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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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#英語学習

活動を通した文法指導

活動を通した文法指導

英語科教育法第3回の振り返り。
テーマは「活動を通した文法指導」で,第3回(活動体験回)は私が教師役になって学生に活動を体験してもらった上で,改善案を検討してもらう。

文法指導のイメージ第3回の冒頭,学生に「文法の授業ってどんなイメージ?」と聞くと,高校時代の記憶をもとに「つまんない」「勉強って感じ」と答える者もいれば「高校で文法を勉強したことない」という学生もいた。また,大学での「Gramma

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リスニング指導の肝が分からん

リスニング指導の肝が分からん

英語科教育法IIIの振り返り。
リスニング指導の基本を抑える講義回、リスニングに焦点を当てた模擬授業構想回(通算第4回・第5回)をまとめて。

リーディングとリスニングの違いに注目してリスニング特有の難しさは何かを考えるところからスタート。文字の不在や、ペース(スピード)のコントロール不可能性など多様な要因が挙げられた。そしてリーディングの時と同じく「トップダウン」と「ボトムアップ」の理解について

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教師の即興的意思決定

教師の即興的意思決定

英語科教育法IIの学生の模擬授業の振り返り。

今期は模擬授業に先立って指導案を書いて提出してもらっている。
生徒役の学生には指導案を見せず,私と授業者だけが指導計画を把握している状態で模擬授業が進む。

今回の模擬授業では終盤に指導案に書かれていない場面が見られた。
元々の予定では「理想の恋人について考えよう」というテーマ(このテーマについては今回は踏み込まないが,色々考えたいことはある)に沿っ

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文法の意味・機能を活かす活動

文法の意味・機能を活かす活動

英語科教育法IIで学生が行った模擬授業の振り返り。

今回は「受動態」に焦点を当てた授業。
その中で行われた活動について、受動態という文法項目の意味的・機能的特徴との相性という観点から振り返りたい。

生徒は先生から配られた英文(1文)を読んで、それを絵にする。
英文は、A soccer ball was kicked by Keisuke Honda.や、Chihiro was bitten b

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Meet the Author!

Meet the Author!

英語科教育法IVの振り返り、第5章と第6章が丸々残っているのだが、ありがたいことに前期より忙しくさせていただいたこともあり、残念ながら全部の回を振り返るのは諦めようと思う…。

というわけで、今回はいきなり最終回の振り返り。
最終回は、Meet the Author!ということで、今期の教科書『外国語学習者エンゲージメント』の原著"Engaging Language Learners in Con

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英語授業と自己表現

英語授業と自己表現

2年生,英語科教育法IIの振り返り。

ディスカッション:英語授業における自己表現トークテーマは「生徒が英語で自己表現をするために,どんなことが必要?」からスタートした。

文法的正しさを求めないこと

目的・場面・状況を示すこと

表現したいという動機を掻き立てること

表現する内容を考える時間をとること

色々な表現の仕方を示すこと

学生から出た意見は概ね上記のような内容だ。

「文法的正し

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「英語学習」と「役割」

「英語学習」と「役割」

英語科教育法IV、『外国語学習者エンゲージメント』の4章後半。

ここでは「ポジティブな教室力学と教室文化」を生み出すための教師の行動を概観した。

今回はグループワークにおける「役割」というものについて改めて考えたい。

行動2に「「私たち(we/us)」という意識を高める」とあり、その方法の一つとして、「集団への正式な関与と貢献」を促すことが挙げられている。
また、行動4は「3つのRを用いた集

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コミュニケーション能力をどう伸ばすか

コミュニケーション能力をどう伸ばすか

英語科教育法IIの第4回。
今回の問いは「どのようなコミュニケーション活動なら力が付くか」
相変わらず大きな問いだ。

実践的なコミュニケーションの力まずある学生は「道案内などの具体的経験をしておくことで、実際の場面で使える」とし、つまり教室外で起こり得るコミュニケーション場面を想定し、それを経験することで実践的なコミュニケーションの力をつけることができると考えた。
より抽象的な視点として別の学生

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教師と学習者の信頼関係

教師と学習者の信頼関係

英語科教育法IV『外国語学習者エンゲージメント』の第3章前半。
「教師と学習者の信頼関係(ラポール)」の理論的根拠を検討した。

原則1「近づきやすさ」教師はいつでも近づきやすい存在であることが必要であり、そのために(適切なレベルでの)自己開示が重要であるという筆者らの主張にどの学生も概ね同意しながらも「適切なレベル」を巡っては意見が分かれた。
プライベートな話までしてくれる先生をより信頼する傾向

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求められる学習者像が強すぎる・・・

求められる学習者像が強すぎる・・・

英語科教育法IV『外国語学習者エンゲージメント』の第2章後半「学習者の促進的マインドセット」の教師の行動の検討。

学習者の促進的マインドセットを育むための教師の行動として以下の5つが挙げられている。

コーチのように考え、行動する

学習の進歩を可視化する

信念について明示的に話し合う

選択や意見を取り入れる

学び方を考える

毎回、報告担当者を立てているが、それ以外の学生にも事前に文献を

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楽しく効果的な英文法指導とは?

楽しく効果的な英文法指導とは?

英語科教育法IIの授業記録。
今回もまた壮大な問いが設定されているが、学生にそれぞれの考えを持ち寄って交換してもらいつつ、適宜理論の補足をしていくスタイル。

今回の問いは前期にSVOとSVCの文の見分けの模擬授業から持ってきた問いだ。

当該模擬授業の検討会では生徒役が「分からん」「なんで(SVCとSVOの見分けを)やらなきゃダメなの?」と述べ、文法指導への納得感が理解の面でも、感情の面でも低い

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学習者の促進的マインドセット

学習者の促進的マインドセット

3年後期、英語科教育法IV

教科書はこちら。

この日は第2章「学習者の促進的マインドセット」の前半、「原則」を検討した。ここで取り上げられた原則は以下の5つ。

原則1 有能感を高める

原則2 成長マインドセットを育む

原則3 学習者の当事者意識と自己統制感を高める

原則4 積極性を育てる

原則5 粘り強さを育てる

学生の関心を多く集めたのは「成長マインドセット」だ。
私自身も中学3

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「ありきたり」な活動

「ありきたり」な活動

英語科教育法I,第15回(最終回)の振り返り。
第2週から14回に渡ってやってきた模擬授業もこの日で最後。

模擬授業の概要There構文をターゲット文法に指定し,福笑いのゲームを通してThere構文を楽しく使うことを目指した。

5人ずつのグループに分かれ,1人が目隠しをする。
それ以外の4人が英語で指示を出し,目隠しをしている生徒が紙に顔の絵を描いていく。

その過程で「〜に〇〇がある」という

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「やり取り」の「発表」

「やり取り」の「発表」

英語科教育法IIIの振り返り。
遂に最終第15回を迎えたこの日は「話すこと(発表)」の模擬授業回。

授業の概要今回の授業は「発表」に焦点を当てたものではあったが,少なくとも私には思いつかなかった非常にユニークなアイデアが見られた。

生徒はペアになり教室の前方に出て「3分間2人で話し続ける」ことがゴールだ。つまり,2人での「やり取り」を人前で「発表」する。
先生からは「コントみたいな感じで」とい

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