『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#1
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『邪馬台国世界大戦』より「四方つ国(よもつくに)」#1

【承前】

バラバラバラバラバラ……セピック川上流域のジャングルにヘリの音が鳴り響く。軍用機。水上には兵士と機関銃を積んだボート。インドネシア軍だ!

「やつらめ。嗅ぎつけおったか」

呟いたのはパプア人の呪術師。兎めいた仮面を被り、川面に立っている。いや、鰐の背の上だ。

日本から南へ5000kmあまり、パプアニューギニア奥地
曲がりくねる大河セピックを河口から遡上し、熱帯雨林のジャングルを進むこと1ヶ月。そこに天岩戸があった。呪術師らが聖地として崇め、しばしば人間の首を捧げて来たという。
今は、世界中に存在する「邪馬台国」のひとつだ。

日本列島での開戦を機に、インドネシア軍はパプアニューギニアへ侵攻した。邪馬台国を抑え、我が物とするためだ。自国にはジャワがある。法顕の仏国記にいう耶婆提国だ。だが、バリ島の女呪術師は告げた。「卑弥呼はニューギニアに現れる」と。そう言った途端、彼女は引きつけを起こして入院したが。

そして、これだ。
「じゃが、遅いわい。卑弥呼たちは、もう……」

ヒュルルルルル……KABOOOOOM! 爆撃だ! 川面が破裂し、呪術師は鰐ごと空へ! インドネシア軍の飛行部隊へ、飛んでいく!

「目覚めた! 世界中でな!」

從郡至倭、循海岸水行、歴韓國、乍南乍東、到其北岸狗邪韓國、七千餘里。始度一海千餘里、至對馬國。…又南渡一海千餘里、名曰瀚海、至一大國。
…又渡一海千餘里、至末廬國。…東南陸行五百里、到伊都國。…東南至奴國百里。…東行至不彌國百里。…南至投馬國、水行二十日。…南至邪馬臺國、女王之所都、水行十日、陸行一月。        ―――魏志東夷伝倭人条

少し前。ニューギニアの天岩戸から出現した多数の卑弥呼たちは、車座になって呪文を唱えていた。

「「「あめつちのはじめのとき たかまのはらになりませるかみのみなは あめのみなかぬしのかみ……」」」

大地が揺れ動く。地脈が通り、海底火山が反応する。環太平洋の火の輪だ。その一筋が、北上する。カロリン諸島。パラオ。マリアナ諸島。小笠原諸島。伊豆諸島。日本列島、沖縄諸島、台湾、フィリピン……。広大な海域。
魏志倭人伝に記された「倭人」の諸国。それがここにあるとしたら。何かが呼び起こされようとしている。

やがて卑弥呼たちは、影となって世界中へ散った。
天岩戸の前に残った四人の卑弥呼たちは、四方に銅鏡を向け、光を放った。

――――その、遥か西。

エジプトのピラミッドの奥底で、石棺の蓋が開き、

新たな「卑弥呼たち」が目を覚ました!

続く

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三宅つの

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奥ゆかしさ◆ドーモ。noteで文章を書いています。ヘッズフロムアニメイシヨン。