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独特な美意識。気品漂う狂気「ソナチネ」
今回は、大好きな北野武監督作品「ソナチネ」について。
あらすじ
組長からの命令により、沖縄にある中松組の抗争の助っ人として舎弟たちと共に沖縄へと出向いた村川。しかし、抗争は収まるどころかますます悪化する。事務所を爆破された村川たちは、海岸沿いの空き家へと身を隠すことになる。そこで、自由気ままな日々を過ごす彼らだったが、愉快な時間はそう長くは続かなかった。
北野武監督作品は色々観ているけれど、その中でも、一番好きな作品です。まず、久石譲の・・・曲が・・・いいんですよね・・・・・
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タケシ映画らしい独特な美意識にどっぷり浸れる演出
固定カメラの長回しシーンが多く、時間をゆったりと使って カッコいい絵をドンっと見せつけられる。
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背の高い緑の葉の間の道を、砂埃立てながら青い車が走ってくるシーンや、海・山・砂浜がひとつの映像にある、引きのシーン。
青みがかったザラザラした画面。
気品があって心地が良い。これぞ私の大好きなキタノブルー!
爆発した車からゴウ~と出る黒煙のバックには、穏やかな青い空と海。
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綺麗なものの中に破滅的なものがある違和感
って、なんでこんなに繊細で美しいんだ!(好きなのだ!)
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美しい沖縄の風景と、破滅的なバイオレンスとの対比
沖縄の田舎に避難してきたヤクザたちが暇を持て余して、夏休みのようなゆったりした時間を過ごす。
そして最初は仲の悪かった幼稚な子分 ケンと良二が、遊んでいるうちにどんどん仲良くなっていくところが微笑ましい!
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「中野のキンジョウってやつ知ってる?」
「え?」
「ほら、スーパー強盗入って立てこもったやつ」
「知らねえよ」
「ナンバラって暴走族しってる?
「お前な、悪い奴ばっかり知っててよ・・・もっと何かいねえのかよ?甲子園出たとか、もっとマシな奴よ」
なんでもないけど、なーんか好きなシーンなのです。
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沖縄の美しい浜辺で相撲をとったり、地元の女性と仲良くなったり、ロケット花火撃ち合ったり、頭に載せたアルミ缶を拳銃で狙ったり。穏やかな日々。
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その中でも有名で印象的なシーン。
子分の2人が拳銃で遊んでいると、遠くで見てた 北野武演じる 村川がやってきて、拳銃の中の銃弾を手際よく抜き出し、一発だけ残す。
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「じゃんけん」と言って、負けた子分に向かっておもむろに撃つ。
まだ、銃弾は出ない。
そしてラスト一発のじゃんけんで自分が負け、そのまま笑顔でこめかみに拳銃をあてて、引き金を引く。
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平和の中に突如 入ってくる狂気。
可愛がってる自分の仲間を撃つわけない!とは分かっていながら、村川の飄々とした佇まいをみていると、やりかねないな・・・と思ったり。
何をしでかすか、わからないあの笑顔
村川のぶっ飛んだユーモア。めっちゃかっこいいいい・・・!!
空気感は平和であるのに、常に糸がピンと張ったような緊張感が感じられる理由は、この人がいるからだなあ。
結局、村川のお茶目な悪戯だったんだけどね。
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そして、ゆるーい夢を、終わらせたのか
殺されかけた子分の仇を取るために一人でヤクザの会合に乗り込み、何十人の敵を前にひとり生き残った村川。
そして大勝負に勝ったその足で、愛する 幸のもとへ向かう。
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しかし、もう少しで再会できる、という直前で車を停めて、
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村川はこの映画の中ではとても平和だったし、大勝負にも勝って、愛する人のもとに行って、あとは幸せになるだけの運命だった。
でも、なんで!?とは思わなかった。
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わたしは、村川には死なせてあげたかった。
「あんまり死ぬのを怖がると、死にたくなっちゃうんだよ」
こんな言葉があったからなのかもしれないな~。
「暴力団を賛美した表現をしたことがなく、拳銃を使った人間は幸せになれないようなシナリオにしている」
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まとめ
私はバイオレンス映画が好きなわけじゃない。むしろ苦手な部類。そんなわたしが好きなだけあって、この映画は暴力つめつめのバイオレンス映画が好きな人には、物足りないのかもしれない。
ゆっくりとした平和なシーンが夢だったのか?と思えるほどのラストの畳みかけ。そして「ゆるい夢」が完全に終わったかのような、村川のラスト。
私は、「映画が終わっても当たり前のように続いていくような物語」も好きですが、「ひと時の、泡沫の夢のようにそのときの日々がすっかりなくなって、それと同時に終わる物語」も大好きです。まさにこの作品。
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もともと、好きな人が多い映画ですが、忘れかけてる人には改めて観てほしいし、観たことない人には、(やっぱりバイオレンス描写はあるので)無理なく観てほしい作品です。
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