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私の読書について(雑記)
私には、日に一時間以上は読書をする習慣があります。そして私は凝り性であり、一冊の本を徹底的に読み込む傾向があります。この傾向がいささかヘンな方向に走ってしまったのが、今年の4月からのことでした。日本文学の専門家が書いた日本史の研究書を読んでいる最中に、テクストに書かれている知らない言葉をそのままにしておけなくなったのです。たとえば「木曾義仲」とか、「後深草院二条」とか。あるいは『吾妻鏡』とか。そ
もっとみる華々しき光景と、いくつかの印象的な歌(佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2023 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」感想文)
公演「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2023 歌劇『ドン・ジョヴァンニ』」(兵庫県立芸術文化センター)に行ってきました。まず、私は「METライブビューイング2016-17 モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》」[i](以下、「MET 2016 版」という)の録画を繰り返し視聴してから、本公演に臨みました。すべての歌について、数秒聴いただけでそれぞれの場面を思い浮かべられる程、この録画を熱心に視聴
もっとみるあゝすばらしきバロック音楽(『KOBEバッハ合奏団〜4th Concert〜』感想文)
開演:2023年4月6日(木)19:00
プログラム:
〇G.F.ヘンデル / 4声の協奏曲 ニ短調
(Cem.小林道夫、Fl.榎田雅祥、Vn.寺西一巳、Vc.細谷公三香)
フルートが思っていたよりも強かった。第三楽章(Largo)が良いという印象は家で聴いていたときと変わらず、チェロの響きが美しく、また情熱的だった。
〇G.Ph.テレマン / 2つのヴィオラのための協奏曲 ト長調 TWV52
力業のドラマをフランス趣味で彩って(クロード・ルルーシュ『遠い日の家族』感想文)
第二次世界大戦、ヴィシー政権下のフランスにおけるユダヤ人一家の受難と、その背景にある人間模様が主題。主人公のうら若きサロメ・レルネルは、ピアニストである兄のサロモンを愛し、家族とパリで温かい暮らしを送っていた。しかし或る日、アパートの管理人による密告を理由に、一家ともども、父親の友人であるリヴェールの住む田舎町に疎開する。リヴェール家の一人息子であるヴァンサンの執着的な片思いを不気味に感じながら
もっとみる私はハルキストにはなれない(村上春樹『ドライブ・マイ・カー』感想文)
村上春樹『ドライブ・マイ・カー』(文春文庫『女のいない男たち』所収)読了。本作は男の女に対する捉え方を扱った作品であり、それが三層で形成されているように思われる。女への神聖視が中核にあって、それを表層の方では取り澄まして一見洒脱でさえあるように装い、反対側、つまり深層では「詰まるところ、男の人生においてそれは捉えどころのない儚い夢だよ」と諦念してみせる。前者はまあ見え透いた飾りつけと言って差し支
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