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わざわざ傑作選

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わざわざ代表平田が開業時より毎日綴ってきた膨大な文章のアーカイブから、厳選してnoteに掲載する傑作選。
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パン屋の塩梅

パン屋の塩梅

あんばいという言葉は至極曖昧で、至極難しい。きのう作業中、スタッフに「塩梅というやつだよ。」という話をした。ちょうどいい塩梅でやるようにという指示で、ちょうどいい塩梅になったら、熟練した職人なのかもしれません。

パンや料理の話です。

出荷や在庫管理、勤怠管理、経理などの業務には、塩梅という加減の話は殆どありません。決められたルールを如何に計画的に正確に効率的にこなすかという仕事になり、どちらか

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サービスとは何か?

サービスとは何か?

サービスとは何か。を考えに考え抜いている時に、わざわざの名前の由来を思い出した。そう、わざわざ来てくださってありがとうございます。

わざわざは遠くから(はたまた近くでも)わざわざ来ないと来られない立地にある。だからいつも「わざわざ来る価値がある店なのか?」を自問自答している。

この裏と表の関係は、絶対的に50%50%であるべきなのだが、ちょっと思考に入るとあっという間に「来る価値がある店か?」

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旅先で体調を保つためにできること8つ

旅先で体調を保つためにできること8つ

かつて私が子どもだった頃、初めて1人で「旅」を望んでしたのは、高校2年生の時でした。アルバイトで貯めたお金で青春18きっぷと時刻表を買い、夏休みに初めて1人で旅をしました。関東の親戚を2件はしごし、多分、1週間以上旅した記憶があります。

その翌年か翌々年、さらに味をしめて、当時関西に住んでいた兄を訪ねる旅をもう一回青春18きっぷでやりました。青春18きっぷは5枚つづりで1枚につき1日鈍行が乗り放

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コミュニケーションについて考えた話

コミュニケーションについて考えた話

人間同士全てがぴったり合うことなんてほぼ皆無。ただその中で何か折り合いをつけて仲良くしようとしたり、もっとお互いを知ろうとして取るのがコミュニケーション。

社会人になると、所属するコミュニティが狭くなって、共通項が近い人としか会わなくなるので、段々人の付き合いが狭まってきます。そういう中での付き合いは気楽で心地よいものではありましたが、6年前に店を始めたことで状況は一変しました。店をやるというこ

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お地蔵さんになります。

お地蔵さんになります。

突然ですが、私、お地蔵さんになることにしました。

事の発端は、中古で買った鎌倉のガイドブックでした。店がつぶれている事が多いので、ガイドブックは中古はいかんということがわかったのですが、一つ面白い話が載っていたのです。

それは鎌倉のカフェの話でした。お店に来るお客さんが、カフェの店主に言ったのです。「店主はいつも同じ場所でやってくる客を待っている。定期的にお参りに行くかのように客はやってくる。

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硬いジーンズはもう時代遅れかもね。

硬いジーンズはもう時代遅れかもね。

それを永遠アイテムと呼ぶお気に入りの綿のTシャツがあって、夏の真っ盛りにはTシャツ1枚で過ごして、秋になって風が涼しくなってきたら、その上に綿か麻の白いシャツを羽織る。木枯らしが吹いてきて肌寒く感じる頃になったら、カシミアが少し入ったウールのセーターかカーディガンを白いシャツの上に着よう。そして、靴を綿のスニーカーから革靴に穿き替えるんだ。

いよいよ冬がやってくるとなったら、最後にウールのコート

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おいしいパンは科学と勘の融合体

おいしいパンは科学と勘の融合体

酸味。

それは自家製酵母で作るパンの代名詞である。だが、自家製酵母で作るわざわざのパンのほとんどは酸味を感じさせないように作っている。「こうぼ山食」と「ご飯みたいなカンパーニュ」(※)については例外で、あえて少し酸味を出す。

わざわざ代表 平田はる香が開業時より毎日綴ってきた膨大な文章のアーカイブから、厳選してnoteに掲載するわざわざ傑作選。この投稿は2010年11月のブログ「酸味について考

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モノ買う人々、モノ売る人々

モノ買う人々、モノ売る人々

「たかがパン屋風情が、たかが焼き屋風情が偉そうな口利いて何言ってんのよ!」と笑い合いながら、陶芸家の角りわ子さんと話をしたことがありました。いつどこで何がきっかけになってそんな話になったのか、あまり覚えてないのですが、この「たかがパン屋風情」という言葉が妙に気に入ってしまい、時々頭をよぎるのです。

実はこの後、最後に必ず付く言葉あります。「されどパン屋」です。「されど」を忘れると、自分の仕事に誇

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