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#日記
冬の朝が到来して・レモンジャムがない日のこと・政治
いつものことだ。いつものこと? いつも……そこで湧き起こるさまざまの逡巡は本当にいつもなのだろうか。何かを忘れているような気持ちで、薄ピンクに染まった夢の中を歩く。片付けかけのテーブル、とうに冷め切った紅茶、責め立ててやまない締切、各種の書類、関係項のなかで生きる自分、賞味期限の迫った山型食パン、マーマレード、冷えた足の指先、目が覚める。冬の朝らしい弱い陽光に輪郭を浮かび上がらせるテーブル。羽毛布
もっとみる悲しい動物、双子葉としての世界。
忙しい日々が続いている。6月というのに真夏日をやすやすと超えて、朝な夕なに感じる風が、コンクリートの上をたいそう苦労して通ってきたのだろうと思わせるほどに傷だらけであるのを知る。風は、常に同じ温度ではない。ひと吹きするなかにも、一種の緩急があり、温度の波がある。紫陽花の横を通り過ぎたのだろうか、と思いきや、ああこれは労しいと思うほど熱い瞬間があったりする。どこをどう走ってきたのだろうか。足跡として
もっとみる小説(つまりこれは真実なんかじゃない)・けれど・確かな痛み
目が覚める。ひとり、音のない部屋でうずくまっている。開け放した窓からは18度ほどの空気が流れ込んでくる。まだ皆目消化不良の咀嚼物が胃から吐き出されようとしている感覚がある。持ってきていた「お気持ちの薬」もそろそろ切れる。それがなければ生きていけないわけでもないし、毎日飲んでいるわけでもない。胃液が上がってくるような日、やるせない自己嫌悪で寝れないとき。こまやかな条件が付せられた私の精神安定には、い
もっとみる羽虫による同性愛・潰れた熱帯魚・聡明な枝豆たち
足の指の先が冷たくなる。もう20度を超えることはないのだろう。ガラスの窓に、光に誘われた羽虫がぶつかる音がする。二十四時間営業のコンビニのガラスにぶつかり続ける虫のことを思う。入店する客に紛れて、煌々と光っているコンビニの城楼へと忍び込めた虫は、永遠にその箱の中を彷徨う。世界から隔絶されたそのホワイトキューブ的空間——時間や連続性、そして何より記憶からの断絶——で、徘徊することしか許されない虫たち
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