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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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2021年8月の記事一覧

『こころを病む人と生きる教会』

『こころを病む人と生きる教会』

(英隆一朗・井貫正彦編・オリエンス宗教研究所・2012年発行)
 
キリスト教会だからと言って、こころの病を治療できるわけではない。しかし、教会には来る。こころを病んだ人が、救いを求めてやってくる。そして聖書には、そのような人々が救われていく様子が記録されている。期待するのは当然とも言える。
 
本書は、読んでいていたたまれなくなってくるものもある。多くの人の証言とも言える本なのだが、特に後半がそ

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『女性の生きづらさ その痛みを語る/こころの科学 SPECIAL ISSUE 2020』

『女性の生きづらさ その痛みを語る/こころの科学 SPECIAL ISSUE 2020』

(信田さよ子編・日本評論社)
 
私は基本的に男性である。女性の気持ちを分かっているなどとは言わないが、一定の理解はもっているつもりだった。だが、そんな甘いものではなかった。本書でそれを思い知らされた。だからまた言う。男性という立場にいる者は、本書を読まなければならない、と。
 
書かれてあることを一つひとつここで並べることは無理だ。母と娘という問題も、耳では聞くが、生活をしていく中でどれほどそれ

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パラリンピック開会式

パラリンピック開会式

パラリンピックの開会式を見ました。手話通訳付きのほうで。三人の皆さんとその背後で通訳に務めた聴者の通訳の皆さんとスタッフの皆さん、お疲れさまでした。
 
とくに今回抜擢された、大学生の鈴木美彩さん、お見事でした。その手話のスピードと正確さ、意味を補う機転の利かせ方、動きと指先のシャープさには、ただただ感動するばかりでした。そして表情と動き全般で伝える姿には、もう楽しいとしか言いようがありませんでし

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ただ非難だけをする前に

ただ非難だけをする前に

出入国在留管理局において死亡事故があったことで、いまもなお議論が続いている。当然これは問題であり、蔑ろにしてはならない。
 
だが、これに乗じてか、出入国在留管理局が悪の権化であるかのように一方的に非難する人が、一部だがいることは非常に残念である。
 
仕事の上でのミスや勘違い、至らぬ点があることは軽視してはならないが、さも管理局がけしからん存在であるかのように叫んだり、それに近い言い方で(世論と

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悲しい思いを綴りながら

悲しい思いを綴りながら

会えないひと。人と人との間にどうしても距離を置かなければならなくなったこの1年。行くべきところにもなかなか行けない。けれどもこれは、分断ではなかった。離れてもつながる思いは確かにあった。オリンピック開会式での赤いロープのダンスは、手をつなげなくてもつながる人との関係をも表していた。
 
リモートでは辛いという場面もある。しかし、リモートでもつながりを感じられるケースもあった。直に人と会うこと、接す

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賛美とバリアフリー

賛美とバリアフリー

(2003年4月 #アーカイブ )
 
 昔からの『讃美歌』を使う教会。まだたくさんあるでしょう。とくに高齢化現象に悩む教会は、やたら新しい歌集を使わないのが通常でしょう。しかも、本を片手に、それに見入りながら歌う――一つ一つの歌詞をかみしめるように、文語調の歌詞を綴っていく歌い方です。もしかすると、ときに歌詞の意味が分からないままに、ありがたがって……。
 
 他方、賛美は魂が満たされるものと考え

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