当然の配慮

家庭環境に陰がある人もいるから、
家のことは聞かない。

学校に嫌な思い出がある人もいるから、
学生時代のことは聞かない。

職業を知られたくない人もいるから、
仕事は聞かない。

仕事から逃げたい人もいるから、
会社の話は聞かない。

年齢を言いたくない人もいるから、
歳は聞かない。

欲に対して後ろめたい人もいるから、
何を食べたか聞かない。

眠れない人もいるから、
生活リズムは聞かない。

性別にコンプレックスがある人もいるから、
男女を明言する言葉は使わない。

全員が異性愛者という訳ではないから、
安易に彼氏彼女という言葉を使わない。

恋愛観は様々だから、
当たり前のように色恋沙汰を聞かない。

体型に悩む人もいるから、
太ったとも痩せたとも言わない。

自らの容姿に苦しむ人もいるから、
マスクは無理やり取らせない。

大丈夫としか言えない人もいるから、
大丈夫、とは聞かない。

自らの生存を良く思わない人もいるから、
誕生日におめでとうは言わない。

言葉の一文字で受け取られ方は変わるから、
常に思案して最適な言葉を発しなければいけない。

ぜんぶ、僕が知っていること。
若造の僕でも分かること。
僕はいつも細心の注意を払っているのに、
どうして皆んなは何も考えていないの。

ぜんぶ、僕がされたら嫌なこと。
皆んながこれを思わないのは、
僕が気にしすぎているの。
被害者意識が強すぎる痛い人なの。
いつまでも僕だけが傷つくの。

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