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習慣、行動を変えるヒント 無意識に行動してしまう仕組みづくりとは

「なるほど!ディズニーランドは確かにそうなっているな。」

「やらなきゃ」と思いつつも、意識が徹底できずに「できていない…」と思うこと、生活の中で良くあります。

例えば服の脱ぎっぱなし問題。特に子供を見ていると脱いだ服や靴下がリビングに散乱、それを見たお母さんが「脱ぎっぱなし!片付けなさい!」と叱りつけるシーンは、多くの家庭で日々繰り広げられているのではないでしょうか。

叱られた子供は「今、なおそうと思ってた!」と弁解し、「そう思ったのならさっさとやりなさい!」と母はかぶせて叱る。あるあるの光景かと思います。

子供だけでなく、家やオフィスのデスクなど職場の環境でも整理整頓できていない人も多いのではないでしょうか。片づけなきゃと思いつつもいつのまにか散らかってしまう。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。身の回りをスッキリさせる工夫について考えます。

生活に潜む「割れ窓理論」

割れ窓理論をご存知でしょうか。別名ブロークンウインドウ理論ともいいます。この理論の分かりやすいエピソードとして、一台の車が放置されているとある町のお話があります。この車の窓ガラスが1枚割られるとします。このまま放置すると、「この車は何もしてもよい」という暗黙の認識が広まり、他の窓ガラスも割られ、タイヤを盗まれ、ペンキで汚され、いつしか見るも無残な姿に。そしてこんな車が放置されていると、このエリアは何をやっても良いエリアだと理性のタガが外れ、周辺の壁にもペンキの落書きが増え、いつの間にかスラム街になってしまう。

実際にニューヨークではこうしたことが起こっていました。始まりは些細な窓ガラス1枚ですが、それが周囲の環境を変えてしまうほどの大事に発展してしまいます。この最初の「些細な1枚のガラス」を放置するかどうかが重要なポイントです。ゴミだらけのところはゴミが捨てられやすい「環境」になってしまっているということですね。

実際ニューヨークでは治安対策としてジュリアーニ市長が割れ窓理論を利用しました。まずは地下鉄の落書きをひとつひとつ消していき、さらに地下鉄内において多発していた無賃乗車の取り締まりを徹底しました。小さな不正をコツコツと正していくにつれて、次第に地下鉄内における犯罪が大幅に減少しました。結果、ニューヨークの凶悪犯罪の件数自体も減少しました。

割れた窓を放置せずに修理しておけば、次に窓が破られることはありません。ホコリひとつなくきれいに整理整頓されている場所は汚すのは気が引けます。結果、キレイな状態が保たれます。

では冒頭の「洋服脱ぎっぱなし問題」の原因はどこにあるのでしょうか。実は「服を脱いだまま放置する」という行動の前に、それを「許してしまう環境」になっていることが問題の原因だったりします。

犬の落とし物を飼い主に処理させるアイデア

マナー違反の話でよく目にするのはペットの散歩中の落とし物(うんち)放置問題です。飼い主がきちんと処理するのがマナーですが、面倒くさがって処理せず放置するマナーの悪い飼い主も少なくありません。

「犬の落とし物は飼い主が拾いましょう」と公園に看板を立てたところで、この問題はそう簡単には解決しません。この問題にアメリカのイリノイ州にあるデポール大学のレオナルド・ジェイソン氏が取り組みました。「こちらの使い捨て袋をどうぞ」と袋を配ったそうです。すると落とし物の処理率が、当初は6%だったところが82%が処理するようになったとのこと。

この事例は「〇〇しましょう」とただ正論を言っているだけでは人の行動は変わらないということを教えてくれています。態度変容を促すにはより積極的な「行動への働きかけ」が必要ということですね。

ディズニーランドに学ぶ行動のマネジメント

ディズニーランドに行って誰もが感じるのが整理整頓された園内のキレイさです。私も何度も足を運びましたが、クレンリネスの徹底具合は非の打ち所がないほど完璧です。

そんなディズニーランドに「ゴミはゴミ箱に捨てましょう」といった看板があるかというと、そんな看板はありません。でも、誰もゴミをポイ捨てしません。それはなぜでしょうか。

その答えは、ごみ箱の数にあります。ディズニーランドには700個、ディズニーシーには500個を超えるゴミ箱が設置されていると言います。冷静に考えるととんでもない数ですが、エリアのデザインに調和した形で、「知らず知らずゴミ箱がすぐそばにある」という環境を作ってくれています。「捨てる場所があれば捨てる」というのは人間の心理です。捨てる場所がないから、探すのが面倒でポイ捨てするわけです。

理屈や言葉で行動を促すのではなく、「人が自然にその行動をとる」ような仕組みをつくることが、習慣やとるべき行動を徹底させる上で非常に重要ということですね。

冒頭の「洋服脱ぎっぱなし問題」も、このアプローチで解決することができます。「脱ぎたくなる場所」はどこなのか、そこに「入れやすい洗濯ボックスを用意する」で解決です。収める場所をつくることと、そこに収めたくなるタイミングでその場所を配置する。これ以外にも、導線(人の動きの流れ)と、ストレスになっている原因を特定し、自然とそうなるような仕組みを考えれば他にもアイデアはいろいろ考えられそうですね。

まとめ

「〇〇しなきゃ」といった、やるべき行動は「意識」に頼っているとなかなか徹底することはできません。意識は上がったり下がったりするもので、ついつい忘れてしまいます。そうではなくて、行動を徹底させるためには「ついそうしてしまう」という行動の仕組化が解決の道です。

また、日々イライラしてしてしまうことは、その行動そのものではなく、「その行動をしてもよい環境」になっていることが原因かも知れません。子供が服を脱ぎ捨てるのは、他にいろんなものが放置されていて「脱ぎ捨てても良いだろう」という無意識の感覚が芽生えていることが原因かも知れません。割れ窓理論に学び、小さなことを軽視しないことが大切ですね。

おそらくディズニーランドのゴミ箱の配置は、人の流れを観察して配置されているように思います。人がとる無意識な行動に寄り添い、「思わずそうしてしまう」という配置を考える。この思考の仕方は我々の生活にも取り入れられます。

自分が習慣にしたいことがある場合、その習慣行動がスムーズに流れるためには何をどう配置すべきなのか。今一度考えてみてはいかがでしょうか。「意識」に頼らない「仕組み」の武器を使って、理想の習慣を身に付けられると良いですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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