インスタ映え (1分小説)
おかしいな。僕、女のコにまるで興味が湧かないんだけど。あんなに、毎日追いかけまわしてたのに。
徐々にではなく、ある日突然沸かなくなったんだ。
食欲や睡眠、五感は正常。
飼い主が、夜食でも食べてるんだろうか。ほのかに、インスタント食品『うどん どん兵衛』のいい匂いがしてきた。
「ミャー」
すね毛ボーボーの足に、まとわりついてみる。
「去勢しても、鳴き声はやっぱり変わらないんだな」
飼い主が僕の頭をモフった。
キョセイって何?そんなことより、どん兵衛を少し僕にもちょうだい。
「ミャー」
「ごめんな。オレが作った、エリザベスカラーが重たいのか?」
飼い主が、僕の首元を覆っていたプラスチックを取り、ゴミ箱に捨てた。
僕の周囲から、急に、どん兵衛の匂いが消えた。
「次は、ミニ丼の容器で作るよ。フォロワー、増えるかな」
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