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2022年3月の記事一覧
窓際の後輩くんはお人好しすぎる
私がはやく職場に着いても、
もう既に一年後輩のヒロタくんは
席に座っている。
彼の席は事務室のドアを開けて真っ直ぐの
窓際にあるので、
部屋に入ると一目で
出社していることがわかる。
小柄に、おっとりした目の温顔で
小岩井のカフェオレをよく飲んでいる。
彼とは係が違うので
朝は特段会話するでもなく、
軽く挨拶を交わすくらいで私は席に着く。
静かな空間と朝の新しい空気の中だと
作業が捗る。
だ
洋 服 が く れ た 魔 法 .*・゚
表紙を飾る女性に、目を奪われました。
つばが顔の倍ほどに広い女優帽、
厚縁のウェリントン型メガネ、
ストールもジャケットも全て
品のある黒で統一されています。
一層際立つ白い肌に
さっと引かれた真紅のルージュ。
アイラインでキリリと縁取られた瞼の奥には
ペルシャ猫のような淡いブルーの瞳です。
大粒の耳飾りと胸元のブローチ、
バングルに指輪、
アクセサリのゴールドがリンクして
一層エレガントな
青いもみじの下、キミとの電話
それはまだ、キミが恋人だったころ。
5月の昼下がりに
私はキミに電話をかけた。
いつもの公園。ベンチにひとり。
清々しい天気がかえって虚しく感じるのは
さっきまでの母との口げんかで
落ち込んでいるせい。
仕事への迷いと将来の夢、
私の考えはやっぱり甘いのかな。
キミは私が話終えるのを待って
言葉を返してくれた。
***
***
まだ青い色のもみじを見上げながら
キミの声を聞いていた。