- 運営しているクリエイター
#反転
本棚の奥の「シリウス文書」① 創作小説全6話
息子
達夫は週に2回の登校日を済ませ、帰宅すると早速メタバースの中に入った。ある時彼は秘密の場所の鍵を拾ってしまったのだ。鍵には十桁の数字が記されていた。昔はキーボードがあればそれを打ち込まなければならないようなスタイルだったのだろうけどメタバース内では扉に差し込むだけだ。
街を行き交う車、自転車に乗って風を切る人、買い物袋を持って歩いてる婦人。外の世界と何一つ変わらなかった。
空き地に忽然と
本棚の奥の「シリウス文書」② 創作小説全6話
ファミリー
達夫はメタバースからリアル空間に戻り夕飯を取っていた。普段は母、美和子と二人で食べる夕飯だったが、帰りの遅い父、裕和と3人で一緒になるのは久しぶりだった。なんとなく母が嬉しそうな雰囲気を出していたのが達夫は嬉しかった。そして食卓に並んだ料理にがっついていた。
「来週末に大事な仕事がある。それを終えたら3人で寿司でも食べに行かないか。」
「あら、いいわね、外の外食なんていつ以来かしら」