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これが東欧感性か!ポップな邪悪さが可愛い「リザとキツネと恋する死者たち」

こんにちは。

今回は、ジャケも可愛いハンガリー映画「リザとキツネと恋する死者たち」について。


ハンガリーの人気CMディレクター、ウッイ・メーサーロシュ・カーロイの初長編作品。ところどころに日本へのオマージュを盛り込まれているんですが・・


それが、とてつもなく不思議ワールドでした。



あらすじ

1970年代のブダペスト。日本の恋愛小説と、彼女だけに見えるユーレイ日本人歌手“トミー谷”が心のよりどころのリザ。30歳の誕生日に住み込み先の元日本大使未亡人に許可をもらい、素敵な出会いを求め外出するが、その間に未亡人が殺害されてしまう。刑事ゾルタンが捜査を命じられるが、リザに殺人の気配はない・・・。恋に恋する彼女が巻き込まれる連続殺人事件。その影にチラつくキツネの呪い。果たして孤独なリザに幸せはやってくるのか̶。



散りばめられた、海外からから観た‘‘イメージ‘‘の日本

もともと日本に興味があったという監督。日本来日時に知ったという、那須に伝わる九尾の狐伝説がモチーフになっていて、主人公のリザも日本が大好き。そして、作中にも日本文化がたくさん。



…だけど、なんだかちょっと偽物ちっくでヘンテコなんです。


片言の日本語、サムライ、スンガチという変な日本人の名前、巡査の包帯は日本国旗、桜、着物、キティーちゃんのマスコット…


そしてこの映画の目玉、リザにしかみえない幽霊、トミー谷が歌って踊る日本歌謡曲の数々!どこか中国っぽくもあり、中東っぽくもあり・・・でもやっぱりベースは日本で・・・



クセになるっっ!!


60‘s風歌謡曲なのに、カタコト日本語ですごく変。・・・なのに観終わった後もめちゃくちゃ恋しくなって、youtubeで検索検索。そしてまんまと、鼻歌歌っちゃいます。


ロマンチックなリザの周りで起きるポップな不審死

主人公リザの心の拠り所は、日本小説とユーレイとしてなぜか見えるお友達の日本人歌手だけ。純粋なリザは30歳の誕生日にロマンチックな真実の愛を追い求めて外出をします。そしていろいろな男性たちに出会い、男性たちはリザを好きになっていく。


そして、死ぬ!!!

「(カンッ!!) 死者!!〇〇!!」(ドドンッ)

バッタバッタと容赦なく人が死にます。とことんシュールにブラックなジョークが次から次へと。


ロマンチックで、夢見がちなリザ、そしてその周りの作りこまれた胡散臭いセットは『アメリ』に近い物もあったけど、ファンタジーなラブロマンスとはまた違くて・・・。主軸はしっかりラブストーリーなんだけど、ホラー?コメディー?ミュージカル?ミステリー?ちょっぴりグロ・・?ん~。枠はどうでもいいか!自由奔放!



まとめ

『ワルっっ!!(笑)』と思うんだけど、その悪がとってもポップで、登場人物全員憎めなくて大好き。日本人役なのに日本語カタコトだったり、ツッコミ所満載の98分が一瞬です。


「鯉のメイプルシロップ煮」
「メロンスープのディル添え、新玉ねぎ入り」
「甘酢入りの紅茶」

作中に出てくる料理の激まずそうなセンスも、


二人は幸せに暮らしましたとさ♡
…死が訪れるまで

なーんていう、両面性を含みとしてもたせる感じとかも、東欧らしくてとっても好き。


最後まで観るころには、物語もどうでもよくなり(笑)大好きな登場人物たちを見守る優しい時間になりました。ヨーロッパらしい、空想のようなふわふわしたおとぎ話と、ブラックすぎるジョーク。最後まで居座るインチキくさい違和感!



観たことない方は、是非観て体感してほしい作品です。


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