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ショートの小部屋

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2017年6月の記事一覧

AI

AM7:00

目覚ましのベルが鳴り響く

俺はベッドから飛び起き目覚ましを止めた

プリンターから打ち出された

今日のスケジュールに目を通しながら

テーブルに用意された朝食を平らげる

AM8:00

スーツに着替え部屋を出る

20メートル歩いた先の交差点を左へ

さらに50メートルほど先の公園へ

ベンチに座り景色を眺める

俺の今日一日の予定

それは何もしないこと

昨日も

そして

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てんとう虫 ある母と子の会話です

マー君「ママー、てんとう虫がいたよ」

ママ「あら、どこにいたの?」

マー君「窓から入ってきたんだよ」

ママ「お外に逃がしてあげなさい」

マー君「もう殺しちゃった」

ママ「マー君、何て事するの。可哀想でしょ」

マー君「でも僕を殺すって言ったんだよ」

ママ「そんな事言うわけないでしょ」

マー君「ナイフで僕を刺そうとしたんだ」

ママ「てんとう虫がナイフなんて持ってるわけないでしょ」

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体モニター

健康が一番ですよね

そこで私

体の状態を

細かく知らせてくれる

モニターを作ったんです

「血圧ガ高メデス。塩分ノ摂リスギニ注意シマショウ」

ね、いいでしょう?

そうだ、今日は女の子とデートなんです

一時間待ってやっと彼女が現れました

「ごめん待った?」

「僕も今来たところさ」

「待チスギハ、イライラノモト、体ニ毒デス」

「やっぱり待ってたのね。ゴメンね」

「いや、いいんだ

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好敵手

俺と奴とは好敵手

10年前の高校野球

奴の投げたボールを

俺は打った

奴はドラフトで指名され

プロ野球の選手になった

俺はドラフトにはかからず

少年野球の監督をしている

でも俺は奴に負けたとは思っていない

まだあの試合の決着は

ついていないのだから

9回裏2アウト満塁

1点差の打席で

俺の打った球は

青い空に吸い込まれていった

ホームランかレフトフライか

奴のチーム

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恐ろしい女

A子「恐ろしい女よね」

B子「人間じゃないわ」

A子「あっ、来たわよ」

C子「こんばんわ」

A「ちょうど今あなたの話をしていた所よ」

C「えーどんな話?」

B子「C子さんってとっても恐ろしい女だって」

A子「人間じゃないって話をしてたの」

C子「そんなに褒められたら照れちゃうわ」

A子「でも本当に私たちそう思ってるのよ」

B子「そうよこの辺りの幽霊の中じゃC子さんが一番恐いって

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次世代炊飯器

私は次世代型の炊飯器

自分で考えて行動できるの

自分でお米を研げるし

お米が切れたら買い物にも出掛けるの

洗濯物を干したり

雨が降り出したら急いで取り込んだり

掃除機をかけたり

庭木に水を撒いたり

ゴミの日にゴミを出したり

料理だってするのよ

この家のご主人

私の料理をとっても気に入ってくれてるのよ

それに私の事、可愛いって言ってくれるの

子供の世話もするし

保育園への

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最終便

俺としたことが

よっちゃんとのお喋りに夢中になりすぎて

最終便に乗り遅れてしまった

ああ、どうしよう

スターセプターで追いかけても

航続距離短いし

俺はこの先この場所でどうやって生きていこうか

もう二度と地球には戻れまい

火星発地球行き最終便

次の始発は100年後

地球からの便は毎日運行してるというのに・・・

ちなみによっちゃんは火星人の女の子

このままよっちゃんと

暮ら

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修行

これはある親子の会話である

息子「俺は修行して立派なラーメン屋になる」

父親「馬鹿な事を言うな!」

息子「いやだ!俺は絶対ラーメン屋になる」

父親「だめだ。そんな事は絶対に許さん」

息子「誰が何と言っても俺はラーメン屋になる」

父親「それは無理だ!」

息子「なんでそんな事言うんだよ」

父親「無理なものは無理なんだ」

息子「理由を言えよ」

父親「それは・・・」

息子「だから何な

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かまいたち ある妖怪の独り言

俺はかまいたち

知らぬ間に人間の手や足を切って

すっといなくなる妖怪さ

でも俺は普通のかまいたちとは違う

俺が切るのは人間の心

どんなに努力しても

報われない時ってあるだろ?

そんな時俺はお前たち人間の心を切る

そしたら

何度やってもだめだからってあきらめる

努力することをやめてしまうだろ

それが俺の狙いさ

人間を堕落させるのが

俺の生きがいだから

でも今日だけは

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恋する二人

松蔵「お松さん、もっとこっちさおいでよ」

お松「おら、一歩も歩けねえ」

松蔵「お松さんのここって綺麗だね」

お松「やんだ、恥ずかしいからあんまり見ねーで」

松蔵「ごめんごめん」

お松「松蔵さんのここって硬くてごつごつしてるわさ」

松蔵「ほらもっとこっちさおいで」

お松「おら、一歩も歩けねえ」

松蔵「おらもだ」

どんぐり山のてっぺんで二本の松が恋をした

物質転送機

物質を分子レベルまで分解して

遠く離れた場所まで一瞬で転送する

私はそんな夢のような機械を造った

そして動物実験にも成功した

あとは

人間である自分自身で試すだけだった

成功する自信はあった

だが転送機に紛れ込んだ一匹の

・・・・

ブタが

私の人生を大きく狂わせてしまった

私のケツとブタのケツが

分子レベルで入れ替わり

私のケツは

ブタのケツになってしまったのだ

だが

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ダイエット

ダイエットしたいあなたに朗報です

今回Tomadoネットがご紹介する商品はこちら

ダイエットお札です

このお札は悪霊たちを呼び寄せる

負のパワーを持ったお札なんです

このお札を枕の下に挟んで眠れば

目覚めた時には

悪霊があなたにとり憑いている事でしょう

悪霊がとり憑けばもう

ダイエットは成功したようなもの

どんなにたくさんご飯を食べても

あなたはげっそりと痩せ細るでしょう

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超能力

僕は超能力者

人の心が読める

僕はそれを生かすために

野球選手になることにした

ピッチャーの心が読めるから

どんな球を投げるのかが分かる

これで僕はホームラン王・・・

にはなれなかった

それどころか選手にもなれなかった

球種やコースが分かっても

プロの投手の投げる球は

素人の僕には打てなかった

それは当たり前

お前馬鹿じゃないのって思ってるでしょ?



人の心は読める

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ネタ

僕は裸で横たわっている

となりには見知らぬ女

そしてその女もやはり裸

まわるまわる

僕たちはゆっくりと

すすむすすむ

絶望へ向けて

巨大な手がこちらへと伸びてくる

死を覚悟した僕の脳裏に

走馬灯のように浮かんでは消える人生

そして記憶は

突然襲った恐怖に支配される

巨大な宇宙人が飛来し

僕たちを生け捕りにした

宇宙船で彼らの星へ

地球とはちがう星からも

たくさんの宇

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