森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 キラキラキラ くるくると回る女性のドレスの裾が 広がるたびに,夜会用の靴やジュエリーが ホールの…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ザワザワ。 講堂の中は,生徒たちの声が絶えず流れ サワサワと,時には音量が上がり ザワザワとその…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 びゅぅ。 風が横を通り過ぎていった。 “秋の風は好きだけれども, こうもびゅうびゅう吹かれると …
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 キラキラキラキラ… 海面から,美しい声の光の粒が落ちてくる。 それはしばらく海底の砂をキラリと光…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ぴー!ぴちぴちっ‼︎… ガサガサ…クワっクワっ! …そこかしこから聞き慣れない音がする。 その度…
森の奥深く 貴方が知っている あるいは知らない場所にある色屋のはなし。 「突然きてごめんなさい。 どこに行ったらいいか分からなかったんです…」 「大丈夫ですよ。 まず…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 サクっ。 外側の見た目とは違う,鮮やかな黄色が テーブルの上にさっと光を広げた。 「お久しぶりで…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 口元を手で隠し、 嬉しそうにくすくすと笑う彼女。 頬は楽しさと恥ずかしさで ピンク色に染まってい…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ふんふふ〜ん♪ 甘酸っぱい香りが立ち込める ベリー農園のどこからか、鼻歌が聞こえる。 時には遠く…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 「スッパ」思わず呟いた私の声は, ガランとした部屋の中に響いた。 グレープフルーツは好きなんだけ…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 すぅ〜。 いい香りが鼻の奥に駆け抜けていく。 僕は、たまたま入ったこの店が当たりだと思った。 時…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 眩しい。 ただただ眩しくって,僕は彼女を遠くから 見つめてどうやったら知り合えるか 黙々と考える…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 美しい赤い色の瓶が目に止まった。 深い赤…と言うのだろうか, ツヤツヤと,艶かしいまではいかない…
森の奥深く 貴方が知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 鼻腔をくすぐる,甘いようなピリッとしたような スパイスの香りが食欲をそそる。 収穫祭というのか…小…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 夕暮れの色が濃くなる頃, 店の棚のすみがポゥっと明るくなる。 色屋は様々な色が置かれているので,…
森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 カタカタカタ! 下駄を鳴らして走り去るおかっぱ頭の女の子。 彼女の足より大きな下駄は,ともすれば…
ユガ
2024年1月28日 09:05
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。キラキラキラくるくると回る女性のドレスの裾が広がるたびに,夜会用の靴やジュエリーがホールの光を反射して光る。幼い私たちはホールの隅っこにかたまって,大人達があまり手をつけない料理を次々と手に取り,一通り楽しんでから,テーブルの下に潜り込み,テーブルクロスの裾をそっと持ち上げ,優雅そうに,しかし忙しく動き回る
2024年1月8日 22:49
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。ザワザワ。講堂の中は,生徒たちの声が絶えず流れサワサワと,時には音量が上がりザワザワとその空間を満たしていた。「静かに。今から式典を始める」そう大きくない音量で発せられた声で,ピタリとざわめきが止み,生徒たちが並ぶ列の横を通り抜け校長が壇上に上がった。「今日は皆さんの揃った顔が見られて嬉しいです……」と
2023年12月31日 15:09
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。びゅぅ。風が横を通り過ぎていった。“秋の風は好きだけれども,こうもびゅうびゅう吹かれると皆早足になるし、枯葉は落ちちゃうし,秋の名残を楽しむには不向きになっちゃうわね。今日は市場を回って,色々と冬支度するつもりだったのに。“ふぅ。深い紫と紺色の混じった,天辺がまあるく頭まわりの縁には光沢のあるリボンが
2023年12月10日 10:36
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。キラキラキラキラ…海面から,美しい声の光の粒が落ちてくる。それはしばらく海底の砂をキラリと光らせた後儚く消えていく粒だったけれど,最初に気がついた噂好きの魚が綺麗だったんだよ〜と皆に話して周り,それを聞いたタコが,それなら一度観に行こうと壺から這い出て見に行って,美しいなとつぶやいたものだから,それならオレた
2023年11月23日 17:43
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。ぴー!ぴちぴちっ‼︎…ガサガサ…クワっクワっ!…そこかしこから聞き慣れない音がする。その度に背筋がきゅっと伸び,冷や汗がどっと出る。案内付きとはいえ,いつも行く色屋さんの森とは趣が全く違う…野生みが強いと言うか,緑の濃さや空気まで濃いような…数歩先は明るいはずなのにぽっかり暗闇が待っていそうな…つまりば
2023年11月18日 16:34
森の奥深く貴方が知っているあるいは知らない場所にある色屋のはなし。「突然きてごめんなさい。どこに行ったらいいか分からなかったんです…」「大丈夫ですよ。まずはお腹に温かいものを入れましょう。パスタは食べられますか…?っと思いましたが、今切らしていました…鶏肉ならあるな…」「少しお酒を垂らしたミルクです。出来上がるまで時間がかかると思うので,これで温まっていてください」「あ
2023年11月12日 11:46
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。サクっ。外側の見た目とは違う,鮮やかな黄色がテーブルの上にさっと光を広げた。「お久しぶりですね」「ええ,こうしてお会いするのは久しぶりです。いつも,あなたが送ってくれるパイナップルは美味しくいただいています。仲良くしてくれているケーキ屋さんにもお裾分けすると,とても喜んでいますよ。この農園のパイナップルは,
2023年11月5日 07:47
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。口元を手で隠し、嬉しそうにくすくすと笑う彼女。頬は楽しさと恥ずかしさでピンク色に染まっている。ああ。可愛いなぁ。そいうい僕も,ほっぺたはずっと熱い。これから秋の旅行…(といっても遠出はできないんだけれども。)話で盛り上がっている。ここのご飯は美味しそう。ここは見どころなんじゃ無い?そういえば、昨日カ
2023年10月29日 15:20
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。ふんふふ〜ん♪甘酸っぱい香りが立ち込めるベリー農園のどこからか、鼻歌が聞こえる。時には遠く、気がつくと,すぐ近くに。あっているのかあっていないのか捉え所のないリズムがゆるゆると聴こえる。「八塩さ〜ん!ベリーのカゴ、いっぱいになりました〜!」ハタと鼻歌が途切れる。「保冷バックにそっと移しておいておくれ!潰
2023年10月21日 08:26
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。「スッパ」思わず呟いた私の声は,ガランとした部屋の中に響いた。グレープフルーツは好きなんだけれども,1人で食べるには持て余す大きさ…ふぅ。と,ため息をついて立ち上がり,“そういえば子供の頃は,お砂糖とグレープフルーツの苦味が混ざった味が食べたくて、もっと掛けてとねだったよね”そんなことを思いながら,グレープフ
2023年9月30日 20:29
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。すぅ〜。いい香りが鼻の奥に駆け抜けていく。僕は、たまたま入ったこの店が当たりだと思った。時が止まったような茶色が溜まる店の陳列だが,モノは,手入れが行き届いているし,年代物の時計がチクタクと,小さいながらも動く嬉しさが滲み出ている音を,控えめに,しかし,しっかりと周りにアピールし,時を刻んでいたからだ。時
2023年9月24日 22:01
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。眩しい。ただただ眩しくって,僕は彼女を遠くから見つめてどうやったら知り合えるか黙々と考えることしかできない。僕が彼女との間にできた接点は,購買部で同じパンを…最後の一個を…譲り合ったと言う,ベタなシチュエーション。「あ,どうぞ」「いえいえ,ワタシは昨日も食べたのでどうぞ」なんて,言う些細なはじまり。僕
2023年9月3日 11:08
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。美しい赤い色の瓶が目に止まった。深い赤…と言うのだろうか,ツヤツヤと,艶かしいまではいかないけれど,目が離せない,深く魅入られる赤。「どうされましたか?」私は,店主の声でしばらく見入っていて動かなかったことに気がつく。「ああ,なぜだかこの赤から目が離せなくて」「これは,古い物語から滲み出ていた深い愛を表し
2023年8月16日 12:58
森の奥深く貴方が知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。鼻腔をくすぐる,甘いようなピリッとしたようなスパイスの香りが食欲をそそる。収穫祭というのか…小さなgala (特別なお祭り)なのに,想像より人出があって賑やかだ。“ふぅ,いい景色ですね…色がつきません…“色屋は,賑やかな店頭の灯りや,美味しそうに温められているワインの色を採取し,満足そうにと息をこぼした。そし
2023年8月14日 11:38
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。夕暮れの色が濃くなる頃,店の棚のすみがポゥっと明るくなる。色屋は様々な色が置かれているので,どれかが光るなどは,特段驚くことではない…けれど、この色はなぜか懐かしい心持ちにさせるのだった…屋根裏部屋で,2人の少女が遊んでいる。お人形さんごっこ,布などを巻き付けて変身するお姫様ごっこ…少し成長すると,お互いの
2023年8月3日 00:19
森の奥深くあなたが知っているあるいは知らない場所にある色屋の話。カタカタカタ!下駄を鳴らして走り去るおかっぱ頭の女の子。彼女の足より大きな下駄は,ともすればすっぽりと足から飛んでいきそうな程なのだが,器用に履きこなして走り去っていく。にゃーと猫があくび混じりに鳴きながら道を横切る。坊主頭の半袖半ズボンの男の子たちがワイワイと騒がしく走り去る…ご婦人達が買い物かごから野