ちゃぶ台屋 (1分小説)

私は、会社の休み時間を使い『ちゃぶ台屋』へと急いだ。

「いつもありがとうございます、岩本ヒトミさま。ただいま、狭いお部屋しか空いていません」

しょうがない。とにかく、午前中のストレスを晴らしたいのだ。

案内された『Always三丁目の夕日・ちゃぶ台の部屋』へ入る。

四畳半の和室には、ステテコ姿のお父さん、割烹着のお母さん、つめ襟を着た兄弟が座っていた。

映画『Always 三丁目の夕日』

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10年しゃっくり (1分小説)

ボクは、ハタチの頃から10年間、しゃっくりが止まらない。

友人たちは、全国の名医を紹介してくれた。民間療法を教えてくれたり、不意打ちにおどかしてくる奴もいた。

だが、すべて不発に終わった。

そんなしゃっくり人生に、突然、終止符が打たれる日がやってきた。

勤務先近くの、工事現場の前を歩いていた時のことだった。

頭上から、鉄柱が落ちてきたのだ。

寸でのところでかわしたが、爆音は鳴

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お忍び (1分小説)

地方の、山里にある自動車工場。

この工場の近くに、作業靴から本革ブーツまで作ってしまう、オーダーメイドの靴屋があった。


ある日。

閉店間近に、外国人の男性がやってきた。

「靴づれで困っている。この靴を処分し、いそいで新しい革靴を作ってほしい」

なまりのある英語。

オーナーは、男の両足を採寸した。

パソコンでデザインを描き、黒革を裁断。ミシンで縫製、ゴム底を接着。

「ありがとう

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ありがとうございます。
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お見舞いサービス (1分小説)

集中治療室から、やっと個室へ移動。

もう、1ヶ月以上も外に出ていない。

お医者さんと担当の看護師さん以外、誰にも会ってない。

看護師さんは、食事から下の世話まで、なんでも面倒を見てくれてはいるが、美人だからか、同じ女性でもなんだか気恥ずかしい。

久しぶりに、OLの友人から電話があった。

「まだ、家族にも会えてないの?職場のみんなで、千羽鶴を送るから元気出して」。

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ゆずり愛 (1分小説)

カーブに差し掛かった時、つり革を持つ老人の身体が、また大きく揺れた。

しかし、誰も席をゆずろうとはしない。

ボクは、離れた席でハラハラしながら見ていたんだ。

老人の目の前に座っている、スーツの男。

アイツ、ついさっきまで、ボクと面接で一緒だった奴ではないだろうか。

間違いない。

ちょっと親しくなって、LINEを交換した時は、優しそうでいい奴だと思ったのに。

ボクは老人に歩みよった。

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お引っ越し (1分小説)

昨年末、主人の転職に伴い、私たち一家は東京から大阪へ越してきた。

築浅の賃貸タワーマンション。全室南向き、陽当たり良好。

目の前には、緑豊かな万博記念公園。ガラス張り、抜群の景観。

2棟しかない階。そのうちの1棟、1802号室が空いていたのだ。

同じ間取りの1801号室よりも、割安の家賃だった。事故物件を疑ったが、不動産屋は「違う」と完全否定。

「通学通勤、買い物にも便利ですよ」

内見

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街ルンバ (1分小説)

バナソニック製の自動掃除機「街ルンバ」の登場により、東京の街は、より一掃美しくなった。

犬のウンコ、おやじのタン、ひしゃげた吸殻。おびただしい数のゴミを吸い込んでゆく。

街の美化に比例し、なんだか最近、平和になったような気もする。

「オレオレ詐欺の首謀者のオレが、平和っていうのも変か」

その時。

オレの独り言を聞きつけてきたのだろう。

直径30センチ円盤型の街ルンバが、目の前に現れ、猛

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ありがとうございます。
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無限しりとり (1分小説)

跡取り息子がいない日本の家庭に、僕が、はるばるアフリカの地から、養子として迎え入れられた日。

「はやく日本文化に慣れなさいね。我が家では、200年間、ずっとしりとりを続けているんだよ。まだ誰も『ん』で終わらせていない」

古い巻き物には、ご先祖様たちが、しりとりで使った言葉がビッシリと書かれてあった。

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入社試験 (1分小説)

1キロメートル先に、極太のゴシック体で『完』と書かれた、巨大な壁がそびえ立っていた。

高さ10メートルはあるだろうか。

超一流企業の入社試験。ここまで、オレと山田は、共にパーフェクトでトップ。最終問題に受かれば、採用が決まる。

しかし、その席はひとつしか用意されていない。

『完』と書かれた巨大な壁まで、オレは全速力で走った。山田も続くが、文武両道のオレには敵わない。

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僕が日本ドラマを作るとしたらシリーズ!父と息子の在来線🚋

ドラマタイトル『父と息子の在来線』

主題歌 ザ・コーリング スティグマタズド 2001年

出演者 中井貴一 秋場まなと 椎名桔平 金城武など。

ストーリー

2001年放送という設定。

元鉄道員で運転手の浅村貴一(中井貴一)は、15年前の1986年朝から寝ぼけており列車事故を自らで起こしてしまう。それは、乗員、乗客100人以上を負傷させ死亡した人もいたほどで当時の歴史に残るニュースにもなっ

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