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『誰も語らなかったジブリを語ろう 増補版』 押井守
4年前?電子書籍で新刊本を購入する割合が増えた。その気になったらすぐ購入できるし、文字サイズも大きく読み易い。本を何冊も持ち歩く必要もない。コロナ禍以降、その傾向はより顕著になった。
にもかかわらず、本屋を巡る楽しみは捨てられない。新刊コーナーに平積みされた本を眺めるだけでワクワクする。夏も終わり、申し合わせたかのように新規感染者数が急減し始めた。久しぶりに街の本屋で心の命ずるままに本を手にとっ
文化を自己決定する街
工業系の高等学校に赴任して数年が過ぎた頃、ようやく希望していたクラス担任になるチャンスが回ってきました。私が受け持ったクラスは社会基盤工学科で、土木技術を専門に学ぶ生徒たちです。国語の教員である私にとっては全く未知なる学習領域でした。今春、彼らが卒業するまでの3年間に、普通高校ではできない貴重な体験を数多くさせてもらいました。
それらの経験は「街づくり」というテーマと向き合う貴重な機会でも
ウィルスとの共存ってどうするの(エッセイ)
『風に谷のナウシカ』 『天気の子』 のあらすじ(ネタバレ)を含みます。「with コロナ」と言われる時代。それはどういう時代なのか、残念ながら答えは誰も知らない。だから、自分で考えるしかない。
最近、NHKで生物学者の福岡伸一さん、歴史学者の藤原辰史さん、美学者の伊藤亜紗さんが『風の谷のナウシカ』に触れながら新型コロナウィルスとの共存の方向性について語っている番組を観た。コロナ禍で発生する様々
たけし君とヒミツのこと(小説)
たけし君とぼくのヒミツの話をするね。あれはぼくがまだ小学校四年生だったころ、ぼくたちにおこった特別なできごとの話。
たけし君は保育園のころからの仲良し。そのころは、たけし君がぼくの家に遊びに来ると、ぼくはたくさんのミニカーを出しておもちゃのパーキングや積み木や人形を並べて街を作る。たけし君は警察官になったり、校長先生になったりして街を守ったり号令をかけたりする。ぼくは泥棒になったり学校の生
第六夜 in 2020
ジミ・ヘンドリックスが新宿駅西口通路で路上ライブをやっていると云う評判だから散歩ながら行って見ると、自分よりも先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。
取り壊しが進んだスバルビルの地下部に取残されて死んでしまった「新宿の目」の前に、マーシャルのギターアンプが置かれている。振り返ると地下広場のロータリーが、壊れた宇宙船の残骸から見上げたような空を抱えてうずくまっていた。クリーム色のフ