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ゆぺし | 小説家、諦めました
2023年7月23日 07:43
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「本当に元気でよかった。・・・それで、出産予定日はいつなの?」「後、一週間ぐらい。もうすぐよ」ハルは命の詰まった下腹部を優しく撫でる。それに応えるように内部で我が子が蠢いた。「本当に・・・無事で、よかった・・・」
2023年7月20日 08:06
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー不思議な気分になったことを思い返したハルは、そっと、目を開ける。「あの時は大変だったわね。ハルが死んじゃったかもしれないと思ったら、倒れそうになったわ」「勝手に殺さないで」「ごめん、ごめん。でも、肝を冷やしたのは本
2023年7月19日 09:44
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー事故が起きた後のことは完全記憶能力でなくとも脳裏に刻み込まれていた。目をゆっくり閉じ、当時の出来事を思い返す。――老婆が腰を押さえ、小さな子供が泣いていた。体を強く打ったのか意識の無い女性をサラリーマンの男性が何度も声を
2023年7月18日 07:29
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーエピローグ四月初旬。爽やかな春の風が暖かな空気を運び、真っ白な飛行機雲が青い空に二本の線を描いていた。空いっぱいに降り注ぐ太陽光が冷えたコンクリートを温めている。噴水から湧き上がる水が、陽光を浴びて反射し、煌めいていた
2023年7月17日 07:28
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそれから普段の日常に戻った。生物学部には新しい教授と助教授が配属され、ハルの計画を邪魔する者はいなくなった。結局、家庭教師の報酬は宮野が死んだ今、金銭のみになった。研究室が自由に使えないのは痛かったが、伊藤が使っていた
2023年7月16日 08:09
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー11数日が経ち、伊藤を殺した犯人が見つかった。犯人は伊藤と同じ生物学部で助教授をしている宮野だと判明した。調査が進み、宮野は見つかった。しかし、警察が発見したのは、とある神社の裏参道で絶命していた宮野だった。遺体の
2023年7月14日 08:23
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーハルの計画はゆっくりとではあるが着実に浸透するものだった。知らず知らずのうちに人類の遺伝子は第三世代に変化していく。ハルの死後も三重螺旋のDNAは次世代に引き継がれ、第三世代の子孫を増やしていくのだ。いかに物事を滞りな
2023年7月13日 08:12
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーハルは振り返り、再び第三世代の男を見る。会った時と違い、弱々しい表情をしていた。「カレーよ」「カレー?」思いもよらぬ答えに、ミハエルは耳を疑った。「カレーは様々な具材が入っているわ。肉や野菜、水、スパイス・・・
2023年7月12日 09:01
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「部屋で伊藤が死んでいるのに気付いたボクは、転倒した宮野の元に向かった。彼はひどいけがを負っていたけど意識はあった。すぐに助けに行きたかったけど、警備員が向かって来ていた。ボクがやっと下りられた頃には、彼は自力で大学を出ていた
2023年7月9日 07:27
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー雪解けの水の音が裏参道に響き渡る。日が徐々に昇っていき、木々の影が縮んでいく。「その後、ボクは伊藤に報告を偽った。宮野に見つかったのがばれたら何されるかわからないからね。でも、君はそのことを伊藤に報告した。伊藤から『宮野が
2023年7月7日 08:47
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「あった。やはりここに落ちていたのね」拾ったのは熊との格闘で負けを悟った時、落とした注射器だった。「この場所に落としたところを記憶していたの。まだあってよかったわ」今度はハルが宮野の首筋に注射器を当てる。ゆがんだ顔
2023年7月6日 08:38
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーハルの足は止まった。そこはあの時、熊に遭遇した場所だった。ミハエルと再開した場所。落としかけた命を救ってくれた……。ハルの首筋に痛みが走った。何かが身体を走り抜ける。視界が傾く。腹部をかばい、横向きに倒れた。ジジジ
2023年7月4日 07:30
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 7バスから降りたハルはR神社の階段を見上げた。雪が溶け、冷たい水が小さな川のように流れている。高くそびえる選別の階段を再び、ハルは登った。一歩一歩が重く、身体が悲鳴を上げていた。長い階段が続いている。荷重の増し
2023年7月3日 09:58
※ジャンル別不能の不思議な物語です。少し暗め。※一人称と神視点が交互に切り替わります。以上が大丈夫な方だけ閲読ください。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー自宅の入り口まで来ると、郵便受けに封筒が入っていた。すぐ目に入るよう封筒の半分がはみ出ている。まるで絶対に気付いてほしいのだと主張しているようだった。封筒を取り出し、家に入る。二階に上がって自室に入ると先程の封筒を見た