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”なにか”を抱えた若者たちの一ヶ月間の青い春「深呼吸の必要」

”なにか”を抱えた若者たちの一ヶ月間の青い春「深呼吸の必要」

今回は 篠原哲雄監督作品「深呼吸の必要」について。

サントラは全編 小林武史さん。
主題歌は My Little Lover 「深呼吸の必要」
良すぎる・・・!!!
ので、予告編だけでも観てほしい。

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あらすじ

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誰にも話したくない「なにか」を抱えた若者たちの一生ものの青春

ひとりひとり「なにか」を抱えた若者たちが、夏の一ヶ月間、住み込みで沖縄の田舎にサトウキビ狩り

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独特な美意識。気品漂う狂気「ソナチネ」

独特な美意識。気品漂う狂気「ソナチネ」

今回は、大好きな北野武監督作品「ソナチネ」について。

あらすじ

北野武監督作品は色々観ているけれど、その中でも、一番好きな作品です。まず、久石譲の・・・曲が・・・いいんですよね・・・・・

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タケシ映画らしい独特な美意識にどっぷり浸れる演出
固定カメラの長回しシーンが多く、時間をゆったりと使って カッコいい絵をドンっと見せつけられる。

背の高い緑の葉の間の道を、砂埃

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90年代のヒリヒリした空気感の中に作り上げた虚構で生きる少女「式日」

90年代のヒリヒリした空気感の中に作り上げた虚構で生きる少女「式日」

今回は、庵野秀明監督作品「式日」について。

2000年公開ですが、90年代の世紀末的な空気感があって大好きな映画です。

あらすじカメラワークや構図が美しく 好きなシーンが多いので、私のスマホの待ち受け画像は3年くらい「式日」です。

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庵野監督の趣味がひたすらてんこもり冒頭から、工場地帯がどどん。

電線や煙突。さびれた風景に線路。繰り返される時報が不安感を掻き立てて

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70年代カルトムービー!カオス怪奇ファンタジー「HOUSE」

70年代カルトムービー!カオス怪奇ファンタジー「HOUSE」

今回は、大林宜彦監督の商業映画デビュー作「HOUSE」について。

ハロウィンが近いということで、ホラー映画!でも怖いのは苦手なので、少し前に観た へんてこホラーを思い出して。

あらすじ夏休みを利用しておばちゃまの羽臼(はうす)屋敷を訪れる"オシャレ"と6人の友人。だがおばちゃまはすでにこの世の人ではなく、戦死した恋人への思いだけで存在し続ける生き霊だったのだ。そして若返るためには少女を食べなけ

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キスも知らない17歳が、銃の打ち方は知っている「Elephant」

キスも知らない17歳が、銃の打ち方は知っている「Elephant」

今回は、1999年4月20日にコロラド州で起きたコロンバイン高校銃乱射事件を作品の題材に撮られた映画

ガス・ヴァン・サント監督の「Elephant エレファント」について。

あらすじオレゴン州ポートランド郊外のワット高校。ある初秋の朝、生徒たちそれぞれの、いつもの一日が始まる。ジョンは、酒に酔った父と車の運転を交代して学校に到着。だが、遅刻した彼は校長から居残りを言い渡される。写真好きのイーラ

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104分間 なんでもない日常を追った人だけが感じられる 壮大な物語「キッズ•リターン」

104分間 なんでもない日常を追った人だけが感じられる 壮大な物語「キッズ•リターン」

今回は、大好きな北野武監督作品の一つ「キッズ・リターン」について。

あらすじいつもつるんで、学校に行っては問題を起こしていた18歳のマサルとシンジ。ある日、カツアゲした高校生の助っ人にノックアウトされてしまったマサルは、ボクシングに目覚め、ジム通いをはじめる。付き合いでシンジもジムに入門し、ふたりはボクシングの練習に没頭する。ある夜、ヤクザに絡まれたふたりは、若頭に助けられるが、その迫力にマサル

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ロマンチックな恋愛模様に加えたポップなグロ「美味しい美女」

ロマンチックな恋愛模様に加えたポップなグロ「美味しい美女」

今回はフランス映画らしい、ちょっぴりグロがポップでカワイイ 15分の短編

アクセル・クティエール監督のショートフィルム「美味しい美女」(原題 Belle à croquer)について。

あらすじグルメな食肉家、オスカー・モングは、同じ建物のアパートに住む、植物のように美しい隣人マドモアゼル・キャロットに熱烈な恋をしている。しかし上手くいかないことは目に見えていた。彼女はベジタリアン、オスカーは

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氷の季節と花の季節の間に三月がある。三月は、嵐の季節。「三月のライオン」

氷の季節と花の季節の間に三月がある。三月は、嵐の季節。「三月のライオン」

今回は、2021/2/26からアップリンクにて劇場公開が決定した、

矢崎仁司監督の名作「三月のライオン」について。

あらすじ兄と妹がいた。妹は兄をとても愛していた。いつか、兄の恋人になりたいと、心に願っていた。・・・ある日兄が記憶を失った。・・・妹は兄に恋人だと偽り、病院から連れ出した。記憶喪失の兄は、恋人と一緒に暮らし始めた。恋人の名前は「アイス」・・・

あの、人気将棋漫画「3月のライオン

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夢、幻想、現実の境がない、子供目線のダークで奇妙なリアル「Alice」

夢、幻想、現実の境がない、子供目線のダークで奇妙なリアル「Alice」

こんにちは。

今回は、東欧キャラクターデザインが不気味で可愛い 大好きなダークファンタジー ヤンシュヴァンク・マイエル「Alice」について。

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チェコアニメの伝統を無視し続ける異端児 ヤンシュヴァンク・マイエルとは

人であろうと物であろうと、私にとっては、
劇中に登場するオブジェに過ぎない。
ただ、人だとギャラが発生するから
厄介だけどね

という彼は、人生で最も劇的な、生と死

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フランス映画のダークな部分が詰まった16分の短編「ジュディエット・ホテル」

フランス映画のダークな部分が詰まった16分の短編「ジュディエット・ホテル」

こんにちは。
今回は、16分のフランス短編映画。

この映画を知ったときはYouTubeに全編上がっていて、「さくっと観るか〜」な気持ちで観たんだけど。

まさかこんなに短い作品が、心に残る、好きな映画になるとは思いませんでした。

シャルロット・ルボン監督「ジュディエット・ホテル」について。

あらすじ永遠の眠りにつくこと。それこそがレミの夢。8年前から不眠症に悩んでいたレミにとって、この世はも

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超怪作、激アングラ。カルト映画の金字塔 「ホーリー・マウンテン」

超怪作、激アングラ。カルト映画の金字塔 「ホーリー・マウンテン」

こんにちは。

今回は、初めて観た時に あまりに衝撃を受けた、最狂なカルト映画 アレハンドロ・ホドロフスキー「ホーリー・マウンテン THE HOLY MOUNTAIN」について。

ホドロフスキー監督の前作『エル・トポ』を観たジョン・レノンとオノ・ヨーコがぞっこんになり、二人が制作資金を援助したという映画です。当時のアメリカとメキシコの合同映画史上最大の150万ドルの製作費でつくられています。

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これが東欧感性か!ポップな邪悪さが可愛い「リザとキツネと恋する死者たち」

これが東欧感性か!ポップな邪悪さが可愛い「リザとキツネと恋する死者たち」

こんにちは。

今回は、ジャケも可愛いハンガリー映画「リザとキツネと恋する死者たち」について。

ハンガリーの人気CMディレクター、ウッイ・メーサーロシュ・カーロイの初長編作品。ところどころに日本へのオマージュを盛り込まれているんですが・・

それが、とてつもなく不思議ワールドでした。

あらすじ1970年代のブダペスト。日本の恋愛小説と、彼女だけに見えるユーレイ日本人歌手“トミー谷”が心のよりど

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日常をお伽話にする、魔法の言葉。“ねえ、想像して”「Laundry ランドリー」

日常をお伽話にする、魔法の言葉。“ねえ、想像して”「Laundry ランドリー」

こんにちは。
全国的に梅雨入りしましたね☔︎

お洗濯物がカラッとできる晴れの日が
貴重な存在になるこの時期。

今日は純粋無垢な真っ白さが、心をさらっと洗ってくれる映画 森淳一監督「Laundry ランドリー 」について

トレーラーの曲、映像、雰囲気だけで、心臓がバクバクします。

「Laundry ランドリー」あらすじテルは20歳になる青年。祖母の経営するコイン・ランドリーで、洗濯物が盗まれ

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主人公、アキラくんじゃないんかい!から始まる 80’s NEO TOKYO「AKIRA」

主人公、アキラくんじゃないんかい!から始まる 80’s NEO TOKYO「AKIRA」

こんにちは。

今回は、少し前から、時を超えて超話題になっている 大友克洋監督「AKIRA」について。

去年、建替え工事中をしていた、あの渋谷PARCOの工事仮囲いにババン描かれていたアートウォールが「AKIRA」の世界です。

今観るべき!と言われ続けてきた2019年のAKIRAイヤーには観る機会がなく、(観たい観たいとは、ずーっと思っていた・・)ようやくコロナ自粛中に観ることができました。な

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