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現代版 金の斧と銀の斧(1分小説)

ゴルフ場で練習をしていたロビンソンは、池にゴルフボールを落としてしまった。

ミスが多いな。プロとして10年、このまま一勝もできずに終わってしまうのか。

ロビンソンは、デビュー当時から使っているゴルフクラブを握りしめた。

そこへ、池の中から女神さまがあらわれた。

「あなたが落としたのは、金のゴルフボールか、銀のゴルフボールか、普通の白いゴルフボールか」

「普通の白いゴルフボールです」

ロビンソンは正直に答え、女神さまは、金と銀と普通のゴルフボールを彼に渡した。

ロビンソンは、手渡された普通の白いゴルフボールを使い、勝ち星をあげるようになった。

10年後。

世界ナンバーワンになったロビンソンは、老いていく妻を疎ましく思うようになっていた。

「今の僕には釣り合わない」

ある日、デビュー当時から使っていたゴルフクラブで、妻の頭を殴打。

瀕死の妻をトランクに入れ、人里離れた池まで運転。

ゴルフクラブと妻を、池に投げ捨てた。

すると、また、あの時の女神さまがあらわれた。

「あなたが池に落としたのは、金のゴルフクラブか、銀のゴルフクラブか、普通のゴルフクラブか」

ロビンソンは、とっさに嘘をついた。

「金のゴルフクラブです」

女神さまは、首を横に振った。

「違う。金のゴルフクラブは、安倍首相がドランプ大統領にあげたものだ」

なぜ、わざわざ、ここまで捨てに来たんだろう。

「すみません、僕が捨てたのは、銀のゴルフクラブです」

女神さまは、銀のゴルフクラブを彼に渡した。

「では、あなたが池に捨てた女性は、極上のセクシー女優か、スーパーのモデルか、普通の女性か」

普通の女性は、きっと妻のことだ。

「極上のセクシー女優です」

「違う。それも、あなたではなくドランプ大統領が……」

ドランプ、マジか。

「すみません、僕が投げ入れたのは、スーパーのモデルです」

こうして、ロビンソンは、銀のゴルフクラブと、スーパーのモデルを手に入れた。


ある日、自宅のゴルフ場で練習中、速報が入った。

「干ばつで乾いた池の底から、一人の女性の遺体と、ゴルフクラブが発見されました。女性は、歯型から、行方不明のロビンソン選手の妻だと断定」

遺体は、妻と、極上のセクシー女優の二体のはずでは?

ロビンソンは動揺し、久しぶりに池ポチャをしてしまった。

しかし、池からは何もあらわれず、どれだけ探しても、あの普通の白いゴルフボールは見つからなかった。


「そうか。女神さまは、妻だったんだな」

遠くで、サイレンの鳴る音が聞こえた。



※もちろん、フィクションです。特にドランプ大統領の部分。


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