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日常

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猫と、ごはん。なにげない日々のこと。 デザインの仕事のこともすこし。
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#音楽

空っぽに見える夜

空っぽに見える夜

夜、ベッドで本を読んでいると、シピがお腹の上にやってきて眠りだした。安心する匂いとあたたかさにつつまれて、わたしも本を片手にうとうとと気づけば眠っていた。

隣のキッチンから、ぐぉんぐぉんの後に、ぽっぽっぽっぽっ、カランカラン、という音が順番に聞こえて目を覚ます。23時30分。同居人が夜な夜な電動ミルで豆を挽き、アイスコーヒーを淹れる音。「わたしもー」とすこし声をはるも届かない。仕方なくシピをおろ

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日曜日の読書

日曜日の読書

朝、窓からそよそよと風が入りこみ、きもちのいい薄い青空に雲が浮かんでいた。昨日買ったプレーンとくるみのデニッシュを両方とも薄く切って軽めに焼き、アールグレイの紅茶をとぽぽと注ぐ。デニッシュはかりっふわっと口の中でうれしい。

同居人と日がな一日、窓際のソファの肘掛けの両側にもたれて向かい合わせに座り、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、おかしな踊りを披露したり、ときどき猫を愛でて過ごす。ベ

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イマジン

イマジン

先週にひきつづき、音の方へ。
GEZAN LIVE。

美しいことも、汚いことも、いろんなことを背負わせてきた彼の声は、前日に襲撃にあったのだという。いつもの声以上の嗄れ声でなんども頭を叩きながら苦しそうに歌う姿。

「でも、不都合なこととか、人に隠したいようなこととか、そういうものもぜんぶ見せていきたいと思っているから」

いつもの声で歌う彼を思い出しながら、その日の彼を見る。聴く。これが LI

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言葉になる前の音

言葉になる前の音

先週、神戸の太陽と虎へ下津光史さんの弾き語りLIVEへ行ってきた。

LIVEハウスまでの道中「次なに聴きたい?」とLIVE中に言われたらというようなことを妄想し、今日は迷いなく「美しい春」って言うなぁ。などと考えていたものだから、その曲のイントロが弾かれはじめた瞬間、細胞がぶわあと湧き立ち、たまらず涙があふれていた。

たぶんその瞬間、武庫川の水面はきらめき、魚は踊り、鳥は歌っていたはずだし、自

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死ぬまでに読みたい本

死ぬまでに読みたい本

昼に食べたタイの麺料理 ( 名前なんだっけ ) がおいしすぎて、できるならば今日も明日も食べたい。数年前からタイやベトナムの料理に夢中なわたしは、はやくお店でビールを飲みながら夜に食べたい、もしくは本場に食べに行きたい!と、そわそわ待っている。いつだって、できるだけおいしく過ごすことは私の中で優先度が高い。

昼ごはんを食べて、本屋へ寄って帰るというのが土曜日の恒例となっていて、買う目的のものがな

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詩と音楽と本と、猫

詩と音楽と本と、猫

谷川俊太郎さんの詩集『あたしとあなた』を読んで、はじめて泣いたのはいつだったろうか。ときどき読み返しては、そのたびにぐっと心の奥の方が揺れる。

それと同じではないけれど、同じように、おばけの全感覚祭のLIVE映像「まーらいおん」を聴いて、何度だってほろほろ涙。

歌も曲も表情も、空の色までもが、底無しにやさしいんだよなぁ。

一度だいすきになったものは、いつだって新鮮な感動を私に与えてくれる。

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眠れない夜は眠っちゃいけない夜

眠れない夜は眠っちゃいけない夜

眠れない夜。天井にうつる車のライト、窓の外の虫の声、横たわる肢体にふとんのひんやりとした気持ちよさ、扇風機の風にそよそよ揺れる毛、ぴー太の多すぎる寝返り。

普段寝る前は本を読むので、眠れない夜を意識することはほとんどない。
でもときどき、自分の思考がうるさくて本を読む気になれず、かといって眠いわけでもなく、規則正しい時間に必ず寝るぴー太をひとしきり邪魔したあとはやることがなくて、ぼーとしている夜

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本当のことなどは、どうでもいいのだけど

本当のことなどは、どうでもいいのだけど

夜、YouTubeでいろいろなアーティストたちのライブ映像を観ていた。ビール片手におつまみを食べて、ひたすらに音楽を聴く。もしくはそれが映画だったりもする。そういう夜がよくある。

その日は、音楽フェスに行った次の日で、きっと音楽にあてられたのだとも思うけど、画面の中で歌う、フジファブリックの志村を見て泣いた。『茜色の夕日』を聴いて泣いた。amazarashiで泣いた。竹原ピストルで泣いた。とにか

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わたしの空腹を満たすもの

わたしの空腹を満たすもの

昨日2日ぶりに家を出たら、晴れ間で、長いこと夏の空を見ていなかったような気がして、「暑いけどきもちがいいねぇ」「空が青いねぇ」「蝉がまだ元気だねぇ」「ラーメン食べたい」「さっき素麺食べたじゃん」などと言って古市まで散歩した。老人のような生活をしている。

その流れで、帰ってから是枝監督の「歩いても歩いても」を観て、夏のノスタルジーを感じ、老いていく親や自分自身について考えていた。
もう夏も終わりに

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