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春と私の小さな宇宙

73
少し不思議で哲学チックな物語です。自分でも何故こんな話を書いたのかわかりません。
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#長編小説

『春と私の小さな宇宙』 その73(最終回)

『春と私の小さな宇宙』 その73(最終回)

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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「本当に元気でよかった。・・・それで、出産予定日はいつなの?」

「後、一週間ぐらい。もうすぐよ」

ハルは命の詰まった下腹部を優しく撫でる。それに応えるように内部で我が子が蠢いた。

「本当に・・・無事で、よかった・・・」

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『春と私の小さな宇宙』 その72

『春と私の小さな宇宙』 その72

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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不思議な気分になったことを思い返したハルは、そっと、目を開ける。

「あの時は大変だったわね。ハルが死んじゃったかもしれないと思ったら、倒れそうになったわ」

「勝手に殺さないで」

「ごめん、ごめん。でも、肝を冷やしたのは本

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『春と私の小さな宇宙』 その71

『春と私の小さな宇宙』 その71

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
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事故が起きた後のことは完全記憶能力でなくとも脳裏に刻み込まれていた。目をゆっくり閉じ、当時の出来事を思い返す。

――老婆が腰を押さえ、小さな子供が泣いていた。体を強く打ったのか意識の無い女性
をサラリーマンの男性が何度も声を

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『春と私の小さな宇宙』 その70

『春と私の小さな宇宙』 その70

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
※一人称と神視点が交互に切り替わります。
以上が大丈夫な方だけ閲読ください。
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エピローグ

四月初旬。

爽やかな春の風が暖かな空気を運び、真っ白な飛行機雲が青い空に二本の線を描いていた。空いっぱいに降り注ぐ太陽光が冷えたコンクリートを温めている。噴水から湧き上がる水が、陽光を浴びて反射し、煌めいていた

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『春と私の小さな宇宙』 その69

『春と私の小さな宇宙』 その69

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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それから普段の日常に戻った。

生物学部には新しい教授と助教授が配属され、ハルの計画を邪魔する者はいなくなった。

結局、家庭教師の報酬は宮野が死んだ今、金銭のみになった。研究室が自由に使えないのは痛かったが、伊藤が使っていた

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『春と私の小さな宇宙』 その68

『春と私の小さな宇宙』 その68

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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11

数日が経ち、伊藤を殺した犯人が見つかった。犯人は伊藤と同じ生物学部で助教授をしている宮野だと判明した。

調査が進み、宮野は見つかった。しかし、警察が発見したのは、とある神社の裏参道で絶命していた宮野だった。

遺体の

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『春と私の小さな宇宙』 その67

『春と私の小さな宇宙』 その67

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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ハルの計画はゆっくりとではあるが着実に浸透するものだった。

知らず知らずのうちに人類の遺伝子は第三世代に変化していく。ハルの死後も三重螺旋のDNAは次世代に引き継がれ、第三世代の子孫を増やしていくのだ。

いかに物事を滞りな

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『春と私の小さな宇宙』 その66

『春と私の小さな宇宙』 その66

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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ハルは振り返り、再び第三世代の男を見る。会った時と違い、弱々しい表情をしていた。

「カレーよ」

「カレー?」

思いもよらぬ答えに、ミハエルは耳を疑った。

「カレーは様々な具材が入っているわ。肉や野菜、水、スパイス・・・

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『春と私の小さな宇宙』 その65

『春と私の小さな宇宙』 その65

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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「部屋で伊藤が死んでいるのに気付いたボクは、転倒した宮野の元に向かった。彼はひどいけがを負っていたけど意識はあった。すぐに助けに行きたかったけど、警備員が向かって来ていた。ボクがやっと下りられた頃には、彼は自力で大学を出ていた

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『春と私の小さな宇宙』 その64

『春と私の小さな宇宙』 その64

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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雪解けの水の音が裏参道に響き渡る。日が徐々に昇っていき、木々の影が縮んでいく。

「その後、ボクは伊藤に報告を偽った。宮野に見つかったのがばれたら何されるかわからないからね。でも、君はそのことを伊藤に報告した。伊藤から『宮野が

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『春と私の小さな宇宙』 その62

『春と私の小さな宇宙』 その62

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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「あった。やはりここに落ちていたのね」

拾ったのは熊との格闘で負けを悟った時、落とした注射器だった。

「この場所に落としたところを記憶していたの。まだあってよかったわ」

今度はハルが宮野の首筋に注射器を当てる。ゆがんだ顔

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『春と私の小さな宇宙』 その61

『春と私の小さな宇宙』 その61

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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ハルの足は止まった。

そこはあの時、熊に遭遇した場所だった。ミハエルと再開した場所。落としかけた命を救ってくれた……。

ハルの首筋に痛みが走った。何かが身体を走り抜ける。視界が傾く。腹部をかばい、横向きに倒れた。

ジジジ

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『春と私の小さな宇宙』 その60

『春と私の小さな宇宙』 その60

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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バスから降りたハルはR神社の階段を見上げた。雪が溶け、冷たい水が小さな川のように流れている。

高くそびえる選別の階段を再び、ハルは登った。一歩一歩が重く、身体が悲鳴を上げていた。長い階段が続いている。荷重の増し

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『春と私の小さな宇宙』 その59

『春と私の小さな宇宙』 その59

※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。
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自宅の入り口まで来ると、郵便受けに封筒が入っていた。すぐ目に入るよう封筒の半分がはみ出ている。

まるで絶対に気付いてほしいのだと主張しているようだった。

封筒を取り出し、家に入る。二階に上がって自室に入ると先程の封筒を見た

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