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97. ムーンストーン

目を通すページに揺れる

言葉の隙間が

階段状に右へ落ちゆく

黎明

ぽつりと返り来た

淋しい一言は

雨音と跳ねる


おかしくなんかない

君は少し

違った色の空の下に生まれ

あらゆる天候に耐え抜く

名もなき色の果実を

味わってきただけ

私は違う空気の中で

少しばかり

深呼吸が滞りないだけ

正しいこととはいつも

多数決でしかない一雫

最小公倍数の小さな世界で

共に微笑むことが出来たら

十分に景色は潤ってゆく

そこに栞を挟んでおくから

もう眠りについて


昨日までは

珍しいトンネルだった

固く白い明かりが

出口までまっすぐに続き

通り抜けてすぐの太陽に

圧倒などされない後味

季節感は弾き飛ばして

君の好きなあの曲を爪弾く

見えない音符は

クルクルと舞い

先の空は青く

抜ける


五つ目の季節の名前を

君にあげる

だから

この月の欠片をどこかに

きっと

持っていてほしい


        :::🩵🔮🩵:::

みなさんのおかげさまでいただきました。
ありがとうございます。

あたたかなご支援をありがとうございます❤ みなさんのお心に寄り添えるような詩を形にしてゆきたいと思っています。