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【収集用】逆噴射相撲教習所マガジン

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逆噴射プラクティスのぶつかり稽古を集めます。テッポウ禁止。
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#パルプ小説

アポカリキシ・クエイク

アポカリキシ・クエイク

「あれは、ただの地震ではない。『釈迦ヶ嶽雲右衛門』がロサンゼルスに現れたのだ」

谷松と名乗った老人は、そう、ぼくに告げた。

「………一応は知ってますけど、あれですか? あの大惨事が、その、江戸時代の力士によって?」
ぼくは彼の正気を疑った。そんなニュースは当然、どこにも見当たらない。

「そうだ。彼らは『見えない』。普通の人にはな。大地のエネルギーを感じ取れ……」
「帰って下さい! うちは仏教

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東一局666本場

東一局666本場

 東家 国士無双山 は強かった。土俵にて横綱は最強。それは雀卓においても。しかし666連勝は正気ではない。冷静ぶる西家 武装親衛隊中佐ハイドリヒも内心穏やかではあるまい。彼のハコ割れは党の歴史上からの排除を意味する。

一方北家、小説家を名乗る男に動揺はなかった。しかし彼の意味不明な手が卓を乱している。初期持ち点を見るに彼の賭けた自身の作品とやらが大作であったことは間違いないが、ただの阿呆だったか

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十五力士漂流記

十五力士漂流記

 辺流濡(ヴェルヌ)部屋の力士が無人島に漂流した。どうしてこうなった、鰤餡(ブリアン)関は数日前を振り返る。

 屋形船で行われた呉尾丼(ゴードン)関の大関就任パーティ。何故か沈没。正しく定員15名の力士が集まったはず。

 しかし過去を振り返る余裕はない。力士の消費カロリーは常人のそれを大きく上回る。食糧も既に尽き、険悪な雰囲気が流れていた。

 直線距離数キロの探索に出たゴードン関ら3名

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『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

『元傭兵デリックの冒険』より「力鬼士(リキシ)の洞窟」

「ファック野郎!」

スコップを振り下ろし、襲い来る力鬼士の指をぶった切る!
「ギァーーッ!」指は土に還る。力鬼士は後退し、チッチッと音を発した。仲間を喚んでいる! ボゴン! ボゴン! 床や壁から力鬼士が這い出す。囲まれた!「くそったれ……! まさか、実在するなんてな!」

デリックはスコップを振り回して威嚇し、事の発端を思い出す。



「父を、助けて下さい!」デリックの店に飛び込んで来た少女

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メキシカン・ラプソディ

メキシカン・ラプソディ

10月31日の夜。僕は先刻投稿した『プログレッシヴ相撲』の記事共有ツイートを送信すると、大きく伸びをした。
『パルプ小説冒頭400字』。楽しい企画だったが、応募は今ので最後だ。今日はもう休もう……。

KRAAASH!

その時突如、アパートの扉が破砕!一体何が?僕は戸口の向こうを見遣る。

そこにいたのは力士だった。

僕はそいつの奇妙な出で立ちと、投稿作品一覧が表示されているPC画面を交互に見

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