現代伝奇

「厨二病のプライド」

「厨二病のプライド」

●これまでのあらすじ 時は現代。科学文明が発達した影では、科学では計れない魑魅魍魎が跋扈していた。 妖魔、と呼ばれる怪物達が、裏社会で暗躍し、人を食い物にしていたのだ。 そんな妖魔に対抗する者達がいた。 妖魔を討つべく、妖魔と同じく科学では計れぬチカラ――魔術を使うモノ達。 すなわち、魔術師(ウィザード)である。 ●●● 「お前の恋を叶えてやろう!」  深夜の路地裏。割れた電灯だけが照らす道路の上に、二つの人影があった。  一つは羽根をもがれた天使。  一つは学生服に拳

異界都市ヨミガハラシリーズ「笑う坊主」

異界都市ヨミガハラシリーズ「笑う坊主」

●これまでのあらすじ 人と天使と悪魔とその他諸々が暮らす街、異界都市ヨミガハラ。 その街で調停人(トラブルシュータ―)を営む吸血鬼・黒咲ヴァイスは、吸血種特有の吸血衝動を抑え、日々を暮らしていた。 吸血鬼としての本能と、ヒトとしての理性。その狭間で揺れ動く彼は、今日も夜の街を往く―― ●●●  俺が彼と出会ったのは、ある呪術師との戦闘を終えた帰りの事だった。  深夜のヨミガハラのスラム街。割れた電灯が照らす夜道を歩いていると、進行方向の向こうから、奇妙な人影が現れた。  

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血を吸わない半吸血鬼(ヴァンピール)

血を吸わない半吸血鬼(ヴァンピール)

異界都市ヨミガハラ。 地獄の蓋と天国の底が抜け、悪魔と天使とその他多くの異種族が棲む街。 そんな混沌とした街に、一人の男がいた。 名は黒咲ヴァイス。吸血鬼と人間との間に生まれた、半吸血鬼(ヴァンピール)だった。 ●●● 黒咲ヴァイスの仕事は調停人(トラブルシュータ―)である。 多くの人間と異種族が棲むヨミガハラでは諍いが絶えない。 例えば、ある悪魔が魔界から大魔神を召喚しようとしている、だとか。 例えば、ある天使が終末のラッパを吹き鳴らして世界を終わらせようとしている、だ

『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#3

『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#3

【承前】 同時刻! 日本列島各地にも卑弥呼たちが出現していた! 大分県宇佐神宮、福島県磐梯山、滋賀県比叡山、北海道歯舞諸島、長崎県壱岐島、奈良県生駒山……! 超古代史文献『竹内文書』などに説かれる「日本雛形論」あるいは「外八洲・内八洲」をご存知だろうか。日本列島は世界の雛形であり、全ては対応している。北海道は北アメリカ、本州はユーラシア、九州はエジプト、四国はオーストラリア、台湾は南アメリカ……というように。 しかし人心荒れ果てた日本列島は、もはや世界の雛形とはなり得な

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『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#2

『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#2

【承前】 エジプトのピラミッドから目覚めた卑弥呼たちが、砂嵐と共に百余体のミイラを率いてカイロの町を襲撃! 「アイエエエ!?」「卑弥呼!?卑弥呼ナンデ!?」「コワイ!ゴボボーッ!」 カイロ市民たちは重篤な卑弥呼・リアリティ・ショック(HRS)を起こし、発狂・嘔吐・失禁! アッラーフアクバル! 「「「「ホホホホホ……!」」」」 卑弥呼とミイラたちがあざ笑う! 黄泉の国の岩戸が開き、ヨモツシコメ・ヨモツイクサが現れたのだ! "卑彌呼以死、大作冢、徑百餘歩、殉葬者奴碑百

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『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#1

『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#1

【承前】 バラバラバラバラバラ……セピック川上流域のジャングルにヘリの音が鳴り響く。軍用機。水上には兵士と機関銃を積んだボート。インドネシア軍だ! 「やつらめ。嗅ぎつけおったか」 呟いたのはパプア人の呪術師。兎めいた仮面を被り、川面に立っている。いや、鰐の背の上だ。 日本から南へ5000kmあまり、パプアニューギニア奥地。 曲がりくねる大河セピックを河口から遡上し、熱帯雨林のジャングルを進むこと1ヶ月。そこに天岩戸があった。呪術師らが聖地として崇め、しばしば人間の首を

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「アポカリキシ・クエイク」序章・ライナーノーツ

「アポカリキシ・クエイク」序章・ライナーノーツ

おれだ。アニーDに引き続き、アポカリキシ・クエイク…長いので略称は「AQ」のライナーノーツだ。ADとAQ。なんか繋がりがありそうで、まったくない。アメリカ西海岸と日本列島で、太平洋の反対側だ。強いて言えばADで日本系のギャングがくたばり、AQでロサンゼルスが地震で壊滅したというぐらいのものだ。どうも物騒だな。 一話一話の解説はめんどいのでしない。本編は合計4500字ぐらいだが、名鑑を加えれば5000字ちょいだ。ちょっとずるいが、まあいいだろう。 アニーDが右寄りなので、左

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「アポカリキシ・クエイク」#4

「アポカリキシ・クエイク」#4

【承前】 「DOSSOI!!」 谷松の猛烈なぶちかまし! 目の覚めるような一撃だった。敵は血反吐を噴いて真後ろに吹き飛び、壁に人型の穴を開けた。敷金が! 「かはァッ!」 敵は壁を突き破って、隣の部屋に。埃がもうもうと煙を上げる。人が入ってなくてよかった。 「や……やった! でも」 「ここは捨てろ。やつらに捕捉された。次々来るぞ」 「え、え」 谷松が『ドヒョウ・フィールド』を解き、もとの小柄な老人に戻る。長くは使えないようだ。 「ぐうゥ……逃サヌ」 敵が、混血者

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「アポカリキシ・クエイク」#3

「アポカリキシ・クエイク」#3

【承前】 「『黙力士録(アポカリキシ)』。やつらの活動について、数千年前から未来に到るまでを予言した書だ」 ぼくは……笑わなかった。駄洒落や与太話、偽書の類と笑い飛ばすことも出来たはずだ。ギリシア語のアポカリプシス(啓示、黙示)と力士が混ざるなんて荒唐無稽どころじゃない。けれど。 「地球上のどこかで、常に地震は起きている。通常の地震なら、ここに記されていない。どれほど大きくともだ。ワシは……そうでないもの、地下の力士霊……力神(りきしん)による地震が、全てこの書に記され

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「アポカリキシ・クエイク」#2

「アポカリキシ・クエイク」#2

【承前】 その時の地震は、そう大きなものではなかった。震度4、ぐらい。けれど、ぼくが感じた心的衝撃は……。 「雷電、ですか。『雷電為右衛門』。江戸時代の、史上最強の力士……!」 アパートの一室。谷松老人の力場のためもあってか、ものが倒れたりはしなかった。ぼくには……谷松の言葉が、もはや狂人の戯言とは思えなかった。あれを見た。体験してしまった。世界のほうが狂いだした。いや、ぼくの常識が、異常な世界から目を逸らしていたに過ぎない。世界はもともと、常識で図り知れるようなもので

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