ユガ

2021年に行われた,podcast番組を制作しているTOCINMASHとフェリシモが…

ユガ

2021年に行われた,podcast番組を制作しているTOCINMASHとフェリシモが共同企画をした「500色のいろえんぴつ」の題名を使ってお話を書くことが楽しく,2022年になってからツラツラと書き綴り始めました。 隙間時間を色で埋めていただけたら幸いです。

記事一覧

383: あの子みたい。意外と割れないガラスの靴のタフネス色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 キラキラキラ くるくると回る女性のドレスの裾が 広がるたびに,夜会用の靴やジュエリーが ホールの…

ユガ
3か月前
4

363: 嬉しい時って跳ねるんだ!と気づいた日の驚き色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ザワザワ。 講堂の中は,生徒たちの声が絶えず流れ サワサワと,時には音量が上がり ザワザワとその…

ユガ
4か月前
3

343: 風に吹かれて夜に消えた魔女のお気に入り帽子色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 びゅぅ。 風が横を通り過ぎていった。 “秋の風は好きだけれども, こうもびゅうびゅう吹かれると …

ユガ
4か月前
3

323: 水面から海底に届いたモーニングコール色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 キラキラキラキラ… 海面から,美しい声の光の粒が落ちてくる。 それはしばらく海底の砂をキラリと光…

ユガ
5か月前
4

303:ジャングルの探検で見つけた森の王様のような果実色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ぴー!ぴちぴちっ‼︎… ガサガサ…クワっクワっ! …そこかしこから聞き慣れない音がする。 その度…

ユガ
5か月前
3

283: かけるだけ。でも、それなりに見栄えするバジルソース色。

森の奥深く 貴方が知っている あるいは知らない場所にある色屋のはなし。 「突然きてごめんなさい。 どこに行ったらいいか分からなかったんです…」 「大丈夫ですよ。 まず…

ユガ
5か月前
3

263: ほほをなでる太陽色の果実のささやき色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 サクっ。 外側の見た目とは違う,鮮やかな黄色が テーブルの上にさっと光を広げた。 「お久しぶりで…

ユガ
5か月前
7

243: 他愛もない話に一喜一憂する乙女心色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 口元を手で隠し、 嬉しそうにくすくすと笑う彼女。 頬は楽しさと恥ずかしさで ピンク色に染まってい…

ユガ
6か月前
2

223: ベリーを摘みに行く軽快な足取り色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 ふんふふ〜ん♪ 甘酸っぱい香りが立ち込める ベリー農園のどこからか、鼻歌が聞こえる。 時には遠く…

ユガ
6か月前
4

203:グレープフルーツの苦味で目覚める勇気の色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 「スッパ」思わず呟いた私の声は, ガランとした部屋の中に響いた。 グレープフルーツは好きなんだけ…

ユガ
6か月前
4

183: 香りほのかな燃え残るセイジ色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 すぅ〜。 いい香りが鼻の奥に駆け抜けていく。 僕は、たまたま入ったこの店が当たりだと思った。 時…

ユガ
7か月前
4

163: 世界を輝かせる天然のスポットライト

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 眩しい。 ただただ眩しくって,僕は彼女を遠くから 見つめてどうやったら知り合えるか 黙々と考える…

ユガ
7か月前
2

143: 信じられないほど深く美しい愛の物語色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 美しい赤い色の瓶が目に止まった。 深い赤…と言うのだろうか, ツヤツヤと,艶かしいまではいかない…

ユガ
8か月前
3

123: 秋の味覚シナモンフレーバーのスイーツの色

森の奥深く 貴方が知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 鼻腔をくすぐる,甘いようなピリッとしたような スパイスの香りが食欲をそそる。 収穫祭というのか…小…

ユガ
8か月前
2

103: 屋根裏部屋のサンライトの色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 夕暮れの色が濃くなる頃, 店の棚のすみがポゥっと明るくなる。 色屋は様々な色が置かれているので,…

ユガ
8か月前
1

83: 懐かしい下町の夕焼け小焼け色

森の奥深く あなたが知っている あるいは知らない場所にある色屋の話。 カタカタカタ! 下駄を鳴らして走り去るおかっぱ頭の女の子。 彼女の足より大きな下駄は,ともすれば…

ユガ
9か月前
3
383: あの子みたい。意外と割れないガラスの靴のタフネス色

383: あの子みたい。意外と割れないガラスの靴のタフネス色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

キラキラキラ
くるくると回る女性のドレスの裾が
広がるたびに,夜会用の靴やジュエリーが
ホールの光を反射して光る。

幼い私たちはホールの隅っこにかたまって,
大人達があまり手をつけない料理を
次々と手に取り,一通り楽しんでから,
テーブルの下に潜り込み,テーブルクロスの裾を
そっと持ち上げ,優雅そうに,しかし
忙しく動き回る

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363: 嬉しい時って跳ねるんだ!と気づいた日の驚き色

363: 嬉しい時って跳ねるんだ!と気づいた日の驚き色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

ザワザワ。
講堂の中は,生徒たちの声が絶えず流れ
サワサワと,時には音量が上がり
ザワザワとその空間を満たしていた。

「静かに。今から式典を始める」
そう大きくない音量で発せられた声で,
ピタリとざわめきが止み,
生徒たちが並ぶ列の横を通り抜け
校長が壇上に上がった。

「今日は皆さんの揃った顔が見られて
嬉しいです……」と

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343: 風に吹かれて夜に消えた魔女のお気に入り帽子色

343: 風に吹かれて夜に消えた魔女のお気に入り帽子色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

びゅぅ。
風が横を通り過ぎていった。

“秋の風は好きだけれども,
こうもびゅうびゅう吹かれると
皆早足になるし、枯葉は落ちちゃうし,
秋の名残を楽しむには不向きになっちゃうわね。

今日は市場を回って,
色々と冬支度するつもりだったのに。“
ふぅ。

深い紫と紺色の混じった,天辺がまあるく
頭まわりの縁には光沢のあるリボンが

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323: 水面から海底に届いたモーニングコール色

323: 水面から海底に届いたモーニングコール色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

キラキラキラキラ…
海面から,美しい声の光の粒が落ちてくる。
それはしばらく海底の砂をキラリと光らせた後
儚く消えていく粒だったけれど,
最初に気がついた噂好きの魚が
綺麗だったんだよ〜と皆に話して周り,
それを聞いたタコが,それなら一度観に行こうと
壺から這い出て見に行って,
美しいなとつぶやいたものだから,
それならオレた

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303:ジャングルの探検で見つけた森の王様のような果実色

303:ジャングルの探検で見つけた森の王様のような果実色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

ぴー!ぴちぴちっ‼︎…
ガサガサ…クワっクワっ!
…そこかしこから聞き慣れない音がする。
その度に背筋がきゅっと伸び,
冷や汗がどっと出る。

案内付きとはいえ,いつも行く
色屋さんの森とは趣が全く違う…
野生みが強いと言うか,緑の濃さや空気まで
濃いような…数歩先は明るいはずなのに
ぽっかり暗闇が待っていそうな…

つまりば

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283: かけるだけ。でも、それなりに見栄えするバジルソース色。

283: かけるだけ。でも、それなりに見栄えするバジルソース色。

森の奥深く
貴方が知っている
あるいは知らない場所にある色屋のはなし。

「突然きてごめんなさい。
どこに行ったらいいか分からなかったんです…」
「大丈夫ですよ。
まずはお腹に温かいものを入れましょう。
パスタは食べられますか…?っと思いましたが、
今切らしていました…鶏肉ならあるな…」

「少しお酒を垂らしたミルクです。
出来上がるまで時間がかかると思うので,
これで温まっていてください」
「あ

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263: ほほをなでる太陽色の果実のささやき色

263: ほほをなでる太陽色の果実のささやき色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

サクっ。
外側の見た目とは違う,鮮やかな黄色が
テーブルの上にさっと光を広げた。

「お久しぶりですね」
「ええ,こうしてお会いするのは久しぶりです。
いつも,あなたが送ってくれるパイナップルは
美味しくいただいています。
仲良くしてくれているケーキ屋さんにも
お裾分けすると,とても喜んでいますよ。
この農園のパイナップルは,

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243: 他愛もない話に一喜一憂する乙女心色

243: 他愛もない話に一喜一憂する乙女心色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

口元を手で隠し、
嬉しそうにくすくすと笑う彼女。
頬は楽しさと恥ずかしさで
ピンク色に染まっている。

ああ。可愛いなぁ。

そいうい僕も,ほっぺたはずっと熱い。
これから秋の旅行…
(といっても遠出はできないんだけれども。)
話で盛り上がっている。

ここのご飯は美味しそう。
ここは見どころなんじゃ無い?
そういえば、昨日カ

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223: ベリーを摘みに行く軽快な足取り色

223: ベリーを摘みに行く軽快な足取り色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

ふんふふ〜ん♪

甘酸っぱい香りが立ち込める
ベリー農園のどこからか、鼻歌が聞こえる。
時には遠く、気がつくと,すぐ近くに。
あっているのかあっていないのか
捉え所のないリズムがゆるゆると聴こえる。

「八塩さ〜ん!ベリーのカゴ、
いっぱいになりました〜!」
ハタと鼻歌が途切れる。
「保冷バックにそっと移しておいておくれ!

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203:グレープフルーツの苦味で目覚める勇気の色

203:グレープフルーツの苦味で目覚める勇気の色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

「スッパ」思わず呟いた私の声は,
ガランとした部屋の中に響いた。
グレープフルーツは好きなんだけれども,
1人で食べるには持て余す大きさ…

ふぅ。と,ため息をついて立ち上がり,
“そういえば子供の頃は,お砂糖と
グレープフルーツの苦味が混ざった味が
食べたくて、もっと掛けてとねだったよね”
そんなことを思いながら,グレープフ

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183: 香りほのかな燃え残るセイジ色

183: 香りほのかな燃え残るセイジ色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

すぅ〜。
いい香りが鼻の奥に駆け抜けていく。
僕は、たまたま入ったこの店が当たりだと思った。

時が止まったような茶色が溜まる店の陳列だが,
モノは,手入れが行き届いているし,
年代物の時計がチクタクと,小さいながらも
動く嬉しさが滲み出ている音を,控えめに,
しかし,しっかりと周りにアピールし,
時を刻んでいたからだ。

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163: 世界を輝かせる天然のスポットライト

163: 世界を輝かせる天然のスポットライト

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

眩しい。
ただただ眩しくって,僕は彼女を遠くから
見つめてどうやったら知り合えるか
黙々と考えることしかできない。

僕が彼女との間にできた接点は,
購買部で同じパンを…最後の一個を…
譲り合ったと言う,ベタなシチュエーション。

「あ,どうぞ」
「いえいえ,ワタシは昨日も食べたのでどうぞ」
なんて,言う些細なはじまり。

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143: 信じられないほど深く美しい愛の物語色

143: 信じられないほど深く美しい愛の物語色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

美しい赤い色の瓶が目に止まった。
深い赤…と言うのだろうか,
ツヤツヤと,艶かしいまではいかないけれど,
目が離せない,深く魅入られる赤。

「どうされましたか?」
私は,店主の声でしばらく見入っていて
動かなかったことに気がつく。

「ああ,なぜだかこの赤から目が離せなくて」
「これは,古い物語から滲み出ていた
深い愛を表し

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123: 秋の味覚シナモンフレーバーのスイーツの色

123: 秋の味覚シナモンフレーバーのスイーツの色

森の奥深く
貴方が知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

鼻腔をくすぐる,甘いようなピリッとしたような
スパイスの香りが食欲をそそる。
収穫祭というのか…小さなgala (特別なお祭り)
なのに,想像より人出があって賑やかだ。

“ふぅ,いい景色ですね…色がつきません…“
色屋は,賑やかな店頭の灯りや,
美味しそうに温められている
ワインの色を採取し,満足そうにと息をこぼした。

そし

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103: 屋根裏部屋のサンライトの色

103: 屋根裏部屋のサンライトの色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

夕暮れの色が濃くなる頃,
店の棚のすみがポゥっと明るくなる。
色屋は様々な色が置かれているので,
どれかが光るなどは,特段驚くことではない…
けれど、この色はなぜか懐かしい心持ちに
させるのだった…

屋根裏部屋で,2人の少女が遊んでいる。
お人形さんごっこ,布などを巻き付けて変身する
お姫様ごっこ…少し成長すると,
お互いの

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83: 懐かしい下町の夕焼け小焼け色

83: 懐かしい下町の夕焼け小焼け色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

カタカタカタ!
下駄を鳴らして走り去るおかっぱ頭の女の子。
彼女の足より大きな下駄は,ともすれば
すっぽりと足から飛んでいきそうな程なのだが,器用に履きこなして走り去っていく。

にゃーと猫があくび混じりに鳴きながら
道を横切る。

坊主頭の半袖半ズボンの男の子たちがワイワイと
騒がしく走り去る…

ご婦人達が買い物かごから野

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