室にゴッホとゴーギャンの絵があった。冴の母は、彼らについて教えてくれた。
「ゴッホはオランダ人、ゴーギャンはフランス人。ふたりとも、19世紀末のパリで、それまでになかった個性的な絵を描こうと意欲を燃やした後期印象派の画家だ。けれど、ふたりの絵は先を行き過ぎていて世の中が追いつかなかった。ゴッホは、画商をしていた弟のテオに支えられながらも心身を病み、ピストル自殺してしまう。ゴーギャンは、いっときゴッホと南仏・アルルで共同制作を試みたが、意見の食い違いから訣別し、最後は遠く離れた南洋の島・タヒチへたったひとりで赴き、孤独な生涯を閉じる。」
冴はパリの小規模なオークションハウス、CDCに勤務する。冴は、フランスにどうにかして残りたかった。「後期印象主義における芸術的交流:ファン・ゴッホとゴーギャンを中心に」というテーマで、博士論文に挑戦するつもりだからである。
CDCに品のある五十代と見られる女性が訪れる。サラと言う女性は何か特別なものを持ち込もうとしていた。紙袋から取り出されたのは、「錆びついた一丁の拳銃、リボルバー」だった。
CDCの社長ギローはこう言った。「オークションに出品されるピースというのは、コンディションだけではすべてを語れないんだよ。誰が所有していたのか、どんな人たちの手を経てきたのか。なぜ、いま、ここにあるのか。来歴こそが、最大の価値を生む。」
サラは言う。「このリボルバーは、フィンセント・ファン・ゴッホを打ち抜いたものです。」その瞬間、冴の体を貫いて電流が走った。ギローも一瞬にして凍りついてしまった。
サラの話は、本当なのか。それをどうやって証明するのか。オークションに出品することは可能なのか。ゴッホとゴーギャンについての話を味わって下さい。
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